【入門編】不動産のリースバックを基本からわかりやすく徹底解説!

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【入門編】不動産のリースバックを基本からわかりやすく徹底解説!

不動産のリースバックとは、売却した物件に家賃を払って住み続けるサービスのことです。物件の売却でまとまったお金が入るだけでなく、引っ越しをせずに住み続けられるのが大きなメリットです。しかしその一方で、デメリットも少なくありません。

不動産のリースバックを利用するにあたって知っておくべきことを、わかりやすく基本的なことから解説していきます。

これでわかる!不動産のリースバックの基本

リースバックとは設備や不動産などを売却したあともそのままリース(賃貸)して利用することで、正式には「sale and leaseback(セール・アンド・リースバック)」といいます。

製造業の経営をしている人が、資金を得るために事業で使用する機械、機材などをリースバックすることがよくあります。設備を売却してしまうと必要な機材が手もとになくなるため事業を継続できませんが、リースバックでは売却後はリース料を支払うことで利用できるため事業を継続できます。

基本的な流れは次のとおりです。

  1. 所有する設備などを売却する
  2. 売却代金を受け取る
  3. リース料を払って使用を続ける

不動産のリースバックの仕組み

不動産分野におけるリースバックでは、居住用はもちろん、店舗やビル、工場などさまざまな不動産が対象です。

仕組みは不動産以外のリースバックと同じで、対象の物件を売却し、以後は買主に賃料を払って物件を使用します。リースバックは企業でもよく利用されていて、自社ビルを所有している企業が自社ビルを売却して事業資金を得て、賃料を払ってそのままビルを使用しています。

近年、個人でも不動産のリースバックがよく利用されるようになっています。そのほかのリースバックと同じように、自宅を売却してまとまった資金を調達して、引っ越さずにそのまま住み続けられます。事業資金や生活費、老人ホームへの入居資金など、調達した資金の用途は人によってさまざまです。自宅の所有権は買主に移りますが、希望すれば将来的に買い戻す契約をすることもできます。

リースバックの仕組み

リースバックの仕組み

リースバックを利用する方法

リースバックを利用するときは、リースバック会社へ相談するのが一般的です。リースバックを提供する会社は、不動産会社や金融機関などさまざまです。リースバック会社へ自宅を売却したあとは、リースバック会社が貸主となって、売主に対象不動産を貸し出します。

リースバックを利用するときは、次のような流れで進みます。

  1. 複数のリースバック会社に相談して、自宅の査定を受ける
  2. リースバック会社を比較して、条件に合うリースバック会社を選定する
  3. 選定したリースバック会社と自宅の売買契約と賃貸借契約を交わす
  4. 代金の精算と所有権移転の登記を行う
  5. 自宅の賃貸を開始する

リースバックでは単純に自宅を売却するだけでなく、家賃の金額や買い戻しの条件など、総合的に判断してリースバック会社を選ぶ必要があります。そのため、必ず複数のリースバック会社に相談しましょう。

選定したリースバック会社とは、自宅の売買契約と賃貸借契約を合わせて交わします。その後は所有権移転の登記と代金精算を行いますが、通常の不動産売却と異なり、そのまま売主が住み続けるため、物件の引き渡しは行いません。

リースバックの条件

リースバックを利用するには、条件を満たしている必要があります。リースバックを利用するための条件は次のとおりです。

  • 名義人全員の同意がある
  • 住宅ローンの完済ができる
  • 家賃の支払い能力がある
  • 家賃保証会社または連帯保証人が必要

それぞれの条件について解説していきます。

名義人全員の同意がある

自宅が共同所有になっている場合、すべての名義人から同意を得る必要があります。ひとりでも自宅の売却に反対する人がいた場合、リースバックを利用できません。

住宅ローンの完済ができる

自宅の住宅ローンが返済中の場合、売却代金で完済する必要があります。もし売却代金で住宅ローンを完済できない場合は、自己資金で不足分を補います。

家賃の支払い能力がある

賃貸借契約を交わすにあたって、家賃を安定して支払い続けられる能力が必要です。支払い能力に懸念があっても、リースバック会社によっては売却代金を家賃の支払いにあててリースバックを利用できるようにしてくれます。

家賃保証会社または連帯保証人が必要

賃貸借契約を交わすときは、家賃保証会社との契約も必要です。もし家賃保証会社の審査に通らなかった場合は、連帯保証人を求められます。

条件は会社によって違います!まずはご相談を!

