今回はリースバックの審査について解説します。これから利用する方は、審査で重視されるポイントを確認して早めの対策をしましょう。
目次
リースバックを利用するための審査
リースバックは、そのサービスを提供する会社などに自宅を売却後、賃貸としてそのまま住み続けられるという仕組みです。
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しかし、リースバックは自宅を持っている人なら誰でも利用できるというものなのでしょうか。詳しくみていきましょう。
リースバックで審査される内容は?
金融機関からの融資とは性質が異なるため、不動産を担保にした住宅ローンのように収入や勤続年数などの信用情報を厳密に審査することはありません。
一般的なリースバックで行われるのは、以下の2つです。
- 不動産価値の調査
- 家賃を払えるか(個人の審査)
不動産価値の調査は、将来的に不動産を売却する可能性を視野に入れて、リースバックを提供する会社が独自に行います。
重視されることが多いのは、住宅の資産価値(リセールバリュー)や売れやすさ(流動性)です。また、業者が買い取りを行うことから、物件の瑕疵や再建築に制限(法令上の制限)はないかなど、通常の査定とは異なる着眼点からも物件評価を行います。
物件評価は上記のように厳格に行われますが、その反面、個人の審査はそれほど重要視されていないようです。
そのような理由から、高齢者や過去に金融機関の審査に落ちてしまった方でも、一定の条件を満たせばリースバックを利用できる可能性があります。
まずは上記の審査方法を考慮して、リースバックの利用を検討されると良いでしょう。
利用に必要な条件
リースバックを利用するためには、一定の「利用条件」を満たしていなければなりません。一般的な条件を紹介します。
■名義人全員の同意はあるか
不動産を売却するためには、登記簿に記載されている全ての所有権者の同意(署名・捺印)が必要です。リースバックは、売買契約を締結して所有権を移転した後も賃貸の形で済み続けられるものなので、当然、売却と同じく全員の同意が必要です。
とくに注意を要するのが、相続により不動産を取得した場合です。この場合には、相続人の数だけ所有権者が存在する可能性があります。また、複数の所有権者が存在していなくても、相続登記を怠って故人の名義のまま放置されているケースもあります。
相続以外では、名義人が海外など遠隔地に住んでいたりする場合も考えられます。登記簿を確認して、契約にあたって問題がないか確認をしておくと良いでしょう。
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相続対策としてのリースバック。相続税や相続させるときの注意点を解説
■オーバーローンになっていないか
オーバーローンになっていないことも利用条件の一つです。オーバーローンとは、物件の売却額よりも住宅ローンの残りの金額(残債)が上回っていることをいいます。
例えば、売却額が1,000万円の物件で住宅ローン残債が1,500万円の場合です。
現在の借入残高については、抵当権者である金融機関に出向く、または郵送などによる申請で確認することができます。なお、重要な個人情報のため電話で回答を得ることはできません。
また、住宅ローンを組んでいる場合は、物件に抵当権が設定されています。所有権以外の抵当権・根抵当権・賃借権などは、登記簿の「乙区」欄に記載されています。所有権移転を行うには、これら記載されている権利を全て抹消しなければなりません。
抵当権は、必ずしも金融機関が債権者とは限りません。個人や企業が債権者となっているケースもあるので、債権者名義人が誰かを把握しておきましょう。
上述の例でリースバックを利用するためには、預貯金や親族からの借入などで差額の500万円を用意し抵当権を抹消して、オーバーローンを解消する必要があります。
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審査前に確認すべきポイント
審査の問題で借入が難しいという人でも比較的活用しやすいリースバックですが、利用する前には、いくつか確認しておきたいポイントもあります。
買戻しの条件は?
リースバックは、売却した物件を契約次第で将来買戻すことができることが特徴の一つです。
しかし、買戻しを前提にリースバックを利用したものの、予定通り買戻すことができないケースがあります。よくあるのは、買戻し金額を高額に設定されていたり費用や期限などを考慮していなかったりすることです。事前に確認しておきましょう。
また、買戻し権を行使する場合には、その資金を融資でまかなうのか、それとも自己資金でまかなうのかも考えておく必要があります。
リースバックの利用時点で住宅融資が確実に組める保証はありません。年収や年齢、健康状態などにより融資が組めない可能性も視野に入れ、検討しましょう。
サービス提供会社の経営状態は?
リースバックではサービス提供する会社の経営にも注意する必要があります。
通常のリースバック契約では、売買予約契約を締結し仮登記申請まで行うので、勝手に売却されることはありません。しかし、このような保全契約が行われていない場合には、リースバックを提供する会社が業績不振となれば「オーナーチェンジ物件」として売却される可能性もあります。
問題を抱えないためにも、リースバック利用時に確認しておきましょう。
賃貸借契約の種類は?
リースバックは賃貸借契約の種類によって、更新の可否が異なります。とくに、定期借家契約で且つ更新の特約を交わさない場合、更新をしたくても会社側都合によって賃貸借契約の更新ができない可能性があります。
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いつまで住める?リースバックの居住可能期間と賃貸借契約
条項をよく理解をしていない状態で、意図とは異なる契約書に署名捺印してしまうとトラブルに発展する可能性があります。「聞いていた話と違う」と抗弁しても双方の合意(私的自治の原則)が行われたと推察され、契約を覆すのは容易ではありません。
契約内容の理解に自信が持てない場合には、第三者の専門家に相談するなどの準備をしておく方が良いでしょう。
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