リストラと解雇(クビ)の違いはなに?どっちが経歴に影響する?

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リストラと解雇(クビ)の違いはなに?どっちが経歴に影響する?

リストラとは、「会社を辞めさせられる」という意味ではないことをご存じでしょうか。誤解しがちなリストラと解雇の違いについて、わかりやすく解説します。

納得して会社を辞めたつもりでも、法律的には違法なこともあります。不当な解雇に遭わないため、正しくリストラと解雇の違いを理解しましょう。不当なリストラに遭ったときの対処法も紹介します。

リストラと解雇(クビ)の違いを比較

リストラと解雇かいこ(クビ)は、両方とも会社を辞めさせられること(労働契約の解除)を意味する言葉として広く世の中に浸透しています。しかし、リストラと解雇は同じ意味ではありません。

リストラと解雇の違い

リストラと解雇は似ているようで、実際はまったく異なります。リストラと解雇の違いは、次のとおりです。

リストラ

「リストラ」とは、「リストラクチャリング(restructuring)」を略した言葉で、企業が外部の環境の変化に柔軟に対応し、事業や経営を効率的に再構築していくことです。リストラは企業経営に必要な考え方で、次のような手法があります。

  • 配置転換
  • 転籍
  • 賃金カット
  • 退職勧奨
  • 人員整理

リストラは、経営悪化による人員削減を指す言葉ではないのです。

解雇

「解雇」とは労働者の合意なく、企業が労働契約を終了させることです。解雇は企業がいつでも行えるものではなく、社会の一般常識から見て適正だと納得できる理由がなければ労働者を解雇できません。

解雇は業務命令違反や勤務態度に問題があるなど、労働者に落ち度があり、懲戒的な意味で労働契約を解除するケースがあるため、解雇を「クビ」と表現することがあります。

解雇について企業は、解雇事由を就業規則に記載しておかなければなりません。主に次の理由での解雇は、労働基準法などの法律で禁止されています。

  • 労働組合の組合員である
  • 国籍、信条、社会的身分
  • 女性が結婚、妊娠、出産をした
  • 育児・介護休業を申し出たり、休業をしたりした

また、企業が労働者を解雇する際には、「30日前に解雇予告をする」もしくは「解雇予告手当を支払う」ことが労働基準法で義務づけられています。

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
労働基準法 第二十条

このように解雇は、労働基準法など労働関係法で厳格に義務を定めており、企業は労働者を安易に解雇することはできません。

リストラの本来の意味

リストラの本来の意味は、企業が自社を取り巻く変化にフレキシブルに対応し、事業を改善し、再構築することです。リストラでは、企業の経営立て直しのために、コスト削減、業務効率化、事業の縮小や分社化、人員整理を行い、事業改善を目指します。リストラの手法のひとつに、人員整理があるというのが本来のリストラです。

コスト削減

コスト削減は、事業の業績改善に有効な手段です。次のような方法が挙げられます。

  • 交通費・通信費の見直し
  • 水道光熱費の見直し
  • オフィスの統廃合
  • ペーパーレス化

業務効率化

業務効率化も、事業改善には欠かせない方法です。

  • アウトソーシング
  • システム導入など業務の自動化
  • 事業の統廃合

業務効率化により、主に生み出されるのは作業時間の効率化です。作業時間を削減することにより、売上に直結する業務にあてる時間が増えるため、業績向上が期待できます。

成長部門へ資金を配分する

自社の成長分野へ資金を集中的に配分することで、業績向上を目指します。事業の統廃合やコスト削減により生まれた資金を、自社の成長分野へ再分配する手法です。

リストラで人員整理をする

コスト削減や業務の効率化など手を尽くしても事業が改善しない場合に、人員整理が行われる場合があります。

リストラで人員整理をする条件として、次の要件を満たす必要があります。

  • 人員整理が企業の存続のために、やむを得ないと認められる
  • 他部署への配置転換、転籍など、雇用を守るために最大限の努力をした
  • リストラされる労働者について客観的に判断し、選定した
  • 対象の労働者や労働組合に、リストラの必要性や具体的な方法など誠意を持って説明し、協議した

