実家を相続しても住む予定がないなら、親の居住中に家を売るという選択も

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実家を相続しても住む予定がないなら、親の居住中に家を売るという選択も

「自分はすでに実家を出て生活しており、実家には親だけが住んでいる」という場合、やがて親が亡くなれば、相続するその実家はどうなるのでしょうか。

今回は、自身が居住する予定のない実家の扱いについて解説します。

親が亡くなったとき、実家の相続手続きはどうする?

両親がともに他界したあと、両親が所有していた実家(建物・土地)不動産は、子が相続するのが一般的でしょう。

しかし、「家が手に入る」と思って、喜んでいる場合ではありません。不動産の相続については気をつけておかないと非常に困ったことになるケースもあるのです。特に、実家を出て独立した後、自分のマイホームを購入していたり、遠方に住んでいるなどして、相続した実家に戻る予定がない場合は要注意です。

実家を相続したあとの流れ

まずは、相続手続きについて、基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。

誰かが亡くなると、その時点で相続が開始されます。

相続人となる人は、自身が相続人になることを知った日(通常は相続開始のとき)から3ヵ月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなくてはなりません。

そして相続開始から10ヵ月以内に、相続人は遺産分割協議書を作成して遺産の分割の仕方を決め、相続税の申告・納付を行う、というのが相続のスケジュールです。

つまり、親が亡くなってから10ヵ月以内には、実家の相続の基本的な手続きを終える必要があります。仕事や生活をしながらやるには、なかなかハードなスケジュールです。

兄弟がいたり、親が遺言によって特別な意思表示をしているなどの理由で、遺産分割協議に時間がかかればなおさらです。

相続税の納税や名義書き換え(相続登記)

相続した結果、相続財産の額によっては相続税が課税されます。税負担も頭の痛い問題になるかもしれません。

遺産分割や相続税の納税がスムーズにいったとしても、実家を相続したなら、手続きが必要です。親の所有物だった物件を、相続した子のものにする名義書き換え(相続登記)を行わなくてはなりません。

この手続き自体は、相続税の申告・納付の期限より後になってもかまいませんし、さらに言えば義務でもありません。しかし、その後、物件を売却するときには必要ですし、基本的には行っておくべきでしょう。

相続登記には、被相続人(亡くなった人。この場合は親)が亡くなったことを示す戸籍や住民票の除票のほか、遺産分割協議書や相続人全員の戸籍・印鑑証明といった多くの書類が必要で、かなり手間のかかる手続きと言えます。

住まない実家の相続はやってはいけない?

親の持ち物だった実家を相続したが、自分自身はその実家に戻る予定がない場合、さまざまな問題が発生することがあります。

大きく分けて、

  • 税負担が増すリスク
  • 物件自体が負担になるリスク

があると言えます。詳しくみてみましょう。

独立している子が実家を相続すると相続税が跳ね上がるリスクあり

まずは税負担のリスクです。

相続があったとき、相続財産の額に応じて相続税が課税されます。相続財産に不動産が含まれている場合、物件が相続財産としていくらの価値があるかを国税庁が公表する「相続税評価額(路線価)」にもとづいて評価します。

物件の評価額が高いほど、相続税の負担が大きくなる可能性が高いと言えます。

しかし、簡単に処分できない不動産に高額な相続税を課すと納税が難しくなる人が多くなり、また、土地の評価額が実態とかけ離れたものになっている場合もあることから、一般的な居住用の不動産は、その評価額を大幅に割り引いて評価するという特例制度が設けられています(「小規模宅地の特例」)。

問題は、この「小規模宅地の特例」には、特例を受けるためのさまざまな要件があり、そのなかに、相続人が被相続人と同居していた場合というものがあります。

つまり、実家から独立している子が、親から実家を相続した場合、この特例を使えないのです。

例外として、相続人が自分自身が所有する家を持っておらず、相続開始3年前までに自分か配偶者の所有する家に住んだことがないなどの条件を満たす場合は特例を使用できます(「家なき子特例」)。

いずれにせよ、実家から独立して自分の住まい(マイホーム)を購入している人は特例を使えません。

「小規模宅地の特例」は、不動産の評価額を8割減するという非常に大きな評価額低減効果があったため、この特例を使用できない場合、状況によっては相続税負担が跳ね上がる可能性があります。

実家を空き家のまま所有することもリスクに

次に、相続したあと、親が亡くなった空き家になった実家を保有し続けることにもリスクがあります。

まず、単純に、空き家は管理が難しいため、老朽化によって美観を損ねる、倒壊や害虫の発生、火災や犯罪を誘発するといった事情で近隣に迷惑をかける危険性があります。

近年、こうした空き家問題を重く見た国の施策で、適切な管理がされていない空き家を「特定空き家」に指定し、固定資産税の軽減対象から外すといった制度ができています。

そのため、空き家を保有していることで税負担が増す可能性があります。

これを回避するためには、適切な管理をしながら保有を続けなくてはならず、そのための管理費用も生じてしまいます。実家が今の住まいから遠方にある場合などはそれだけ手間もかかることでしょう。そして、軽減されていたとしても、不動産保有による固定資産税の負担は発生します。

住んでもいない空き家をただ持っているだけで、さまざまなリスクや負担があるのです。

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住んだまま家を売却できるリースバックとは

相続後のリスクを生前に回避できる「リースバック」

自分が住まない実家を相続することにはリスクがあることをお伝えしました。

どうすればこのリスクを回避できるでしょうか。

相続リスクの対策は家を手放すこと

ひとつの方法は、相続前に不動産を処分してしまうことです。

しかし、問題は、相続が開始するまでは、その実家には親がまだ住んでいますから、家を処分してしまうと親が住むところを失ってしまいます。

もちろん、賃貸に移ってもらうという方法もありますが、相続が間近な高齢の親が、新しい住まいで暮らしを始めるのは簡単なことではありません。

そこで、「リースバック」という方法が有力な選択肢になります。リースバックとは、住まいを売却したあと、買い手との間に賃貸契約を結び、売り手が賃借人となってもとの家に住み続けるという仕組みです。

リースバックなら、生活環境を変えずに不動産を処分可能

リースバックのメリットは、不動産を売却して、売却益を得ながら、同じ物件に住み続けることができるという点です。

引っ越しが不要なことはもちろん、生活スタイルを変える必要もありませんし、外部から家を売ったことを知られることもありません。

これは高齢の親が、生活環境を変えることなく、実家を売却できることを意味しています。

まとまった売却益が手に入ることもメリットでしょう。親の老後資金として使うことができます。高齢の親が住みやすいよう、リフォーム資金にしてもいいのではないでしょうか。

親が亡くなった後は、子どもが賃貸人の地位を承継して賃貸契約を引き継ぐこともできますが、住まない実家を相続するリスクの回避という目的からは、物件を手放すのが妥当です。

このように、リースバックを活用することで、親に迷惑をかけることなく、住まない実家の相続リスクへの対策ができます。実家の相続問題を懸念している人は、選択肢のひとつとして、ぜひ検討してみてください。

まずは複数のリースバック会社へ相談を

リースバックを利用する場合は、必ず複数のリースバック会社を比較しましょう。リースバック会社によってサービス内容に違いがあるため、1社だけと相談しても、自分に合ったサービスが受けられるとは限らないのです。

複数のリースバック会社への問い合わせは「リースバック比較PRO」が便利です。自宅の情報や連絡先などを一度入力するだけで、一括で問い合わせができます。あとはリースバック会社と相談して、自分に合ったサービスの会社と契約するだけです。

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執筆・編集

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