「生活保護と年金はどっちが得か」の誤解と取るべき選択

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「生活保護と年金はどっちが得か」の誤解と取るべき選択

無年金、生活保護の人のほうが国民年金のみの人より暮らしぶりが良いと話題になり、「ずるい」「おかしい」などの意見がでています。なぜ、このような状況になっているのでしょうか。

今回は、生活保護と年金の関係について解説していきます。

借金ではない資金調達、リースバックって?

リースバックとは?

生活保護と年金を比較してみよう

まず、生活保護と年金について、それぞれ基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。これらはいずれも、日本で暮らしている人に与えられる福祉制度のひとつですが、その内容は大きく異なります。

生活保護とは

生活保護は、国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために、生活に困っている人に対して、国が保護をして、自立を助ける制度です。

国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する
生活保護法

より直接的かつ大雑把にいってしまうと、「お金がなくて生活できない人に、国から生活費が支給される」というものだと理解すればいいでしょう。

生活保護は誰でも利用できますが、もちろん、なんの条件や制限もなくお金がもらえるわけではありません。

  • 働いて収入を得られないか?
  • 今ある資産を換金できないか?
  • ほかの福祉制度を利用できないか?

など、できるだけのことはやったうえで、それでもお金が足りない場合にのみ、利用できます。その意味で生活保護は最後の手段であり、セーフティネットであるといえます。

生活保護を利用したい場合は、福祉事務所に申請を行います。福祉事務所とは、基本的には市町村役場の中にある福祉担当の窓口がそれにあたります。

生活保護は世帯単位で支給されます。申請があった世帯の収入が、住んでいる地域や世帯の人数・年齢などから決まる「最低生活費」を下回っている場合、最低生活費に満たない分が、国から支給されるという仕組みです。


年金(国民年金)とは

「年金」という言葉は、「毎年、受け取れるお金」という意味です。一般に年金といったときは公的年金制度を指す場合が多いでしょう。

日本に暮らすすべての人は、20歳になると「国民年金」という公的年金制度に自動的に加入します。以後、原則、60歳になるまで、国民年金保険料を支払わなくてはなりません。

そのかわり、65歳になると、「老齢基礎年金」という年金を受給できるようになり、以後、生きている限り、年金を受給し続けることができます。

歳をとって働けなくなっても、国からお金を支給してもらえるということです。

年金は、基本的には無条件で受け取ることができますが、国民年金保険料の未納期間が多くあり、納付済み期間が10年未満の場合は受給できません。10年以上の納付があれば受給できますが、未納期間や、保険料を減免された期間がある場合、受給できる額は少なくなります。

現在、まったく未納・減免がない人の場合、年額で78万900円の年金を受給できます(2021年度)。

生活保護と年金の比較表

生活保護と年金の違いを整理してみましょう。

生活保護と年金の比較表
生活保護 国民年金
受給資格 収入が「最低生活費」に満たない世帯で、ほかの手段で収入を得ることができない場合。 原則65歳以上で、国民年金保険料を10年以上納付していた人。
受給額 最低生活費から現在の収入額を差し引いた差額。 定額(2021年度は年額78万900円)。ただし未納・減免があった場合は減額される場合あり。
受給可能期間 収入が最低生活費を上回るなど、受給資格を満たさなくなるまで。 一生涯。
受給の手続き 地域の福祉事務所に申請する。 受給開始年齢の前に手続き書類が送られてくるので、年金事務所で手続きを行う。

生活保護と年金の不思議な関係

年金はすべての人が受給可能ですが、生活保護は緊急的なセーフティネットにあたる制度です。趣旨の異なるものですが、このふたつの制度によって、少しおかしいと思えるような状況になってしまうこともあるようです。

無年金でも、生活保護は受給可能

生活保護と年金は、いずれも「国からお金がもらえる」という点は同じです。ですが、年金については、年金保険料を納める必要があるため、その意味ではただお金をもらっているわけではありません。一方、生活保護は、条件さえ満たせば支給されます。

