養育費と住宅ローン、きつい負担はどうやって解消すべき?

更新日:
養育費と住宅ローン、きつい負担はどうやって解消すべき?

「マイホームのローンを返済中で、子どももいる。」そんな状態で離婚をすることになってしまったら、どうなるでしょうか。状況によっては、住宅ローンの返済と、子どもの養育費、その両方を負担せざるを得ない場合もあります。

かなり重い負担となりますが、少しでもその負担を軽減する方法はないのか、考えてみましょう。

 

借金ではない資金調達、リースバックって?

リースバックとは?

養育費と住宅ローン返済の二重苦はなぜ起きる?

子どものいる夫婦が離婚をした場合、その理由にもよりますが、おもに家族を扶養していた側が子どもの養育費を負担するのが一般的です。それは理解できる範囲ですが、加えて住宅ローンも返済しなければいけないのでしょうか。

まずは離婚と養育費、住宅ローンの関係を整理しましょう。

養育費の仕組みと相場

婚姻中、家族のおもな収入源が夫の収入だったとしましょう。離婚後、子どもを母親が育てることになった場合、父親は子どもの養育費を負担しなくてはなりません。

養育費とは、広い意味では「子どもが成人するまでの生活費」に「教育費」を合わせたものを指します。教育費は授業料だけでなく、入学金のような一時金、受験費用なども考慮しなくてはなりません。

実際にいくらぐらいになるかは、離婚時の話し合いで取り決められますが、

  • 権利者(妻が親権者なら妻)の収入
  • 支払義務者(妻が親権者なら夫)の収入

が影響します。

母親に高い収入があるなら、父親が支払うべき養育費も抑えられるというわけです。逆に、母親に経済力がなければ、離婚後も扶養するのとかわらないほどの負担になることも。

教育費にあたるものについては、親の学歴も考慮されます。養育費は支払い義務者と同程度の生活レベルを子に与えることを目安にするからです。

本来、子が成人するまでの費用が養育費ですが、子が大学に行く場合は、大学卒業までは支払いを続けるケースも多いです。

具体的な金額の参考として、裁判所が養育費算定表を公開しています。

父親が会社員で年収300~400万円程度、母親に収入がなく、子どもが14歳未満であれば、月あたり4~6万円が相場とされます。

出典:養育費・婚姻費用算定表(令和元年度版)

離婚した場合の住宅ローン

住宅ローンと離婚は非常に難しい問題をはらんでいます。まず、ローンの債務者(名義人)が誰かという点が重要です。パターンとしては、

  • 夫が債務者で、妻が連帯保証人
  • 夫が債務者(保証会社などを利用し、妻は保証人ではない)
  • 夫婦の連帯債務またはそれぞれが債務者になっている(ペアローン)

のいずれかでしょう。

そして、ややこしいのですが、家そのものの名義人が誰なのか実際に家に住んでいるのが誰かは、これとはまた別の問題です。おさえておかなくてはならないのは、

  • 住宅ローンの返済は債務者(名義人)が行う

という点です。このため、離婚後、夫は家から出て行き、住んでいないのにその家のローン支払いを続けなくてはならない場合があるのです。

権利や義務の関係が複雑になってしまうため、離婚時はよく話し合いをして整理をしておくことが大切です。金融機関とも相談のうえ、連帯債務・共同債務の場合、単独に借り入れにできないか検討したいところです。

妻が連帯保証人の場合、妻としては保証人から外れたいでしょうが、実際には、これは非常に困難です。そのため、ローンの借り換えが必要なこともあります。

養育費と住宅ローンで生活を苦しくしない方法

離婚後、養育費と住宅ローン返済の二重の負担が生じる場合があります。この負担を軽減する方法はあるのでしょうか。

一度決まった取り決めを、苦しいからといって後から変更してもらうよりは、離婚前の協議や調停を通じて、無理のない体制を整えておくことが重要です。

養育費と住宅ローンとを相殺

妻と子がもとの家に住み続け、夫が家を出た場合を考えてみます。この場合でも、住宅ローンの名義人が夫なら、支払いを続けなくてはならないことはお伝えしたとおりです。

金融機関にとっては、夫婦の離婚はある意味で関係のないことですから、契約通り、名義人に支払いを課すのは当然のことでしょう。一方、もう住んでいない家のためのローン返済をしなくてはならないのは理不尽にも思えるでしょうし、夫が新たに自分の住まいを借りるなどした場合、経済的な負担はかなりのものになります。

