親を老人ホームに入れるお金がない!費用が安い施設と助成制度を紹介

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親を老人ホームに入れるお金がない!費用が安い施設と助成制度を紹介

歳を重ねていく親を見ていると、いずれ来る介護のことが気にかかります。

介護をしたい気持ちはあっても、肉体的、精神的な負担がかかるため、日々の生活と両立して介護を行うのは困難です。介護問題の解決方法として老人ホームがあるものの、入所費用がかかるため「お金がない」という人もいるでしょう。

しかし、老人ホームの種類によっては入所費用が安い施設があるほか、助成制度も用意されています。上手に活用すれば、金銭的な負担を減らして老人ホームへ入所できます。お金がなくても入所できる老人ホームや、金銭的な負担を減らす制度を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

利用料金の安い老人ホーム

利用料金が安い老人ホームの種類と費用の相場は、それぞれ次のとおりです。

利用料金の安い老人ホームの費用と相場
老人ホームの種類 毎月の費用(万円) 初期費用(万円)
特別養護老人ホーム 9~15 0
介護老人保健施設 9~16 0
介護医療院 9~16 0
軽費老人ホーム(ケアハウス) 10~15 30

老人ホームの運営母体には民間団体と公共団体の2種類があり、公共団体のほうが費用が安い傾向があります。上記の費用は助成制度が適用される前の金額のため、助成制度の申請がとおればさらに費用を抑えられます。入所できる条件は施設によって異なるため、確認しておきましょう。

特別養護老人ホーム

■特別養護老人ホームの入所条件

  • 原則65歳以上
  • 原則要介護3以上の認定を受けている

特別養護老人ホームは、要介護3以上の認定を受けた高齢者が入所できる施設です。「特養とくよう」とも呼ばれ、入浴、食事、排泄の補助や、日常生活に必要な動作の維持・改善を目的とした訓練、健康管理および療養上の介護サービスが24時間受けられます。

特養は、社会福祉法人や公的機関が運営しており、介護保険が適用されるため、民間企業が運営する老人ホームと比べて、自己負担額を抑えられます

特養の入所に必要な費用の目安は、次のとおりです。

特別養護老人ホームの入所に必要な費用
項目 費用(万円)
初期費用 0
月額利用料
  • 介護サービス費
  • 食費
  • 住居費
多床室:8~9
従来型個室:9~10
ユニット型個室:12~13
その他料金 1~2

その他料金には、病院の診察代、理美容代、交通費や日用品の購入などが含まれています。合計すると特養の入所に必要な費用の相場は、毎月9~15万円です。特養に入所する際に必要な費用は、毎月の利用料だけです。初期費用などはかからないため、まとまったお金を用意する必要がありません。

なお、食費と住居費は、施設ごとに設定されますが、利用料金に大きな差が出ないよう国によって「基準費用額」が設定されています。

入所希望者が多いので時間がかかることがある

特養は、ほかの施設よりも費用が低いことから入所希望者が多く、待機者が多いため申し込んでもすぐに入所できないおそれがあります。そのため、複数の特養に申し込んでおくなどの対策を検討しましょう。

介護老人保健施設

■介護老人保健施設の入所条件

  • 原則65歳以上
  • 原則要介護1以上の認定を受けている
  • 3~6カ月程度で退去できる

介護老人保健施設は、介護が必要な高齢者の自立を支援して、家庭への復帰を目指すための施設です。「老健ろうけん」とも呼ばれます。常勤医師や夜勤の看護師の配置が義務付けられているため、介護サービスだけでなく医療体制も整った施設です。

医療法人や社会福祉法人、地方公共団体などが運営しており、国からの助成金などが受けられるため、利用料金が抑えられています。また、介護保険が適用されるため、費用を抑えられる可能性が高いです

老健の入所条件は、65歳以上で要介護1以上の認定を受けていることです。入所できる介護度が特養よりも低いため、入りやすくなっています。ただし、老健は、家庭への復帰を目的としているため、入所してから3~6カ月程度で退去することが前提になっています。

老健に入所する費用の目安は、次のとおりです。

介護老人保健施設の入所に必要な費用
項目 費用(万円)
初期費用 0
月額利用料
  • 介護サービス費
  • 食費
  • 住居費
多床室:8~9
従来型個室:11~12
ユニット型個室:13~14
その他料金 1~2

老健の入所中に発生する医療費は、施設所属の医師による医療行為であれば、すべて施設が負担するため支払いはありません。ただし、施設以外の医療機関を受診して発生した料金は自己負担です。

