リースバックで資金調達はアリ?その実態や仕組みをわかりやすく解説

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リースバックで資金調達はアリ?その実態や仕組みをわかりやすく解説

リースバックは、資金調達の選択肢のひとつとして注目されています。しかし、リースバックで資金調達することは本当に有益なのでしょうか。

リースバックがどのようにして資金調達の手段となり得るのか、そのメリットとリスクを明らかにし、実際の事例を交えながら、その全貌をわかりやすく解説します。賢い資金調達を目指すあなたにとって、リースバックは果たして「アリ」なのか、「ナシ」なのか、一緒に確認していきましょう。

借金ではない資金調達なら、リースバックがおすすめです

リースバックとは?

主な資金調達方法はこの3つ!それぞれの違いとは?

資金が必要になったとき、主な資金調達方法には「デッド・ファイナンス(負債を増やすこと)」「エクイティ・ファイナンス(資本を増やすこと)」「アセット・ファイナンス(資産を現金化すること)」があり、リースバックはアセット・ファイナンスのひとつです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

デッド・ファイナンス

デッド・ファイナンスとは、主に銀行借入れや社債発行、投資家からの融資による資金調達のことです。企業や個人が特定の目的のために外部から資金を調達する手段のひとつで、返済の義務や利息が発生します。

デッド・ファイナンスのメリットは、借入れ先の選択肢が多く、資金を迅速に調達できる点です。また、借入れによって得た資金で収益性の高い投資に挑戦することもできるでしょう。

一方、リスクも伴います。返済不能になると財産を失うおそれがあります。また、高い利息が経営や家計の負担になることもあるでしょう。

エクイティ・ファイナンス

エクイティ・ファイナンスとは企業が株式を発行し、出資を受けることによる資金調達のことです。

エクイティ・ファイナンスのメリットは、借入れのように返済の義務や利息を支払う負担がないことです。一方、資産や事業の一部を他者に売却することにより、所有権や事業のコントロールを失う危険性があるというデメリットもあります。

アセット・ファイナンス

アセット・ファイナンスは不動産などの資産を担保として、資産を購入したり、機械などを使用したりするための資金を調達する方法です。

たとえば、車や機械を購入するローンを組むには、購入する車や機械がローンの担保となります。また、自宅などの不動産を担保とするリースバックもこのアセット・ファイナンスに当たります。

アセット・ファイナンスのメリットは、資金を比較的容易に調達できる点です。また、資産そのものが担保となるため、ほかの担保は必要ない場合が多く、個人のほかの資産を自由に保持できます。

一方、資金を返済できない場合、担保としている資産を失うリスクもあります。

リースバック(セールアンドリースバック)とは?その仕組み

セールアンドリースバック(通称リースバック)とは、自宅を売却後に同じ家に賃貸住宅として住み続けられる仕組みです。「賃貸借契約付き売却」とも呼ばれ、売却と賃貸を組み合わせた方法です。

通常の不動産の売却では物件を空にして引き渡す必要がありますが、リースバックを利用する場合は、売却後も同じ住居に留まり続けることが可能です。そのため、住み慣れた環境を維持しながら生活を続けられます。

一見メリットが多いように思えるリースバックですが、実際にはリスクやデメリットもあります。この項ではリースバックの仕組みを詳しく見ていきましょう。

通常の売却に比べ低価格になりやすいが、すぐ現金化できる

リースバックは不動産を売却して現金を得るまで、最短2週間~1カ月と短期間で現金化が可能です。しかし、市場価格よりも低い価格で売却されることが予想されます。

なぜなら、リースバックを契約する会社が、将来的に不動産が下がるリスクを考慮して価格を下げるためです。つまり、売却側は迅速にまとまった資金調達が可能ですが、一定の金額を諦めることになるかもしれません。

資産の流動性が高くなるが、将来的な買い戻しコストが高騰するリスクを負う

リースバックは資金が必要なときに迅速に対応できるため、急な出費や投資などに対する資金調達として有効です。

しかし、将来的に不動産を買い戻す場合は損をするリスクも伴います。なぜなら、市場価格や不動産価格の変動により、売却のときよりもはるかに高いコストがかかるおそれがあるためです。

特に不動産市場が上昇傾向にある場合、買い戻し価格は当初の売却価格を大幅に上回ることが考えられます。

金融機関の審査を回避できるが、所有権を失う

通常のローンやリバースモーゲージに比べて、リースバックでは信用情報や返済能力の厳しい審査を受ける必要がありません。これは、特に何らかの理由により通常のローンを借りるのが難しい人、即座の資金調達が必要な人にとって大きなメリットです。

一方、リースバックを行うことで、売却した不動産の所有権を失うことになります。所有権の喪失は、資産の将来的な価値上昇や、資産を利用してほかの金融取引ができる可能性を放棄することを意味します。

仮に不動産価値が上昇した場合でも、その恩恵を受けられません。

固定資産税や都市計画税の負担がなくなるが、長期的な資金計画に影響を与える

売却後は不動産の所有権がリースバックを契約した会社に移行するため、固定資産税や都市計画税を支払う必要がなくなります。

一方、税の負担はなくなりますが、長期的な資金計画において影響を及ぼすおそれがあります。

リースバックを契約したあとは、固定期間のリース料の支払いが伴い、リース料の総額が元の不動産価値を超えるおそれもあります。最終的にはより多くの費用を支払うことになるかもしれません。

