終活は何から始める?これから準備をする人の基礎知識

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終活は何から始める?これから準備をする人の基礎知識

終活という言葉が一般的になって、よく耳にするようになりました。「自分が死ぬことを考えるのは縁起でもない」と考えるより、よりよい老後を過ごすために終活は欠かすことのできないものとして認識されているようです。

終活を始めるなら、まず何から手をつけたらよいのでしょうか。これから終活を始める人に、終活で最初にやっておきたいことをわかりやすく解説します。

いまから考える終活の基礎知識

終活とは「人生のよりよい終わりを迎えるために行う活動」のことです。就活の具体的な行動は、エンディングノートの作成から財産の整理、葬儀やお墓の準備、身のまわりの断捨離など多岐にわたります。

終活には財産などを整理したり、不要なものを処分したりしておく「残された家族のための終活」と、葬儀や医療の希望など「自分らしく生きるための終活」があります。

終活は何のためにやるのか

「家族に迷惑をかけたくない」「残された家族が困らないようにしておきたい」と、家族のためが終活の一番多い理由となっています。

楽天インサイト株式会社の「終活に関する調査」でも、大半の人が家族に迷惑をかけたくないことを「『終活』をする(したい)理由」に挙げています。

『終活』をする(したい)理由

『終活』をする(したい)理由

参考:「終活に関する調査」(楽天インサイト株式会社)

「延命治療はしたくない」「自分の希望する葬儀をしてほしい」「遺骨は海にまいてほしい」など、自分らしい人生をまっとうしたい想いを意思表示しておくことも、終活の大事な目的です。

終活には、よりよい終わりのための活動という側面もあります。いままで仕事や家事などで、できなかったことや、したかったことにチャレンジしてみましょう。

終活はセカンドライフを充実して過ごすためのきっかけにもなります。

終活の一歩目は何から始める?

終活ではやらなくてはならないことが多く、始めたばかりの人だと、やることリストを見てもどれから手をつけたらよいのか見当もつかないでしょう。

やることリストは終活全般の理解には役立ちますが、やることがあまりにも多くて途方に暮れてしまうのが欠点です。

終活を始めるときに、最初の段階でやっておくべきことを3つ紹介します。最初の段階を終えたら、終活のやることリストの取り組みやすいことから対応していきましょう。

エンディングノートの作成

終活を行ううえで最初にやっておきたいことが「エンディングノートの作成」です。

エンディングノートとは、家族や友人へ伝えたいことや死後に望んでいることなどを書きまとめたものを指します。特に定められた形式はないため、自由に書いてもかまいません。市販のノートに書いてもよいですし、パソコンで作成するのもよいでしょう。

ただ終活を始めたばかりだと、何を書けばよいのかわからない人が大半でしょう。そういった人には、何を書けばよいのかをフォローしている市販のエンディングノートがおすすめです。

エンディングノートには法的な拘束力がないため、自由な形式で好きなことを書けます。

エンディングノートに記載されていると助かると思われる項目をリストにしました。このリストを参考にして、書きやすいことから書き始めてみましょう。

自分の基本情報やこれまでの自分史
氏名、生年月日、血液型、学歴、職歴、趣味など
資産
預貯金、株や投資信託、債券などの有価証券、生命保険、車や貴金属、美術品などの動産、不動産、暗号資産やNFTなどのデジタル資産
負債
ローン、借金、税金の未納分、毎月引き落としされるサービスなど
医療に関する情報や希望
病歴や飲んでいる薬、アレルギーの有無、告知の希望、延命治療の方針
介護に関する希望
要介護状態になったとき対応、サポートの希望など
葬儀やお墓の希望
葬儀の希望、お墓や納骨の希望など
遺言書に関する情報
保管場所など
ペットに関する情報
ふだん食べているや、病歴、かかりつけの動物病院、預け先など
家族や友人に伝えておきたいこと
これまでの感謝や気持ち、葬儀への出席など

医療・介護の意思表示、相談

医療や介護に関する意思表示を、家族へ伝えておくことはとても重要なことです。

自分や家族が元気でいるうちは、医療や介護などのことをあまり考えたくないでしょう。しかし、自分が意思を疎通できない状態になったときでも、延命治療や医療方針について家族に話しておけば、家族はその意思を尊重できます。

もし自分の意思がわからなければ、家族が決めなくてはなりません。どのような決定をしたとしても、家族にとって重い決断になるでしょう。

受けたくない治療や延命行為、医師からの告知に関する希望など、できる限り詳しく家族と相談して、意思表示をしておきましょう。

また、介護が必要になったときを想定して、事前に受けられる行政サービスを調べておくのもよいでしょう。介護方針やそれにともなう費用負担など、家族といっしょに調べたり、相談したりすることで、余裕をもって介護プランを考えられます。

家族が仕事を辞めて介護に専念するなど、大きな決断をあわててしないためにも、医療や介護の意思表示は早めにしておきましょう。

遺言書の作成

「遺言書の作成なんてまだ早い」と思うかもしれませんが、エンディングノートを書くことで今後の生活や資産状況などが整理できたら、できるだけ早めに準備しておきましょう。