そのほか、老健に入所すると理美容代、交通費、日用品の購入、娯楽費などが実費でかかります。これらを含めると、老健の入所に必要な費用の相場は、毎月9~16万円です。

老健に入所する際は、初期費用などはかからず、毎月の利用料金だけで利用できます。

なお、介護サービス費は、サービス内容によって別途費用が加算されることがあるため、施設に確認をしましょう。

介護医療院

■介護医療院の入所条件

  • 原則65歳以上
  • 原則要介護1以上の認定を受けている

介護医療院は、2023年度末で完全に廃止される「介護療養型医療施設」に代わり、新たに創設される施設です。介護療養型医療施設では医療ケアに重点を置かれていましたが、介護医療院では、それに加えて日常生活を送るための支援にも力を入れています。

高齢者の長期療養に必要な医療を提供する施設でありながら、日常生活を送るための介護サービスも提供しているため、入所すれば医療と介護のサービスを同時に受けられます。要介護1以上の認定を受けた65歳以上の人であれば介護医療院に入所可能です。

介護医療院は、公的施設のため介護保険が適用されます。利用者は原則1割負担で利用できるため、費用を抑えられます。

介護医療院に入所する費用の目安は、次のとおりです。

介護医療院の入所に必要な費用
項目 費用(万円)
初期費用 0
月額利用料
  • 介護サービス費
  • 食費
  • 住居費
多床室:8~9
従来型個室:12~13
ユニット型個室:13~14
その他料金 1~2

介護医療院は、Ⅰ型・Ⅱ型に分かれており、Ⅰ型は重篤な身体疾患がある高齢者が対象で、Ⅱ型はⅠ型に比べて容体が比較的安定した高齢者が対象です。そのため、Ⅰ型の費用はⅡ型より高めに設定されています。そのほか、病院の診察代、理美容代、交通費や日用品の購入などは実費での負担になります。これらを含めると、介護医療院の入所に必要な費用の相場は毎月9~16万円です。

なお、Ⅰ型・Ⅱ型どちらの場合も介護医療院への入所に初期費用はかかりません。

軽費老人ホーム(ケアハウス)

■軽費老人ホーム(ケアハウス)の入所条件

一般型(自立型)

  • 原則60歳以上
  • 身寄りがないなどの理由で自立した生活が難しい

介護型(特定型)

  • 原則65歳以上
  • 原則要介護1以上の認定を受けている

軽費老人ホームは、経済的、身体的に自立が難しく、家族からの援助が困難な高齢者のための施設です。軽費老人ホームのなかで主流になっているのがケアハウスです。ケアハウスには、一般形(自立型)と介護型(特定型)の2種類があります。

一般型(自立型)は、食事や洗濯、掃除といった支援が受けられるサービスです。60歳以上で健康状態に問題がなく、一人暮らしのできる人が対象になっています。介護型(特定型)は、食事などの生活支援に加えて、入浴や排泄の補助といった介護サービスを受けられます。65歳以上で要介護1以上の認定を受けている高齢者が対象です。

ケアハウスは、社会福祉法人や地方公共団体などが、公共団体の助成を受けて運営しています。そのため、有料老人ホームよりも費用を抑えられる可能性が高いです。

ケアハウスに入所する費用の目安は、次のとおりです。

ケアハウスの入所に必要な費用
項目 費用(万円)
初期費用 0~30
月額利用料
  • 介護サービス費
  • 食費
  • 住居費
9~13(個室)
その他料金 1~2

一般型と介護型の両方のサービスを提供している施設では、一般型に入所したあとに要介護度が上がったら、介護型に切り替えて住み続けられるメリットがあります。

なお、ケアハウスによっては入所時に初期費用が必要になる場合があります。費用は施設によって異なるため事前に確認しておきましょう。

老人資金に不安があればリースバックを利用しましょう!

老人ホームの入所に活用できる補助金

老人ホームなどの介護施設を利用する場合、下記の補助制度で経済的な負担を減らせます。

  • 高額介護サービス費
  • 高額療養費制度
  • 高額介護合算療養費制度
  • 介護保険負担限度額認定制度
  • 社会福祉法人等利用者負担軽減制度

補助制度は複数利用できる場合もありますが、申請しなければ受け取れません。もらい忘れがないように確認しておきましょう。

なお、助成制度は支払ったあとから給付されるものが多いです。
そもそもの資金に不安があるという場合は、下記の記事も参考にしてください。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、介護サービスを受けた際に支払った費用が、自己負担額の上限を超えた場合、超えた分の費用が給付される制度です。要介護(1~5)または要支援(1、2)の認定を受けた人が利用できます。

自己負担額の上限は、世帯の年収によって変わります。同じ世帯に高額介護サービス費の利用者が複数人いる場合は、世帯全体の合計額で算出されます。

たとえば、世帯年収が400万円の場合、高額介護サービス費の自己負担額の上限は毎月44,400円です。介護サービスの自己負担が毎月60,000円だった場合、差し引いた15,600円が給付されます。高額介護サービス費の対象になるのは、介護サービス費です。居住費や食費などは対象になりません。