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リースバックとリバースモーゲージの違い

リースバックと似たサービスに「リバースモーゲージ」があります。リバースモーゲージは自宅の土地と建物を担保に融資を受けるサービスで、高齢者を対象しています。自宅は担保になるだけなので、そのまま住み続けられるのが特徴です。サービスを提供している金融機関などによって違いはありますが、融資を受けたあとの返済は利息のみで、自分の死後に土地と建物を売却することで完済します。

リバースモーゲージのメリットとデメリット

リバースモーゲージのメリットとデメリットは次のとおりです。

メリット

  • 高齢者でも融資を受けられる
  • 月々の返済は利息だけで済む
  • 自宅に住み続けられる

デメリット

  • 長生きすると融資額が不足する
  • 自宅の評価額によって、融資の限度額が変わる
  • 金利の変動リスクがある

高齢者でも融資を受けられるうえに、返済も利息のみで負担が小さいのがメリットです。一方でデメリットとして長生きリスクがあるほか、自宅の評価額や金利変動などの影響を受けます。

リースバックとリバースモーゲージの比較

リースバックとリバースモーゲージは、手に入るお金が売却代金と融資という違いがあります。リースバックでは売却代金の用途は自由ですが、リバースモーゲージだと用途に制限がかかることがあります。

  • 手に入るお金の用途
  • 売却・融資後の所有権者
  • 自宅の評価、金利の変動リスク

リースバックは所有権がリースバック会社に移るのに対して、リバースモーゲージだと所有権は変わりません。そのため、リバースモーゲージを利用すると、固定資産税がかかります。

不動産のリースバックはトラブルに注意!

悪質なリースバック会社と不利な契約を交わしてしまうなど、リースバックではさまざまなトラブルが報告されています。そういった背景もあり、国土交通省は「住宅のリースバックに関するガイドブック」 を公表しています。リースバックを利用する場合は、トラブルに遭わないように確認しておきましょう。

リースバックのトラブルは悪質なリースバック会社だけが原因というわけでなく、リースバック特有の事情<によって起こり得ます。トラブルの原因になりそうな、リースバック特有の事情には次のものがあります。

  • 売却価格が市場価格より安い
  • 家賃が周辺相場より高い
  • 賃貸借契約を再契約できないことがある
  • 修繕費用が借主負担になっている
  • 買い戻しの価格が売却価格より高い

それぞれについて解説していきます。

売却価格が市場価格より安い

リースバックは、買主となるリースバック会社が利益を出せないと成立しません。確実に利益が出せるようにリースバック会社は、借主が家賃を滞納するリスク、買い取ったあとの転売にかかるコストなどを事前に見積もっています。そのためリースバックでは、市場価格より売却価格が安くなります。
これを認識しておかないと、あとで「相場より安く買われた!?」とトラブルになることがあります。

家賃が周辺相場より高い

リースバックの家賃は、売却価格をもとに算出するため、賃貸物件の周辺相場の影響を受けません。そのため、売却価格が高いと、周辺相場よりも家賃が高くなることがあります。

家賃の算出では「期待利回り」を用いて、これはおおむね10%前後です。リースバックで家賃を算出する計算式は、次のとおりです。

リースバックの家賃 = 売買価格 × 期待利回り ÷ 12カ月

売却価格が3千万円で期待利回り10%の場合、3千万円×10%÷12=25万円が家賃になります。ちなみに、売却価格を低く抑えることで、家賃を下げることも可能です。

賃貸借契約を再契約できないことがある

リースバック会社は賃貸期間を経たあと、自宅を売却して利益を出します。できるだけ早く利益を出したいとリースバック会社が考えている場合、賃貸借契約の再契約を拒否することがあります。