リストラで人員整理をするには、企業には法律によって要件を満たすことを義務づけられており、たとえ業績不振であっても簡単には人員整理をできません。

解雇には3種類ある

解雇は企業から労働者に対して、一方的に労働契約を解除することです。解雇は理由により、3種類に分けられます。

  • 普通解雇
  • 懲戒解雇
  • 整理解雇

普通解雇

普通解雇とは、労働者が労働契約の債務を遂行できないことを理由に、労働契約を解約するものです。

解雇理由としては労働者の能力不足、勤務態度が悪い、業務命令違反や私傷病ししょうびょうの悪化により業務遂行ができないなどがあります。

普通解雇の場合、30日前に解雇予告をするか、解雇予告手当を支払うことが労働基準法に義務づけられています。

私傷病
労働者のけがや病気のうち、業務に起因しないものを、労働災害や職業病と区別してよぶとき私傷病という。
『日本大百科全書』(小学館)

懲戒解雇

懲戒解雇は信用失墜しんようしっついや重大な契約違反など、企業が労働者の秩序違反に対する制裁として行う解雇で、懲戒処分のなかでも重い処分です。

懲戒解雇の例としては、次のものがあります。

  • 職場の金銭横領
  • 重大なハラスメント行為
  • 経歴の詐称

社内の不正行為や、ルールの違反に対する制裁として行われることが大きな特徴です。

労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けることで、企業は解雇予告手当を支払わず即日に労働者を解雇できます。

懲戒解雇の場合は、企業の退職金規定によって退職金が減額されたり、不支給とされたりすることがあります。

整理解雇

整理解雇とは、企業が経営危機にあることを理由に、人員整理を目的として行う解雇です。

企業が退職金規定などで退職金の支給基準を定めている場合、整理解雇であっても退職金は支給されます。退職金が支払われる会社で整理解雇があった場合、退職金に上乗せする規定があるケースが多くあります。

整理解雇は労働者に落ち度はなく、企業の経営上の理由であることから通常の退職よりも優遇しているものと思われます。

リストラ=整理解雇ではない!

整理解雇はリストラの手法のひとつですが、日本では経営立て直しのための人員整理というと「リストラ」という認識が広く浸透しています。そのため、リストラと整理解雇は同じものとして捉える方が多いです。

しかし、リストラとは企業が経営環境の変化に柔軟に対応し、事業を改善して、再構築することで、企業経営には欠かせない考え方です。

リストラには、配置転換、転籍、コスト削減や業務の効率化などさまざまな手段があり、人員整理はリストラの手法のひとつに過ぎません。

リストラと解雇の違いを比較

リストラと解雇の違いを表にまとめると、次のようになります。

リストラと解雇の比較
リストラ 解雇
内容
  • 企業の事業改善
  • 再構築
  • 企業による一方的な労働契約終了
種類
  • コスト削減
  • 業務効率化
  • 人員整理(整理解雇)など
  • 普通解雇(労働契約を遂行できない)
  • 懲戒解雇(労働者の秩序違反の制裁)
  • 整理解雇(企業の経営上の理由)

リストラの種類のなかに人員整理があり、解雇とリストラは「整理解雇」という部分だけ重なっています。

経歴に影響するのはどっち?