高額介護サービス費の区分と負担の上限額は、 厚生労働省のWebサイトを参考にしてください。

高額療養費制度

高額療養費制度は、医療費の自己負担額が一定額以上になった場合に超えた金額分が給付される制度です。主に病院の診察料や入院代、薬局の薬代などが該当します。自己負担額の上限は、年収だけでなく年齢によっても変わり、69歳以下、または70歳以上に分けられています。

たとえば、年収が300万円の人が負担する医療費の上限は、70歳以上であれば毎月57,600円になり、外来の場合は個人ごとに毎月18,000円です。一方、69歳以下の人は、負担額の上限が毎月57,600円で、外来で支払った医療費は対象外です。

特別養護老人ホームに入所した場合、医療機関での診察料や薬代は自己負担のため、金銭的な負担が増えます。そのため、高額療養制度を活用して負担を減らしましょう。

なお、高額療養費制度の詳細は、厚生労働省のWebサイトで確認してください。

高額介護合算療養費制度

高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険の自己負担額を合計して、上限額を超えた分が給付される制度です。高額療養費、高額介護サービス費を利用したあとの自己負担額を合計して上限を超えた分が給付されます(8月1日~翌年7月31日に支払った金額が対象)。

高額介護合算療養費制度の仕組み

高額介護合算療養費制度の仕組み

高額介護合算療養費制度の自己負担の限度額は、世帯年収と利用者の年齢によって変わります。たとえば、世帯年収が300万円の場合、利用者が70歳以上だと自己負担額が56万円を超えた分が給付されます。70歳未満の場合、60万円を超えた分が給付されます。

高額介護合算療養費制度が適用されると、医療費と介護サービス費が2段階で給付されるため、老人ホームにかかる費用を抑えられます。

介護保険負担限度額認定制度

介護保険負担限度額認定は、市民税非課税で預貯金等の合計額が基準以下の人が介護保険施設に入所した場合に、食費および居住費が減額される制度です。対象になるのは、次の介護保険施設です。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 地域密着型特別養護老人ホーム

高額介護サービス費を併用することで、介護サービス費、住居費、食費が補助されるため、老人ホームにかかる負担を大幅に減らせます。

介護保険負担限度額認定制度は、年金収入額と預貯金の額によって4段階に分かれており、最も補助される金額が多いのが第1段階です。

たとえば、生活保護や老齢福祉年金を受給されている人は第1段階に該当するため、食費の負担限度額が1日300円です。1日あたりの居住費は、多床室では0円、従来型個室は490円が負担限度額になるため、老人ホームの費用を抑えられます。
介護保険負担限度額認定制度について、お住まいの市区町村の担当部署にご確認ください。

老人ホームの入所費用が必要ならリースバックを検討しましょう!

リースバックとは?

老人ホームの入所費用をつくる方法

利用料金の安い老人ホームを選び、助成制度を活用することで金銭的な負担を減らせます。しかし、助成制度は支払いが終わったあとで申請する必要があるため、一旦は費用を支払う必要があります。また、入所する際に、必要なものを揃えようとするとある程度の支出があるため、まとまった資金があると安心です。

ここでは、老人ホームへ入所する際に必要な費用をつくる方法を紹介します。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、自宅などの不動産を担保にしてお金を借りるローン商品の一種です。お金を借りた人が生きている間は金利分のみを返済し、亡くなったときに不動産を売却して一括返済する仕組みです。

元本と金利を一緒に返済する一般的なローン商品よりも返済の負担を減らせるため、老人ホームに入所する際の資金づくりとして利用できます。

ただし、リバースモーゲージには、期間ごとの貸付金額が決まっていたり、マンションでは利用できなかったりなどの制限があるため、条件をよく確認しましょう。

リバースモーゲージの詳細は関連記事をご確認ください。

リースバック

老人ホームの入所費用をつくる方法として、リースバックも検討しておきましょう。

リースバックは、自宅をリースバック会社に売却したあと、賃貸住宅として住み続けられるサービスです。自宅を売却することでまとまったお金が手に入るだけでなく、自宅が不要になったタイミングで退去できます。

老人ホームへの入所が決まったあと、誰も住まなくなった自宅の処分に困るケースが少なくありません。しかし、リースバックであれば、老人ホームの入所前に自宅を売却しておき、老人ホームの入所に合わせて賃貸契約を解約すれば、手間をかけずに自宅を手放せます。

リースバックを提供する会社は増えており、サービス内容も各社で異なります。そのため、利用する前には複数のリースバック会社のサービスを比較することが大切です。

リースバック会社のサービス内容を比較するときは「リースバック比較PRO」を利用しましょう。物件に関する情報を入力するだけで、複数のリースバック会社に一括で問い合わせられます。ぜひこの機会にご利用ください。

リースバックで自宅を高く売るなら一括問い合わせが必須です!サービス内容を比較して老人ホームの入所費用を少しでも多く確保しましょう!

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執筆・編集

家を売って賃貸で住み続けられる!リースバックサービスを比較検討する