定期借家契約と普通借家契約

賃貸借契約には一般的な普通借家契約と定期借家契約があり、リースバックでは定期借家契約を交わすことが多いです。普通借家契約では借主の意思で契約の更新が可能で、貸主の事情で更新を拒否できません。しかし定期借家契約の場合、借主の意思で契約の更新ができず、契約を満了したら退去しなくてはなりません。

それぞれの賃貸借契約の違いを表にまとめると、次のようになります。

普通借家契約と定期借家契約の違い
普通借家契約 定期借家契約
契約の成立要件 口頭もしくは通常の契約書で可能 公正証書によるものだけが有効
契約更新の可否 更新可能。貸主は特別な事情がなければ更新を拒否できない 更新不可。期間満了をもって契約が終了する。ただし当事者の合意により再契約が可能
性質 借主が有利 貸主が有利

定期借家契約の場合、契約期間より長く住みたいときは再契約が必要です。しかし早く売却したいとリースバック会社が考えている場合は、再契約を拒否されてしまうのです。

長期にわたって住み続けたいと考えている場合は、普通借家契約を交わせるリースバック会社を選びましょう。

修繕費用が借主負担になっている

通常の賃貸借契約では、設備や住居の破損は貸主の負担で修繕するのが一般的です。しかしリースバックでは、賃貸物件として貸主が用意したものではないため、長年の使用によって破損したと考えられ、借主が修繕費用を負担することが多いです。

また借主が著しく自宅を破損した場合、原状回復を求められることもあります。

買い戻しの価格が売却価格より高い

リースバックの契約によっては、売却した自宅を買い戻すこともできます。しかし買い戻し価格は、売却価格よりも高くなるのが一般的です。ケースによって異なりますが、おおむね売却価格の2割増し程度です。これはリースバック会社の利益を確保するほか、取引にさまざまな費用がかかるため、その分が上乗せされるためです。

リースバックのメリットとでメリット

リースバックを利用するときはメリットとデメリットを比較し、よく検討したうえで利用しましょう。

リースバックのメリット

  • まとまった資金調達が可能
  • 売却代金を自由に使える
  • 売却後も自宅に住み続けられる
  • 将来的に買い戻しが可能
  • 固定資産税などの負担がなくなる

リースバックは自宅の売却によってまとまった資金調達ができ、また使用用途に制限がないため、事業資金の調達にも利用できます。所有権は買主に移っているため、固定資産税などの税金の負担もなくなります。

リースバックのデメリット

  • 売却価格が市場価格より安い
  • 家賃が周辺相場より高い
  • 賃貸借契約によっては長期間住めない
  • 買い戻しの価格が高い
  • 借主が修繕費用を負担する

売却後も自宅に住み続けられるものの、売却価格が安く、家賃が高いのは大きなデメリットです。また、住み続けられる期間に限りがあるため、利用するときはリースバック会社とよく相談する必要があります。

リースバック会社の比較が重要

リースバックはサービスを提供する会社によって、さまざまな条件に違いがあります。賃貸による利益を重視しているリースバック会社であれば、普通借家契約を交わすことも可能です。ほかのリースバック会社と差別化するため、売却価格と同じ価格で買い戻しができる会社もあります。

こういったリースバック会社の違いは、1社とだけ相談していてはわかりません。複数のリースバック会社に相談して、さまざまな条件を比較することが大切です。

リースバック会社の問い合わせには「リースバック比較PRO」が便利です。所有者の連絡先やリースバックする物件の情報を入力して申し込むだけで、複数のリースバック会社に問い合わせられます。建物や土地の広さを入力する必要があるため、あらかじめ登記事項証明書(登記簿謄本)など建物の情報がわかる資料を用意しておきましょう。

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