リストラや解雇になった場合、経歴に影響が及び再就職に不利になることが予想されます。リストラと解雇、それぞれについて解説します。

リストラ

リストラ(整理解雇)は、会社の経営上の理由から解雇となるため、労働者本人に責任はないことから経歴に影響はありません。再就職でも、離職理由がリストラであることを告げると、志望する企業からも理解を得られるでしょう。

また、雇用保険を受給する際にも、会社都合の退職であるため、給付制限を受けずに基本手当(失業保険)を受給できます。

解雇

解雇の場合、解雇理由が労働者本人の能力不足や規律違反等であることから、経歴に影響が出ると考えられます。

特に懲戒解雇は、違反行為に科せられる最も重い処分であることから、懲戒解雇での離職は、社会的信用を失い、転職活動でも不利になります。

普通解雇の場合でも、労働者のスキル不足や勤務態度等を理由に解雇となっているため、採用担当者によい印象は与えません。

転職活動の際に、解雇の事実を隠すために履歴書に嘘を書くと経歴詐称となります。また、入社後の経歴詐称が発覚すると、就職先の就業規則で経歴詐称が懲戒解雇事由にあたる場合、再就職先で懲戒解雇となるケースもあります。

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退職勧奨はリストラではないので注意!

リストラ クビ 違い

リストラと間違えやすいものに、退職勧奨があります。退職勧奨を受けた労働者は、自分の意思で退職する点が、リストラとは大きく違うポイントです。ここでは、退職勧奨について解説します。

退職勧奨とは

退職勧奨とは、企業が労働者に対して「退職してほしい」、「会社を辞めてもらいたい」などと伝え、労働者に退職をすすめることです。解雇と大きく違う点は、退職勧奨は労働者が自分の意思で退職を選択することです。

企業からの退職勧奨に応じて退職した場合、会社都合退職となります。雇用保険受給の際には、特定受給資格者となり、基本手当(失業保険)を給付制限なしで受給できます。

退職勧奨を行う背景

企業は人員を整理しなければならない事態に陥ったときに、解雇ではなく、退職勧奨を選択するケースが多く見られます。

企業が退職勧奨をする理由は、企業が簡単に労働者を解雇できないことが挙げられます。企業が労働者を解雇する場合、客観的に合理的な理由がなければ労働者を解雇できません。解雇理由をめぐって、企業と労働者間でトラブルになるケースも多いです。

解雇理由があったとしても、企業は30日前に解雇予告をするか、30日分の解雇予告手当を支払わなければ労働者を解雇できず、解雇の手続きは企業にとって重荷となります。

退職勧奨の場合、企業は労働者に対して退職を促すものの、最終的には労働者の意思で退職するため、企業にとっては解雇よりも小さいリスクで労働者に退職してもらえます。こういった背景から、企業は退職勧奨を進めているのです。

退職勧奨は違法になることも

企業が退職勧奨をするにあたって、労働者に対して過度に要求した場合は、違法になることがあります。

たとえば、次のようなケースがあります。

  • 上司から毎日のように退職届を出すように言われる
  • 退職についての説得を長時間にわたって、何度も受ける
  • 退職勧奨を拒否したのに、勧奨を続けてくる

このような退職勧奨はパワハラにあたり、違法となります。

違法になるニセモノの退職勧奨

企業が労働者に対して退職を強いることを、退職強要といいます。退職勧奨のように見えますが、退職強要は違法となります。

  • 大声や威圧的な態度で退職勧奨を行う
  • 退職届を出さないと解雇にするといって退職勧奨を行う
  • 転勤や配置転換の検討をせず、退職勧奨を行う
  • 退職を決意するように、仕事を与えないなどの嫌がらせをする

退職強要の場合でも、退職の意思がなければ、はっきりと拒否の意思表示をすることが大切です。執拗しつように退職強要をされる場合は、証拠を集めて弁護士に相談してください。

不当なリストラに遭ったときの対処法

不当なリストラに遭ったとき、そのリストラに違法性はないのか確認することが重要です。労働者の権利は、法律によって守られています。不当なリストラには、法律的な対処法を取れます。

