相続しても固定資産税が払えない?兄弟の滞納など起こりうるトラブルとは

家の模型と電卓

今回は、相続と固定資産税の関係について様々な角度から解説します。

◇固定資産税について

固定資産税は、その年の1月1日に所有する土地や建物の固定資産の評価額に、税率(標準税率の場合は1.4%)を掛けて計算されます。

固定資産税の評価額は3年ごとに見直しがされ、一般的に、地価が高騰している地域では固定資産税が徐々に高くなります。

納付時期は、東京の場合、年4回(6月、9月、12月、翌年2月)です。

相続後に固定資産税が払えないケース

実際には、どのような場合に固定資産税が払えない状況になるのでしょうか。

手元の現金預金が不足する場合

被相続人が残した相続財産・負債は、相続を放棄する場合を除いて、全てその相続人に相続されます。つまり、不動産を相続により取得した人が、固定資産税を支払わなければなりません。

相続財産は、現金預金、不動産や有価証券など様々なものがありますが、固定資産税の納付方法は、原則として現金納付のみです。そのため、以下の場合には固定資産税を支払えない可能性があります。

  1. 遺産分割協議で取得した相続財産が不動産のみで、手元の現金預金が少ない場合
  2. 遺産分割協議が固定資産税の納付期限までにまとまらず、被相続人の現金預金が凍結されたままである場合

相続財産のうち不動産の比率が高い場合、固定資産税の負担も大きくなります。また、相続財産のうち現金預金の占める割合が少ない場合や相続人が十分な貯金がない場合は、資金を納付期限までに準備できず、固定資産税が払えない可能性があります。

また、場合によっては遺産分割協議が進まず、固定資産税の納付期限が先にきてしまうかもしれません。その場合は、以下の支払方法を検討しましょう。

  • 相続人の代表者が固定資産税を一時的に立て替えし、その代表者が相続財産からその立て替え分を精算する
  • 相続人の代表者が固定資産税を立て替えし、遺産分割協議後に不動産を相続した相続人からその立て替え分を精算する

なお、不動産を共有名義にした場合は、未払いの固定資産税は、その共有名義の相続人で共同負担となります。固定資産税の負担割合については、原則として持分割合に応じて決まります。もし兄弟で相続をした場合で、そのうちの誰かが滞納をすれば、自身が払えない場合と同じリスクを負う可能性があります。リスクについて詳しくは後述します。

ただし、遺産分割協議により、不動産を取得した相続人以外の者が未払固定資産税を支払っても問題はありません。

相続放棄をした場合

相続放棄をすれば、払えないというよりも、原則として固定資産税を支払う必要がありません

相続放棄とは、その相続があったことを知った日から3か月以内に相続放棄の手続きをすることによって、相続財産だけでなく、借金や滞納税金などの負債も放棄することができるというものです。

被相続人が債務超過の場合に、債務の引き継ぎを回避するために行うことが多いです。

つまり、相続放棄をすれば、その不動産の所有者ではなくなりますので、その不動産にかかる固定資産税についても支払う必要がなくなります。

ところが、年末に相続が発生した場合には、相続放棄をするタイミングによって、固定資産税を支払わなくてはならない場合があります。

固定資産税の納税義務者は、1月1日に課税台帳に登録されている不動産の所有者です。

年内に相続放棄の手続きが間に合わず、相続放棄の完了が年明けになってしまうと、1月1日時点で自治体の固定資産税の課税台帳にその不動産を取得した相続人が登録されてしまうので、固定資産税の納税義務者となることがあります。

その場合には、後に相続放棄をしたとしても、固定資産税の納税義務者となります。

【参考】不動産を取得した相続人が未成年の場合

固定資産税は、その不動産の所有者である登記名義者が負担する義務があります。

そのため、未成年者が不動産を相続により取得した場合であっても、原則としては、その納税義務はその未成年者にあります。

しかし、未成年者の場合は現実的には、固定資産税を支払うことができない場合やその判断能力が十分ではない場合が多いので、後見人と呼ばれるその未成年者の管理者や保護者が支払うことになります。

固定資産税を払えない場合に起こること

税金の上乗せ

固定資産税を支払う義務があるにもかかわらず、それができなければ、どのような問題が起きるのでしょうか。

固定資産税を払えないときの差し押さえリスク

固定資産税は滞納すると、法律上は、最短1か月で差し押さえとなります。

約20日で「督促状」が自治体から郵送され、その「督促状」の郵送からさらに10日程を経過し、そのまま納税を放置すると、法的に差し押さえ手続きが行われる可能性が生じます。