自分の財産を相続してほしい人に相続してもらうには、法的に有効な遺言書が必要になるのです。単に希望する相続を書いただけでは、有効な遺言書にならないため注意しましょう。

法律的にもっとも効力の高い遺言書が「公正証書遺言」で、公証役場へ足を運んで公証人が面談をして法律的に有効な遺言書を作成します。自分で作成する「自筆証書遺言」は、形式などに誤りがあると無効になるおそれがあるため注意してください。

特に次のような人が望むような相続を実現するには、遺言書の作成をおすすめします。

  • 独身で子どもがいない
  • 配偶者はいるものの子どもがいない
  • 相続人を細かく指定したい

独身で子どもがいない

独身で子どもがいない場合、相続権の優先順位は次のとおりです。

  1. 両親
  2. 祖父母
  3. 兄弟
  4. おい、めい

もしほかに相続人がいない場合、財産は国庫へ帰属します。

身内ではなく、相続権のない内縁関係やお世話になった人へ譲りたいのであれば、必ず遺言書を残しましょう。

配偶者はいるものの子どもがいない

夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、子どもがいないと配偶者以外に亡くなった本人の両親や祖父母、どちらもいない場合は兄弟に相続権があります。

相続権の優先順位は次のとおりです。

  1. 配偶者と両親
  2. 配偶者と祖父母
  3. 配偶者と兄弟
  4. 配偶者とおい、めい

配偶者以外に相続人がいない場合は、すべてを配偶者が相続します。

あまりつき合いがなかったり仲がよくなかったりすると、相続財産の分割協議がなかなかまとまらないことがあります。相続財産がほぼ自宅しかない場合は、売却して出ていくように要求されるかもしれません。

残された配偶者がすべての財産を相続するには、遺言書の作成が欠かせません。

ただし、相続人が遺言書の内容に納得しない場合は、遺留分(最低限度の遺産を相続する権利)を請求する権利があります。

相続人を細かく指定したい

お世話になった人や孫へも財産を渡したい、財産を分けたくない人がいるなど、細かく財産を相続させたい場合にも遺言書が必要です。遺言書を作成することで、相続権のない人にも財産を分けられます。ただし相続人には、遺留分を請求する権利があるため、相続人にまったく相続させないことはできません。

また事業を承継させたい場合も、遺言書で詳しく指定しておく必要があります。

終活の第一段階を終えたら、終活でやることリストをチェックしてください。取り組むべきことがたくさんあります。終活を進めていくことで、セカンドライフをより充実したものにできます。次の記事を参考にして、終活をどんどん進めていきましょう。

終活でやっておきたいこと

終活で行うべきこととして取り組む順位は高くないものの、やっておいたほうがよいことを紹介します。

終活でやっておきたいことの代表的なものには、次の3つがあります。

  • 身のまわりのものの整理
  • 財産の整理や相続の準備
  • 葬儀や墓などの準備

それぞれについて詳しく解説します。

身のまわりのものの整理

終活でやっておきたいことのひとつに、身のまわりの整理があります。しかし、実際に整理を始めてみると、思いのほかたくさんのものがあり、どこから手をつけたらよいのか途方に暮れてしまう人が多いです。

終活での整理、処分するポイントは、残しておくと面倒だと感じるもの、家族が困るだろうものを念頭に進めてください。

具体的には次のものがあります。

  • 身のまわりの不用品や多すぎるものの処分、洋服、食器の断捨離など
  • 本や雑誌、CDなどの整理、処分
  • 月額で契約しているサービスなどの見直しと解約
  • 不要なSNSのアカウントの閉鎖
  • パソコンやスマホのいらないアプリやデータの処分 など

愛着のあるものやお気に入りのものなどがあると、なかなか断捨離が進まないこともあるでしょう。しかし、元気で体力のあるうちに始めるなら確実に片づきます。あせらずに進めていきましょう。

財産の整理や相続の準備

老後を安心して過ごすため、まずはどれくらいの財産があるのか把握しましょう。調べた財産をもとに、相続の準備を進めてください。財産を早めに把握しておかないと、将来の家の住み替えや介護、相続にも影響するおそれがあります。

相続財産は資産と負債に分けられます。どちらも重要なものなので、しっかりと分類しましょう。代表的な資産と負債について解説します。

資産

現金
金額を把握し、金庫などで保管する
銀行や郵便局の預貯金
使っていない口座は解約する
生命保険や養老保険
満期日や解約返戻金の額も調べておく
株や投資信託、債券
相続予定者が運用できない場合は、現金化して相続しやすくする
暗号通貨などのデジタル資産
機会を見て現金化し、引き出しておく
貯まっているポイント
ポイントの多くは相続できないため積極的に使用する
美術品・骨董品
いまのうちに鑑定し、手放してもよいものは売却する
不動産
相続するか売却するかを家族にも相談して対応する