そこで、こうしたケースでは、養育費と住宅ローン返済を相殺するといった方法がとられます。

住宅ローンの返済を続けるかわりに、返済額に相当する額を、支払うべき養育費から差し引いて考えるということです。

養育費は「子どもが成人するまでの生活費」なのですから、そこには「住まいのためのお金」も含んでいると考えられます。今住んでいる家の住宅ローンは、いわばその「家賃」と考え、夫はこのローンを返済することですでに養育費の一部を支払っているととらえます。

これなら養育費+アルファの負担で済むため、負担は抑えられます。

住宅ローンを根拠に養育費を減額

夫が今までどおりマイホームに住み、住宅ローンを返済しつつ、出て行った妻子に養育費を支払うという形になる場合もあるでしょう。

このときは、住宅ローンの支払いによって経済的な負担があるので、それを事情として考慮してもらい、養育費を減額してもらうという方法が考えられます。

しかし、これは先に述べたケースに比べるとハードルは高いです。

夫はその家に自身で住んでいるのですから、自分の住まいのために住宅ローンの返済を行うのは当然のことです。それは養育費の支払いとはまったく別の話なので、本来はこれによって養育費の減額が認められることはないでしょう。

とはいえ、「無い袖は振れない」のも本当のところです。特に、マイホームが結婚後に購入されたものであるなら、夫婦のために用意した家のためにローンを抱えることになったわけですから、そういった事情も踏まえて、交渉をする余地はあります。

ですが、正攻法としては、この場合は、物件を処分する方向で検討したほうがいいかもしれません。次の項目で掘り下げていきます。

「養育費を払いながら住宅ローンも払う」を解消するには?

養育費と住宅ローンをともに支払う負担が重すぎる場合、どうすればいいのでしょうか。養育費は支払う必要があるものですので、対処のカギは住宅ローンです。根本的な解決策は、住宅ローンを清算してしまうことでしょう。

オーバーローンなら任意売却で手放す

離婚後に住宅ローンが負担になるのは、突き詰めると、離婚後の暮らしとその住まいが釣り合っていないということです。

思い入れのあるマイホームだったかもしれませんが、離婚して一人暮らしになったのなら、家は手放しで、住まいにかかる費用をダウンサイジングするのが理にかなっているでしょう。

このとき、家の売却額が、住宅ローンの残債を上回っていればシンプルに住宅ローンを完済できます(※残ったお金は財産分与の対象になることがあります)。

問題は、売却額でローン残債を完済しきれない「オーバーローン状態」の場合です。

本来、オーバーローン状態では、物件の抵当権が解除されないため、売却することはできません。ですが、債権者(ここでは金融機関のこと)の同意のもとで売る「任意売却」という方法があります。

そのときは、残債についての返済計画を、金融機関とも相談のうえ、立てていかなくてはなりません。とはいえ、返済額は今より下がりますし、住宅ローンの返済に行き詰って競売になるよりは、任意売却という形で売ったほうがいいため、金融機関も応じてくれる可能性が高いでしょう。

リースバックで住宅ローンを整理する

また、最近は、リースバックを組み合わせる方法もよくとられています。

リースバックとは、不動産を売却した後、買い手との間で賃貸契約を結び、売り手は賃貸物件として不動産を使用し続けるという仕組みです。

家を売却することのデメリットとして、当然ながら、家を手放さなくてはならないということがあります。住む場所を失いますし、新たな住処を見つける手間・費用や引っ越しの必要も生じます。

リースバックはそれらを解消できる方法でもあります。

オーバーローン状態の物件でもリースバックできるかというと、本来は難しいのが実情です。ですが、任意売却で買い手がつかないよりは、リースバック事業者に確実に買ってもらえるのであれば、金額次第ではそのほうが望ましいと金融機関が判断することも、珍しくはありません。

カギは売却額になりますので、複数のリースバック事業者に査定を依頼し、比較検討すれば、道が開ける可能性が高まります。

リースバック比較PROなら、あなたにピッタリの会社がみつかります!

一括問い合わせスタート

images images

執筆・編集

家を売って賃貸で住み続けられる!リースバックサービスを比較検討する