資金調達を理由にリースバックを利用するメリット

リースバックについて仕組みを解説してきました。

この項では、資金が必要になったとき、リースバックにどのようなメリットがあるのかを具体的に説明します。メリットを知ることで、リースバックを選択するかしないか答えが見えてくるでしょう。

  • すぐにまとまった資金を確保できる
  • 現金化したお金は何に使ってもOK
  • 住居の移転の必要がなく、生活の安定を保てる
  • 金融機関の審査が不要なので、時間と労力を節約できる
  • 短期間で経済的な問題を解決できる

すぐにまとまった資金を確保できる

リースバックによって自宅を売却することで、1カ月以内と短い期間で資金が手に入ります。このスピードは、急な出費が必要だったり、生活資金が足りなかったりしたときに、役立ちます。

また、通常のローンやほかの資金調達方法と比較して、リースバックは大量の現金を確保できる点でも優れています。

現金化したお金は何に使ってもOK

リースバックから得られる資金は、使用目的において制限がありません。借入金などと異なり、基本的に自由に利用が可能で、生活資金、借金返済、教育費用、緊急の医療費、ほかの個人的なニーズにも対応できます。

リースバックの柔軟性は、経済的状況や目的によっては大変効果的でしょう。

住居の移転の必要がなく、生活の安定を保てる

リースバックを利用すれば、自宅を売却してもその場所に住み続けることが可能です。そのため、住居の変化に伴うコストやストレスを避けられ、生活の安定を維持できるでしょう。

家庭環境や仕事の状況が変わらず、普段の生活を保ちながら資金調達ができる数少ない方法のひとつです。リースバックは、生活基盤を維持しつつ経済的なニーズに応えているともいえるでしょう。

金融機関の審査が不要なので、時間と労力を節約できる

通常のローンでは金融機関の審査を必要とする場合が多く、時間と労力がかかります。一方、リースバックでは審査を必要としないため、時間と労力を節約できます。

特に信用情報に問題がある場合や、従来の融資方法では資金調達が困難な場合に、リースバックは有効な選択肢となるでしょう。

審査が煩雑で時間を要するデメリットを避けたい方、迅速かつ効率的に資金を手に入れたい方に、おすすめです。

短期間で経済的な問題を解決できる

即座にまとまった資金を確保できるため、借金の返済や急なニーズに対応できます。

また、リースバックは何らかの資金繰りに困っている場合も経済的な余裕を生み出す手段となり、迅速に対応するための戦略的な選択といえるでしょう。

資金調達を理由にリースバックを利用するデメリット

リースバックのメリットを説明してきました。

一方、資金調達が理由だとしてもリースバックにはデメリットもあります。この項では、デメリットを具体的に説明します。デメリットを知ったうえで、最終的に利用するかどうか決断してください。

  • 売却後に買い戻す場合は、売ったときより高くなる
  • 長期的には高額なリース料が発生する
  • 所有権の喪失による不利益がある
  • 契約条件が厳しく、利用方法の選択肢が狭まる

売却後に買い戻す場合は、売ったときより高くなる

リースバックの大きなデメリットは、売却後に不動産を買い戻す場合、売却時よりも高い価格になるリスクが非常に大きいことです。

リースバックの契約では、最初は現金が手に入りますが、市況により不動産の価値が上昇した場合、将来的に元の不動産を再取得するコストが増加します。

特に不動産市場が好調な時期に行うと、買い戻し時の価格が売却時より大幅に高くなるリスクがあります。このリスクを軽減するには、リースバック契約時に買い戻し条件を慎重に検討し、将来の市場の動向を予測する必要があります。

しかし、市場の変動を完全に予測することは難しく、結果として売却時よりも高額で買い戻さなければならない状況に直面するかもしれません。

リースバックを検討する際には、短期的な資金調達のメリットと長期的なコストのバランスを十分に考慮することが大切です。

長期的には高額なリース料が発生する

リースバックは短期間で資金を確保できる一方で、長期的にはリース料としての出費が発生します。リース料は時間がたつにつれて蓄積し、最終的には元の不動産の価値を上回る可能性があります。

そのため、長期的なマネープランにおいて大きな負担となるかもしれません。

所有権の喪失による不利益がある

リースバックでは、資金を得るために不動産の所有権を手放します。そのため、もし将来的に資産の価値が上がっても利益を得る機会を失うことになるでしょう。

結果として、潜在的にある資産の成長を逃すことになるかもしれません。

契約条件が厳しく、利用方法の選択肢が狭まる

リースバックの契約を結ぶ際、利用者はリース期間、月額のリース料、物件の買い戻し条件など、多くの規約に同意する必要があります。これらの条件は通常、リースバックを契約する会社に有利に設定されており、利用者があとになって変更を求めるのは難しいでしょう。

長期にわたるリース契約は、物件を買い戻す際の条件によっては利用者が不利な状況に置かれるおそれがあります。
このように、リースバックは最初の資金調達のメリットを受けられますが、長期的には自由に使える選択肢が狭まり、経済的には損をするかもしれません。


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