差し押さえをされる主な財産は、給与の預金口座や自宅などの不動産、有価証券などです。

相続財産が多額であるにもかかわらず、固定資産税をその納付期限までに支払わない場合には、故意に支払いをしていないとみなされ、その相続財産を差し押さえられる可能性があります。

差し押さえ後も支払いの意思を示さないで放置をした場合、相続財産の不動産が競売にかけられて、売却されることもあります。

固定資産税納付が遅れた場合の延滞税

固定資産税の支払いがその納付期限から遅れた場合、以下の割合の延滞金が追加でかかります。

  • 納付期限の翌日から1か月経過する日まで2.5%
  • 納付期限の翌日から1か月以降の場合は8.8%

※2021年度の割合です

遅延利息と罰金という意味もあり、マイナス金利といわれる時代にはかなり高い税率です。

また、固定資産税や延滞金の支払義務は、自己破産をしても免除されることはありません。そのため、税金の納付が遅れれば遅れるほど延滞金が加算されていき、税金の支払総額が増加します。

固定資産税を滞納しないためにできること

固定資産税を滞納すると、延滞金や差し押さえのリスクが発生します。

相続税、贈与税は、もっとも節税のしやすい税金といわれているので、生前に遺産分割や相続税のシミュレーションを行ない、固定資産税を滞納しないように対策をしましょう。

生前に納税資金を確保する

生前に納税資金を確保することで、固定資産税の滞納を防ぐことができます。具体的には、次の対策があります。

  • 固定資産税の納税資金を生前贈与する。(贈与税は年間110万円まで非課税となります。)
  • 生命保険金は遺産分割協議の対象外のため、生命保険に加入し、受取人を固定資産税の納税義務者とする。(保険事由が発生し、その受取保険金で固定資産税の納税資金にあてることができます。)
  • 遺言により現金預金の分割を指定し、固定資産税の納税資金を確保する。

遺産分割協議でもめた場合などで、相続財産を単純に相続分で分割するケースは、次の事由が発生しやすく、固定資産税を滞納してしまうことがあります。

  1. 相続財産を相続分で按分した結果、不動産のみを取得する相続人がいる。
  2. 相続財産のうち不動産の割合が多いので、相続分で財産を分割すると、逆に現金預金を他の相続人に支払わなければならない相続人がいる。

生前に被相続人、相続人で話し合いをし、税金の納税を含めて遺産分割協議のシミュレーションをしましょう。

換価分割により不動産を売却

「換価分割」とは、相続財産の不動産を売却して、その売却した金銭を相続人で分割する手続きです。
不動産を売却したあとに、その売却資金を含め、すべての現金預金を相続人が公平に相続分で取得することができるので、遺産分割協議で揉めることはありません。

また、不動産を売却した後は、固定資産税や不動産の維持管理費などにお金をかける必要がなくなりますので、相続人の未払債務などの金銭面の負担も考える必要がなくなります。

換価分割のデメリットとしては、以下のようなことが考えられます。

  • 相続人全員が売却することに合意しなければならない。
  • 申告期限までに売却先が見つからない可能性がある。又は不動産の売却先が限定され、最善の条件で売却できない可能性がある。
  • 不動産を売却したときに、売却益が発生した場合は、譲渡所得税が発生し、相続財産が減少する。

相続財産の不動産の所有に固執する理由がなければ、選択肢の一つとなるでしょう。

不動産をリースバックし、代償分割

不動産を売却して、その売却資金を分割する換価分割は、公平性が高い遺産分割の方法です。しかし、相続した不動産に住む予定がある場合は、その選択ができません。

その場合は、自宅などの不動産をリースバックし、他の相続人にその売却資金で代償分割することができます。

ちなみに、相続人が不動産などの高額な財産を相続する代償として他の相続人に相続分の不足を現金で支払う相続の方法のことを「代償分割」といいます。

「リースバック」とは、自宅などの不動産をいったん不動産会社などに売却して、売却後すぐに、その不動産を賃貸借契約により、賃借料を支払いながら、その自宅に住み続けることができるという取引です。

不動産売買による売却資金を金銭で受け取ることができるため、その売却資金を固定資産税の納税資金に利用できますし、代償分割として、他の相続人の相続分にあてることができます。

また、昔からの住み慣れた自宅に継続して居住することができるますので、大きなメリットがあります。

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