負債

住宅ローン、自動車ローンなど
借入先、返済期間、借入残高をわかるようにする
銀行やクレジットカードなどの借り入れ、キャッシングなど
借入先、返済期間の見通し、借入残高を確認する。あらためて返済計画を立てる
株式の信用買いなど
時期を見て利益を確定させるか、損切りも考慮して売却する
未払いの税金、未払いの公共料金
分割払いなどの相談をして滞納を解消する
家や土地などの賃貸料の滞納分など
分割払いなどの相談をして滞納を解消する

相続は「相続が始まったことを知ってから3カ月以内」に相続するか放棄するかを決定しなくてはなりません。あとから負債が明らかになっても、放棄できず相続することになります。

そのため残された家族には、資産だけでなく負債も重要な情報です。伝えにくい気持ちがあっても、必ずすべてわかるようにしておきましょう。

葬儀や墓などの準備

自分の希望する葬儀がある場合はエンディングノートに記入して、家族へ早めに相談しておきましょう。

いまでは本人が葬儀の内容を打ち合わせて、生前のうちに予約するサービスもあります。残された家族があわてて葬儀会社を決める必要がなく、何より自分の希望する葬儀を行ってもらえます。

葬儀が決まっていないと、病院が指定する葬儀会社と打ち合わせることになるでしょう。あわてて葬儀の内容を決めていくため、高額のプランになってしまったり、気に入らない設備や内容になってしまったりすることもあります。

生前に葬儀会社を決めるときは、複数社と相談して見積もりを比較してから決めましょう。おおよその予算を把握したうえで、自分の望む葬儀ができる葬儀会社を見つけられます。

ただし、実行してもらえるように家族へ伝えて、必ず納得してもらいましょう。

【終活の重要ポイント】老後資金はどれくらい必要?

これまでやってみたかったことにチャレンジするのも、終活のひとつです。老後は仕事などから解放されて、自由に生活したいものです。

しかしそれには、老後資金に余裕がなければなりません。老後にはどれくらいのお金が必要になるのでしょうか。医療、介護、お墓にどれほどの負担がかかるのか見ていきましょう。

老後の生活費は毎月赤字に

総務省統計局の資料による65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の1カ月平均の家計収支を見てみますと、可処分所得(所得税や社会保険料を引いた手取り額)は20万5,911円となっています。

それに対して消費支出は22万4,436円で、約1万8,525円のマイナスです。単純に年間約24万円の赤字、85歳までの20年間で生活費が480万円近くの赤字になるのです。

無職世帯の支出

65歳以上の夫婦は毎月1万8,000円の赤字

参考:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」

ライフスタイルによって、必要な金額はさまざまです。赤字が出ないように生活できる人もいるでしょうし、もっと赤字が大きくなる人もいるでしょう。どちらにせよ、ほかにも医療費や介護費用などもかかるため、老後への備えは必要です。

不動産は重要な老後資金のみなもと

「老後には十分な蓄えが必要」といわれても、定年後からお金を貯めるのはなかなか難しいでしょう。しかし、自宅などを所有しているのであれば、不動産を売却するなどして老後資金に活用することが可能です。

自宅を売却すればまとまったお金を得られるため、介護費用や有料老人ホームの入所費用にあてられます。バリアフリーに対応した賃貸住宅へ住み替えれば、生活もしやすくなるでしょう。固定資産税や修繕費用などの支出がなくなるのも、自宅を売却するメリットです。

家に愛着があるという人であれば、リースバックを検討してもよいでしょう。リースバックとは自宅を売却しつつ、家賃を払ってそのまま住み続けられるサービスのことです。

そのまま住み続けるのもよいでしょうし、介護施設に空きが出るまで自宅で待機するといった利用の仕方もできます。リースバックは仲介で自宅を売却するのと比べると、引き渡しなどで慌ただしく引っ越す必要がないため、体の衰えた高齢者におすすめです。

リースバックの仕組みは、次の記事で詳しく解説しています。興味のある人はぜひ参考にしてください。

リースバックは住宅ローンが残っていても利用できるため、サービスを提供しているリースバック会社に相談してください。会社によってサービス内容に違いがあるため、一括で問い合わせられるリースバック比較PROを利用して、複数社と相談することをおすすめします。

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不動産は相続問題の原因になりやすい

自宅などの不動産は簡単には分割できないため、複数の相続人がいると相続問題の原因になることがあります。不動産に相当するだけの現金があればよいのですが、かなりの高額になるでしょう。それだけの現金を用意するのは簡単なことではありません。

相続のことを考えて不動産を売却するのもひとつの方法です。売却代金を老後資金として利用しつつ、相続財産として残せるかもしれません。

いまは不動産が高額で取引されているため、自宅の売却を検討している人にはよいタイミングかもしれません。どれくらいの価格で売却できるか、家賃はいくらくらいなのかなどを、リースバック比較PROを利用してリースバック会社に相談してみましょう。

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