長生きがリスクに?リバースモーゲージの3大懸念点とリースバックとの違い

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長生きがリスクに?リバースモーゲージの3大懸念点とリースバックとの違い

リバースモーゲージは高齢者が自宅を担保にして、銀行から定期的に現金を受け取る、もしくは一括で融資を受ける金融サービスです。高齢者の資産活用として注目されていますが、一方で長生きするとリスクが高まるという声もあります。

この記事ではリバースモーゲージの3大懸念点と、それに対する代替案としてのリースバックとの違いについて解説します。

リバースモーゲージ利用者増加の背景

リバースモーゲージ最大の特徴は融資を受けた契約者が生きている間は、金融サービスを受けながら自宅に住み続けられる点です。

契約者が亡くなったあとや不動産を売却したときに、不動産の売却収入から返済が行われます。リバースモーゲージは退職後の収入が減少しても自宅を手放さずに老後の生活資金を確保したい高齢者にとって、魅力的な選択肢のひとつとなり利用する人は増加しています。

ここで、下の表をご覧ください。下記は2023年独立行政法人住宅金融支援機構が実施した、住宅融資保険を活用したリバースモーゲージ型住宅ローン(愛称【リ・バース60】)の付保申請戸数等の推移です。

【リ・バース60】の付保申請戸数等の推移
西暦(年) 戸数
2018 511
2019 980
2021 1,630
2022 1,777

参考:独立行政法人住宅金融支援機構「【リ・バース60】の利用実績等について(2023年4月~6月分)」

表からわかるとおり、リバースモーゲージを利用する人は年々増加しており、5年で利用者数は3.5倍となっています。それに伴い、リバースモーゲージを扱う金融機関数も2018年の52機関から2022年は85機関と、5年間で1.6倍以上に増えています。

とはいえ、高齢者が経済的に安心して暮らしていくためのサービスはリバースモーゲージだけではありません。では、なぜリバースモーゲージが増加しているのか背景を見ていきましょう。


時代の変化による老後の経済的不安を軽減するため

かつて、住宅ローンの返済や引っ越し・リフォーム費用に充てるお金は、貯金や退職金を活用するのが一般的でした。

しかし、終身雇用制の終焉や給与体系・働き方の変化により、現在は十分な貯蓄が難しくなったり、退職金に頼れなくなったりするケースが増えています。

加えて、超高齢化社会による将来の年金減少への懸念もあり、住宅ローンの返済などに貯蓄や退職金を充ててしまうと、手持ち資金が不足し、長期にわたる老後生活や医療・介護費用の捻出が困難になるおそれが生じています。

以上の理由により手持ち資金を大幅に減らすことなく、住宅ローンの返済負担を軽減したり、快適な老後のための資金を確保したりするために、リバースモーゲージは有効な手段といえます。

リバースモーゲージを利用することによって、老後の資金計画が順調に運ぶだけではなく、経済的な安心感を得ることにつながる可能性があります。

核家族化による合理的な選択

従来、老後の生活資金や住宅関連の費用は、家族内での支援や、同居など共同で負担することによってまかなわれることが多くありました。

しかし、核家族化により家族間の距離が物理的にも精神的にも広がり、このような相互支援が期待できなくなっています。その結果、高齢者自身が自立して老後の資金を確保する必要性が出てきました。

このような状況を解決するための手段としてリバースモーゲージは、魅力的な選択肢のひとつといえます。自宅を担保にして生活資金を得られるリバースモーゲージは、家族からの直接的な経済的支援が見込めない高齢者にとって、自宅に住み続けながら独立した生活を送るための貴重な手段だからです。

特に、自宅に大きな資産価値があるものの、手元の流動資金が少ない高齢者にとって、リバースモーゲージは老後の安定した生活を実現するために最適な選択肢のひとつとなるでしょう。

また、現在は子どもが親の家を頼りにするケースも少なくなってきています。最終的に自宅を売却することになっても困る人がいないというのも、リバースモーゲージが増加している背景のひとつです。

ノンリコース型が導入されたため

リバースモーゲージの利用者が増加している背景には「ノンリコース型」の住宅ローンの導入が大きく影響しています。2017年に始まったノンリコース型は、従来型に比べて相続人の負担が大幅に軽減されます。

従来の「リコース型」では、担保となった不動産を売却してもローン完済が不可能だった場合、その差額を相続人が支払う必要がありました。しかし、ノンリコース型の導入により、売却額がローン残高を下回っても、相続人にその差額を求めることがなくなりました

