「売っても住めるんだワン!」という可愛らしい名前のリースバックは、株式会社センチュリー21・ジャパンが運営しています。名称のとおり、家を売ったあとも住み続けられるサービスです。
リースバックは事業者によって、細かいサービス内容が違うため、自分に合うものを見つける必要があります。売っても住めるんだワン!はどんなリースバックなのか、ほかのサービスと比較してみましょう。
目次
売っても住めるんだワン!とはどんなサービス?
売っても住めるんだワン!とは、株式会社センチュリー21・ジャパンが運営するリースバックのことです。
リースバックとは、自宅を不動産会社などに売却したあと、賃貸借契約を結んで家賃を払いながら住み続けられる不動産取引です。最大のメリットは、住み慣れた環境を変えないまま、まとまった資金を手に入れられる点にあります。「引っ越しの負担がない」「売却したことを周囲に知られずに済む」「固定資産税や修繕費の負担がなくなる」といった利点があるため、老後資金の調達などで活用されるケースが増えています。
現在、リースバックはさまざまな企業によって運営されており、仕組みやサービス内容がそれぞれに異なるのが特徴です。売っても住めるんだワン!は、「自宅以外のさまざまな不動産で活用できる」「幅広いエリアに対応している」といった特徴を持っています。
それでは、売っても住めるんだワン!の特徴を詳しく見ていきましょう。
売っても住めるんだワン!の特徴
売っても住めるんだワン!には、リースバックの基本的なメリットとともに、いくつかの特徴的な仕組みがあります。ここでは、売っても住めるんだワン!の仕組みや特徴を紹介します。
賃貸借契約は何度でも結べる
リースバックで売却した自宅は、賃貸借契約を結んで借りることとなります。賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があり、リースバックでは定期借家契約が用いられるケースが多いです。
売っても住めるんだワン!でも、原則として「2年間の定期借家契約」を結ぶこととなります。ここでは、定期借家契約の基本的な特徴と、売っても住めるんだワン!の仕組みについて解説します。
普通借家契約と定期借家契約の違い
定期借家契約とは、あらかじめ契約期間を決めておき、期間が満了したら契約が終了する方式です。契約終了後も住み続けるためには、貸主・借主双方の合意によって改めて契約を結ばなくてはいけません。なお、貸主には再契約の義務がないため、状況によっては退去を求められることもあります。この点が、定期借家契約の大きなデメリットといえるでしょう。
一方、普通借家契約は契約期間が満了となっても、借主が希望すれば再契約が可能です。正当な理由がなければ貸主は再契約を拒否できません。普通借家契約と比べると、定期借家契約は家賃が相場よりも低い傾向にあるのがメリットとなります。
売っても住めるんだワン!は再契約可能
売っても住めるんだワン!では、2年間の定期借家契約となっているものの、事前に覚書を締結することで、「満了後も再契約できる」仕組みとなっています。再契約には、家賃の不払いがないなどの条件を満たす必要がありますが、特に問題がなければ2年を超えて居住することも可能です。
収益不動産や店舗なども対象
リースバックでは、サービスを提供する運営会社によって、取り扱える不動産の種類が異なります。たとえば、一戸建ての取り扱いに強みを持つ不動産会社であれば、一戸建ての自宅のみを対象とすることもあるでしょう。
売っても住めるんだワン!の運営会社である株式会社センチュリー21・ジャパンが豊富な取引実績を持っているため、一戸建てから区分マンション、一棟ビルまで幅広い物件でリースバックが可能です。さらに、土地や収益不動産、自宅兼店舗といった物件も含め、形態や用途、築年数にかかわらず取り扱われています。
そのため、ほかの運営会社で断られてしまった場合でも、売っても住めるんだワン!であれば相談に応じてもらえるかもしれません。
保証人は不要
賃貸借契約では、家賃の滞納などのトラブルに備えて、保証会社を利用しているところが少なくありません。リースバックでも一般の賃貸物件と同じように、借主側が保証人を用意する場合があります。
ただし、「自身が高齢である」「子どもや親戚には迷惑をかけたくない」といった理由で、保証人を用意するのは現実的ではない方もいるでしょう。そこで、売っても住めるんだワン!では、保証会社による機関保証が採用されています。
保証会社に保証料を支払うことで、契約の安全性を担保できるため、保証人を用意できない人でも安心してリースバックを利用できるのが特徴です。