そうすると、「年金ではなく、生活保護をもらっているほうが得ではないか?」という考え方も成り立つように思えるのではないでしょうか。

もし、年金保険料の納付期間が10年に満たず、年金を受け取れないことになった場合、どうなるでしょうか。年齢などの関係で働いて収入を得るのが難しく、ほかに資産もないようであれば、生活保護の支給対象となるでしょう。

そうすると、この人は、年金保険料を納めていないわけですから、年金保険料を納めたうえで年金を受け取り、その収入があるので生活保護は受給していない人と比べると、年金保険料を支払っていないぶんだけ、トータルで考えると「得をしている」といえなくもありません。

年金を受け取れない人が、なぜ年金保険料を納めていなかったのかはいろいろな事情があるでしょうが、保険料の納付が難しい場合は、減免の手続きをするべきであり、単に未納であるという状態は、適切とはいえません。

その結果、「無年金」となった人が、年金保険料を納めてきた人が受給する年金と同等の生活保護を受給するのを「おかしい」「理不尽だ」と感じる人がいるのは理解できます。

生活保護と年金は両方受け取れる?

ところで生活保護と年金を同時に受給することは可能でしょうか?

結論からいうと、受給は可能です。

ただし、生活保護は、一定の「最低生活費」に収入が満たないぶんが支給されるという仕組みであったことを思い出してください。収入が「最低生活費」以上であるなら生活保護を受けることはできません。

年金もここでいう収入に含みますので、年金を受給した結果、収入が最低生活費を上回るようであれば生活保護の受給はできませんし、下回っていたとしても、生活保護として支給されるのは、最低生活費から収入である年金額を差し引いた差額(=最低生活費に満たないぶん)だけです。

そのため、生活保護と年金の両方を受給することで、より多くのお金が受け取れるということはありません。

 「老後は生活保護でいい」は危険

「年金保険料を納めず、無年金で生活保護をもらったほうが得」……そんな考え方をする人もいるようです。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。倫理的な観点だけでなく、実際的な面からも、生活保護を軸にした生活設計にはリスクがあります。

生活保護は貯蓄ができず、生活レベルが上がらない

生活保護は、本来、生活に困窮したときに、暮らしを立て直すまでの一時的な対処であることを想定しています。

そのため、生活保護から支給されたお金は貯蓄できません

現役世代の人が生活保護を受けた場合、できるだけ早期に、再び収入を得て自分の力で暮らしていけるようになることを目指します。

高齢になってから生活保護を受給すると、その後、継続的に収入を得るのが難しいため、結果的に生活保護を受給し続けるケースが多いのですが、そうすると、生活保護は貯蓄ができないので、永久的に「最低生活費」相当の収入しか得られないことになります。

その結果、生活のレベルそのものが最低限度のものに固定されてしまいます。

生活保護は確かに「もらえるお金」ですが、その額は「最低限度の生活ができる」とされているレベルであり、それを上げることもできない状態は、豊かとはいえないでしょう。

公的年金には保障のメリットもある

また、無年金であることは、単に、高齢になってから年金を得られないというだけにとどまらないリスクをはらんでいます。

公的年金制度には、保障の機能もあり、

  • 障害を負った
  • 配偶者に扶養されていたが、配偶者と死別した

といった場合に、「障害年金」「遺族年金」という形の年金が支給される仕組みになっています。こうした仕組みを利用するにも、一定以上、年金保険料を納めている必要がありますから、生活保護をあてにして年金保険料を納めないのは、リスクがあるといわざるをえないでしょう。

持ち家を活かして老後資金の調達ができる

持ち家のある人であれば、リースバックという方法で資金調達ができます。リースバックとは自宅を売却したあとも、賃料を払うことでそのまま住み続けられるサービスです。

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リースバックは会社によって提供するサービス内容に違いがあるため、複数社に問い合わせることが大切です。リースバック会社の違いを比較して、自分に合った会社と契約しましょう。

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執筆・編集

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