リバースモーゲージに年齢制限はある?

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リバースモーゲージに年齢制限はある?

収入が少なくなった高齢者でも利用できる老後資金を準備する方法として、リバースモーゲージが注目されています。

今回は、リバースモーゲージが利用できる条件について、特に年齢に関することを解説していきます。

リバースモーゲージの年齢に関する条件とは

リバースモーゲージは、メガバンクや地方銀行、信用金庫など、さまざまな金融機関や公的機関から、老後資金を用立てる方法として提供されています。

リバースモーゲージは高齢者の支援を目的とした金融商品です。そのため、とりわけ年齢に関して、一般の住宅ローンとは異なった特色があります

リバースモーゲージは80歳まで利用できる?

リバースモーゲージの利用には、年齢制限が設けられています。金融機関によって違いはあるものの、一般的には55歳から80歳までに制限されています。

リバースモーゲージはさまざまな金融機関で取扱をしており、それぞれに特長があるのですが、以下のような共通点があります。

  1. 利用できる年齢は55歳~80歳の範囲
  2. 自分名義の家を担保にして借り入れ
  3. 担保融資なのでそのまま自宅に住む
  4. 契約者(債務者)が亡くなってから一括返済をする契約内容
  5. 月々の返済が不要であったり利息のみを返済するようになっていたりする

提供元により異なるリバースモーゲージ

民間の金融機関や各自治体がリバースモーゲージに取り組んでいます。共通点は先の通りですが、以下のようにさまざまな異なる点があります。

資金の受け取り方の違い

  1. 一括方式(資金をまとめて借り入れるタイプ)
  2. 年金方式(毎月一定額を借り入れるタイプ)
  3. 極度額方式(必要に応じて限度額まで借り入れるタイプ)

返済方法の違い

  1. 契約終了時に一括返済をして月々の返済はない方法
  2. 毎月利息の返済のみ行い元本を契約終了時に一括返済する方法

対象物件の違い

  1. 戸建
  2. マンション

対象地域の違い

金融機関によっては、融資可能な地域が指定されています。

資金使途の違い

生活資金だけに限定されているもの、住宅関連だけに限られているものなどがあります。

付帯サービスの違い

預金がある場合に預金と同額までは無利息でリバースモーゲージを利用できるサービスなど金融機関ごと、また商品ごとに付帯サービスが提供されています。

自治体と民間とでリバースモーゲージの年齢制限は違う?

ここで、自治体が利用しているリバースモーゲージ(国の不動産担保型生活資金貸付制度)と、民間のリバースモーゲージの違いについて整理しておきましょう。

リバースモーゲージを比較

具体例をみて、比較してみましょう。なお、ここではリバースモーゲージ型住宅ローンもリバースモーゲージに含んで資料として提供しています。

各行のプラン比較
年齢 資金使途 融資額 担保評価 対象物件 対象地域 その他
東京スター銀行
リバースモーゲージ「充実人生」利払いなし型

  • 70歳~80歳

利払いあり型

  • 年収120万円以上
  • 55歳~84歳

事業目的、投資目的以外なら自由利払いなし型

  • 3,650万円

利払いあり型

  • 4,250万円

マンションでも可能首都圏・関西圏・主要都市相続人の自己資金による返済か担保物件の任意売却(代物弁済により相続債務を消滅させることも可能)

三菱UFJ銀行
リバース・モーゲージ型 住宅関連ローン60歳~80歳
年収400万円未満は返済負担率が30%以下などの条件

東京都、神奈川県、 埼玉県、千葉県原則保証人不要

三井住友銀行
リバースモーゲージ – 50歳からの住宅ローンの新しいカタチ50歳以上
ご本人、配偶者ともに60歳以上の場合は担保評価額の50%まで
マンションでも可能東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県大津市・草津市・守山市・栗東市・野洲市、福岡県福岡市相続人の自己資金による返済か担保物件の売却(売却代金が借入額以下でも相続人は返済不要)
住宅金融支援機構
リ・バース60
60歳以上 住宅の建設・購入・リフォーム費用、借換資金