売っても住めるんだワン!の運営会社
売っても住めるんだワン!は、株式会社センチュリー21・ジャパンによって運営されています。同社の会社概要は以下のとおりです。
| 運営会社名 | 株式会社センチュリー21・ジャパン CENTURY 21 REAL ESTATE OF JAPAN LTD. |
|---|---|
| 設立 | 1983年10月21日 |
| 所在地 | 【本社】 東京都港区北青山2-12-16 北青山吉川ビル7F |
| 営業拠点 | 関西支店(大阪府大阪市)、中部支店(愛知県名古屋市)、九州支店(福岡県福岡市)、北海道支店(北海道札幌市)、仙台オフィス(宮城県仙台市)、中四国連絡オフィス(関西支店内) |
| 代表者 | 高坂 勇介(代表取締役社長) |
| 株式 | 上場:スタンダード市場(証券コード8898) |
| 資本金 | 5億1,775万円 |
センチュリー21は、1971年にアメリカで誕生した世界最大級の不動産ネットワークです。設立後3年で全米の店舗数を1,000に増やすと、1983年には日本の伊藤忠商事と提携し、株式会社センチュリー21・ジャパンが設立されました。
設立後は1980年代から90年代にかけて、加盟店舗数を着実に増やすとともに関西圏・中部圏へと展開し、日本最大級の不動産ネットワークに成長します。さらに、2000年代以降は九州・北海道エリアにも進出し、中古住宅とリフォームを組み合わせた新サービスとして「リボーン21」を開始しました。
その後はリースバックサービスである、売っても住めるんだワン!を2018年にスタートし、2022年には東京証券取引所の市場再編でスタンダード市場に上場します。2023年には加盟店舗数が1,000店舗を超え、さらなる成長を続けています。
不動産仲介業のフランチャイズ本部
1983年の設立以来、株式会社センチュリー21・ジャパンは不動産仲介業のフランチャイズ本部として、「フランチャイズの運営」「加盟店のバックアップ」「情報システムの提供」「共同広告の実施」「加盟店・加盟店顧客への金融・保険サービスのあっせん」などを一貫して行っています。40年以上にわたって積み上げられてきた信頼と実績、仲介のノウハウを活かして、地域に根付いた営業を続けているのが特徴です。
全国の多様な地域でリースバックに対応
運営会社が全国に数多くの加盟店を持つことから、売っても住めるんだワン!は多くの地域で扱われていることが特徴です。首都圏以外の主要都市も対応しているため、ほかの運営会社では取り扱えないと断られてしまった人もリースバックを利用できる可能性があります。
売っても住めるんだワン!を利用するときの注意点
売っても住めるんだワン!に限らず、リースバックを利用する際は、運営会社ごとの注意点を押さえておく必要があります。ここでは、利用を検討するうえで知っておきたいポイントを見ていきましょう。
利用できないケースがある
売っても住めるんだワン!は、比較的、幅広いタイプの不動産に対応していますが、物件の状況によっては利用できないケースがあります。具体的には、次の3つが挙げられます。
- 借地上に建物がある
- 売却してもオーバーローンになってしまう
- 取り扱いが難しい地域にある
借地上に建物がある場合は、土地と建物の所有者が異なるため、本人の一存だけでリースバックを進めることはできません。ただし、土地の所有者と調整ができれば利用できることもあります。
そのため、まずは運営会社に状況を相談してみるのも1つの方法です。また、住宅ローンが残っている物件で、査定価格よりも残債のほうが多い(オーバーローン)場合も、そのままでは利用できません。
売却するには住宅ローンを完済し、金融機関の抵当権を抹消する必要があるため、残債が査定価格を上回る場合は自己資金で差額を補う必要があります。オーバーローンになるかどうかは、査定価格と残債のバランスで決まるため、必ず事前に残債をチェックしましょう。
また、取り扱いが難しい地域にある物件は、契約を断られることがあります。担当店舗に隣接する地域でも、エリアの特性や市場環境によって利用できないケースがあるため、不安な方はあらかじめ問い合わせしておくことが大切です。
所有権が提携企業に移動する
売っても住めるんだワン!を利用すると、売却後の物件は運営会社の提携企業が所有権を取得します。運営会社であるセンチュリー21・ジャパンはあくまでも仲介者であり、所有権が提携先に移転する点は、一般的なリースバックと異なる仕組みなので注意しましょう。