退職勧奨の場合

退職勧奨を受け入れるかは、労働者の意思に委ねられているため、退職に納得できなければ、労働者は受け入れを拒否できます。

退職しない旨を伝えたあとも、上司が何度も退職勧奨をすすめてくる場合は、社内の相談窓口に相談する方法があります。労働組合がある企業なら、労働組合に相談することも有効です。

整理解雇の場合

整理解雇の場合、法律にのっとり整理解雇が行われたかが重要になります。整理解雇をするには、厚生労働省により具体的な4つの条件が示されています。

  • 人員削減の必要性はあるか
  • 解雇回避の努力を十分にしたか
  • 解雇対象者の人選に合理性はあるか
  • 解雇の手続きは正しく行われたか

上記4点を満たせなければ、企業は労働者を整理解雇できません。

労働者は企業に対して、解雇の理由などの説明を求められます。企業が4つの条件を満たせない場合は、解雇の撤回や無効を求めることも可能です。

総合労働相談コーナーに相談する

もし自分の解雇が不当なのかがよくわからないときには、厚生労働省の総合労働相談コーナーに相談できます。

総合労働相談コーナーは、解雇、雇い止め、配置転換などあらゆる分野の労働問題を取り扱い、予約なしで、無料で相談できます。自分の解雇について専門家に相談したいときには、総合労働相談コーナーで相談するといいでしょう。

参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

急な資金調達はリースバックで対応可能

預貯金に余裕がないのにリストラや解雇などが急に行われると、生活もままならない事態に陥ることがあります。失業保険の支払いを受けられるものの、金額はこれまで受け取ってきた給与よりはるかに安く、再就職活動もままならない人もいるでしょう。

そういったとき、自宅を所有している人であれば、資金調達としてリースバックを利用する方法があります。

リースバックとは所有する不動産を買い取ってもらったあとも、家賃を払うことで住み続けられるサービスのことです。仲介による売却と違って買主を探さずに済むのですぐに売却できるうえに、引っ越し先を探す手間がかかりません。そのため、できるだけ早く自宅売却で資金調達をしたい人に向いています。

リースバックのメリットとデメリット

リースバックを利用するにあたって注意することは、メリットばかりではないことです。メリットとデメリットをまとめると、次のようになります。

リースバックのメリット
  • 短期間で自宅を売却できる
  • 売却した自宅にそのまま住める
リースバックのデメリット
  • 買取価格が仲介よりも安い
  • 家賃が周辺相場より高い傾向がある

リースバックを提供する会社は、退去したあとの自宅をリノベーションしたり、解体して更地にしたりと費用をかけて再販売して利益を出します。それらにかかる費用が差し引かれるため、買取価格が仲介で売買するよりも安くなります。

また、リースバックの家賃は買取価格をもとに算出し、一般的に買取価格の8~10%が年間家賃になります。そのため、周辺の同程度の物件と比べたとき、家賃がやや割高になることが多いです。

こういったデメリットを踏まえたうえでメリットに魅力を感じる人であれば、リースバックはおすすめのサービスです。

リースバックは比較することが重要

リースバックを利用するときは、必ずリースバック会社の比較をしてください。リースバック会社ごとに提供するサービス内容に違いがあるため、よく比較しないと思ったようなサービスが受けられず、トラブルになることがあります。

たとえば、リースバックを利用したあとで自宅を買い戻せる「買い戻し」というサービスは、提供していない会社も少なくありません。また、自宅に住むための賃貸借契約も会社によって異なり、自動更新できたり再契約が必要だったりと違いがあります。

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リストラ、解雇のよくある質問

リストラと解雇の違いはなに?
リストラは企業が事業を再構築することで、その方法のひとつとして整理解雇があります。解雇は企業が労働者との労働契約を終了させることです。リストラ=解雇ではありません。
退職勧奨とリストラの違いはなに?
退職勧奨は企業から退職をすすめられて、労働者の意思で退職することです。退職勧奨で退職した場合は、会社都合退職になります。強引に退職を迫られた場合は退職強要となり、それは違法行為です。
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