(生活資金として利用できない)

毎月返済は利息のみ
借入者死亡時に一括返済
*「ノンリコース型」を選択すれば相続人は残債を支払う必要がない
社会福祉協議会(不動産担保型生活資金)
(別表1)生活福祉資金一覧
65歳以上

収入が「市区町村民税非課税世帯」の低所得者に限定

生活資金のみ 1月当り30万円以内の額を3か月ごとにまとめて貸付 土地の評価額の70%(評価額が1,500万円以上あること) 一戸建てのみ 推定相続人の中から連帯保証人を1名選任・推定相続人の同意が必要

自治体のリバースモーゲージの特長

地方自治体が提供するリバースモーゲージは、厚生労働省の生活福祉資金貸付制度のうちの不動産担保型生活資金貸付制度に基礎をおいた融資です。

実際の窓口は社会福祉協議会という非営利の民間団体が担当しています。

民間の金融機関が提供しているリバースモーゲージとの違いは以下の通りです。

低所得者のための貸付制度

生活に困窮している低所得者であることが条件になり、市区町村民税が非課税になっている世帯が対象になります。

低利

年3%または長期プライムレートと比べて低い方の利率が適用されます。つまり上限が年3%ということです。リバースモーゲージはその性格上長い期間の融資になりますが、その途中でバブル期のような高金利になっても上限利率が決まっています。

1カ月あたりの貸付金額に制限があります。

1カ月あたり30万円(または生活扶助金額の1.5倍)が上限になっています。

保証人が必要

民間金融機関のリバースモーゲージの特長

民間金融機関が提供しているリバースモーゲージは、基本的には住宅金融支援機構のリ・バース60を活用しながら金融機関独自のサービスを付加しています。

資金使途はリ・バース60が住宅関連に特定しているのに対して、民間金融機関のリバースモーゲージは投資や事業目的でなければ、住宅関連のみでなく、医療費・介護費、老後の生活資金、有料老人ホームへの入居資金、住宅の建替え・改築などにも利用できます。

利用できる年齢も金融機関ごとに設定されています。

年齢以外にもリバースモーゲージ特有の条件はある?

リバースモーゲージが使えないケースについて、年齢以外の事由を紹介します。

マンションの場合は利用できないことも

金融機関は融資の回収を確保するために、不動産を担保にします。対象となる建物は高齢者が所有しているため築年数が相当経過していることが多く、さらに契約が終了する(=債務者の死亡)までには長期間あるため、建物の価値がないものとして評価する必要があります。そのため、担保価値としては土地の評価を重視します。

つまり、リバースモーゲージは担保として価値がある土地以外は評価の対象になりにくいので、マンションを対象にしていない金融機関が多いのが実情です。

年齢制限によりリバースモーゲージを利用できない場合の選択肢

リバースモーゲージが年齢制限や他の利用条件があわないために利用できない場合の選択肢を考えてみましょう。

リースバックなら年齢制限がない?

リバースモーゲージとリースバックの違いを整理しておきましょう。

  • リースバックには年齢制限がない
  • リースバックならマンションでも可能
  • リースバックは資金使途が自由
  • リースバックは、契約内容次第で必要なときに買い戻すことが可能
  • リースバックは現在の価値で売却するため、将来の不動産価値の下落リスクがない
  • リースバックは借入ではないため、相続人に返済の負担が及ばない

リバースモーゲージは融資ですが、リースバックは売却です。これが最も大きな違いです。不動産を売却するので、年齢の制限は当然ありません。

また、リバースモーゲージは融資の条件として資金使途に生活費であることなど利用に制限されますが、リースバックの場合は資金使途に制限がありません。

リースバックなら売却したうえで賃借して住むので、一定期間居住した後に転居したり、ケアハウスに入居したりする選択が可能です。

持ち家があり資金が不足している場合はリースバックがおすすめです。まずは専門事業者に問い合わせてみましょう!

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執筆・編集

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