ただし、提携企業の「株式会社インテリックス」は、運営会社である株式会社センチュリー21・ジャパンと同様、不動産業界における確かな実績を持っています。そのため、移転先としては十分な信頼性があります。
敷金・その他の費用がかかる
売却後の賃貸借契約では、家賃以外にも初期費用として敷金・火災保険料・賃貸保証料・事務契約手数料といった費用がかかります。敷金は、特に問題がなければ手元に返金されますが、敷金ゼロとしている運営会社も少なくはないため、比較したときにはデメリットとして感じられる面もあるでしょう。
しかし、売っても住めるんだワン!では家賃の滞納などの問題がなければ、契約期間中に支払う保証料が徐々に安くなる仕組みを導入しています。
再契約時に費用がかかる
売っても住めるんだワン!は、契約時に希望すれば、2年間の定期借家契約が満了してからも再契約を結ぶことが可能です。このとき、再契約手数料として「家賃1カ月分」を支払います。
さらに、再契約時に経済状況の変化などにより、家賃の見直しが行われることがありますが、利用者の経済状況にあわせて決定しています。契約の期間満了時にはそのまま退去できるため、状況に合わせて選択するとよいでしょう。
売っても住めるんだワン!が向いているのはこんな人
ここまで紹介した売っても住めるんだワン!の特徴を踏まえて、どのような人に適しているのかを整理してみましょう。
いずれは引っ越す予定がある
売っても住めるんだワン!は、2年間の定期借家契約を結ぶリースバックサービスです。利用者が希望する場合は、再契約を結べますが、契約時に家賃1カ月分の手数料や保証料などのコストがかかります。
そのため、売却後も長く住み続けることを前提とした場合は、トータルコストに注意する必要があります。
ほかのリースバック会社から対応エリア外といわれた
売っても住めるんだワン!は全国に店舗を持つセンチュリー21・ジャパンが運営しているため、ほかのリースバック会社がカバーしていないエリアでも、対応してもらえる可能性があります。
ただし、必ずしもすべてのエリアに対応しているわけではないため、利用を検討する際は早めに相談しておくとよいでしょう。
収益不動産や自宅兼店舗のリースバックを希望している
一棟ビルなどの収益不動産、自宅兼店舗といった特殊な物件も、売っても住めるんだワン!では取り扱っています。たとえば、旧耐震基準の分譲マンションも対象のため、「築年数の関係で断られてしまった」「査定価格が低いために利用できないといわれてしまった」という人でも、リースバックを利用できる可能性があります。
売っても住めるんだワンの活用事例
最後に、売っても住めるんだワン!の活用事例を紹介します。
老後資金の確保
リースバックは、老後資金を用意する手段として活用されることが多いサービスです。たとえば、「長期の入院が必要による医療費の準備金」「自営業の事業をたたんだあとの生活資金」など、自身や家庭の事情に合わせてさまざまな活用事例があります。
いずれの場合でも、「愛着のある我が家に住み続けられる」という点が決め手となるようです。
遺産分割の円滑化
住居をスムーズに現金化できる点から、リースバックは相続後の遺産分割に用いられることもあります。引き続き住みたい相続人は賃貸で生活環境を維持しつつ、資産として現金化できるため、複数の相続人がいても不公平感が生まれる心配はありません。
現金化までのスピードも速いため、相続税対策にも役立ち、スムーズな手続きが可能です。
事業資金の調達
売っても住めるんだワン!は事業用不動産でも活用できるため、事業資金の調達や企業再生などの場面でも有力な選択肢となります。事務所や倉庫、店舗などを売却しつつ、引き続き賃貸で使い続けられ、拠点を移すことなく円滑な資金調達が可能です。
また、リースバックで得た資金は売却代金のため、財務状況が思わしくないときなど自由に利用できるのが特徴です。財務状況が回復した際は買い戻せるため、予期せぬ事態の助け舟として活用できるでしょう。
期待するリースバックを見つけるなら比較が大事
リースバックは運営会社によってサービスに違いがあり、どこでも同じではないことに注意が必要です。そのため、リースバック利用の相談をするときは、1社だけでなく、複数社に声をかけるようにしましょう。大切な自宅を売却するのですから、焦らず、期待するサービスを受けられるリースバック会社を選んでください。
複数のリースバック会社に相談するときは「リースバック比較PRO」をご利用ください。1度の入力で自宅のエリアに対応できる、リースバック会社を提案します。
また、リースバック会社ごとのサービスの違いを比べたい人は、ほかの会社のサービスもチェックしてみましょう。