この変更により、以前は不動産の将来価値や相続人への影響を懸念してリバースモーゲージの利用をためらっていた人々も、安心して利用できるようになったのでしょう。実際に、ノンリコース型の導入後は利用者が急増し、現在では利用者の大多数がノンリコース型を選択しています。

しかし、ノンリコース型のデメリットとして、金利が高めに設定される傾向にあったり、担保割れを避けたいがために融資限度額が低く抑えられたりすることもあります。そのため、必要な資金が確保できない場合にはリコース型を選ぶ必要もあります。

以上の理由により、ノンリコース型であれば相続人に負担がかからない点が魅力で、今後も利用者数の増加が見込まれるでしょう。

リバースモーゲージの3大懸念点

リバースモーゲージには3大リスクといわれる「長生きリスク」「不動産価格下落リスク」「金利上昇リスク」があり、検討するなら、このリスクを把握しておく必要があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

長生きリスク

リバースモーゲージは契約者が死亡したあとに、自宅を売却して清算するのが一般的です。しかし、金融機関によっては、リバースモーゲージに契約期間が設定されている場合があります。

近年の医療技術の進歩や健康意識の高まりにより、人々の平均寿命は延び続けています。契約者が予想以上に長生きし、契約期間内に融資限度額に達してしまった場合、その先の生活資金を確保する手段が限られてしまいます

具体例として、70歳でリバースモーゲージの契約を結んだAさんが想定していたよりも健康で、100歳まで生きたと仮定します。Aさんが受け取る予定の融資額は、契約時に計算された自宅の価値と契約期間に基づき、90歳までの生活資金を見込んでいました。

しかし、Aさんが90歳を超えても健康で生活を続けることになった場合、リバースモーゲージからの収入は尽きていますので、追加で資金を受け取れません。

このように長生きリスクでは最悪の場合、契約者は自宅を売却するなどの選択を迫られるおそれがあります。

不動産価格下落リスク

リバースモーゲージの融資限度額は、自宅を担保にした評価額で決まります。一般的に融資額は不動産評価額の50〜80%が目安とされていますが、不動産評価額は定期的に見直されますので、経年劣化などにより評価額が下がるリスクがあるでしょう。

また、借りている金額が融資限度額を超えてしまうと、差額分を返済する必要があります。貯金などがあれば問題ありませんが、現金がない場合は自宅を売却して返済しなければいけません。

不動産評価額は建物そのものの価値だけではなく、経済状況や社会情勢、自然災害など多岐にわたる要因によって変動します。

さらに、高齢者が多く住む地域では人口減少や過疎化が進むことにより、評価額が下落しやすい傾向にあります。

以上の理由により、不動産価格下落リスクによって、契約時に見込んでいた資金よりも実際に手にする金額が大幅に減少し、老後の生活資金に影響するおそれがあります。

リースバックは不動産価格下落リスクがない

一方、リースバックは、不動産を売却することで即座に資金化が可能です。リースバックは契約時点での市場価格で不動産を売却できるため、その後の市場価格の変動に左右されることはありません。

不動産価格下落リスクを心配せず、確実な資金を得たい方はリースバックがおすすめです。

金利上昇リスク

一般的にリバースモーゲージの多くは変動金利が採用されています。よって将来的に金利が上昇した場合には、返済額が増えたり、借りられる金額が減ったりするリスクがあります。

金利上昇は経済全体の動向に影響されるため、個々の契約者がコントロールできません。金利が予想以上に上昇すると、契約期間の途中でも融資額が上限に達して、当初よりも融資額が減ってしまいます。

そのため、金利上昇リスクを考慮せずリバースモーゲージを利用してしまうと、計画していた老後の生活に支障をきたします。

老後を快適に過ごすために!リバースモーゲージ・リースバック利用前のチェックポイント

リバースモーゲージやリースバックを利用した結果、老後の生活が苦しくなっては本末転倒です。

利用前には、以下のポイントをチェックしましょう。

不動産の価値がいくらか確認する

まず、現在の不動産の価値を正確に把握しましょう。リバースモーゲージやリースバックを利用するうえで、不動産の価値が予想していた金額と大きく異なると、計画していた資金を得ることが難しくなるからです。

不動産査定は建物の年数、間取り、立地などさまざまな要因によって決まります。建物そのものの価値はもちろんですが、周りの不動産の評価も大切な要因です。

不動産の一括査定サービスリビンマッチなどを利用することで、複数の不動産会社から見積もりを取ることが可能となり、適正な市場価値を把握できるでしょう。

相続計画を立てる

将来的な相続計画も視野に入れる必要があります。

特にリバースモーゲージの場合、契約者が亡くなったあとの不動産の扱いが相続人に影響を与えます。そのため、事前に家族や相続人と相続計画について話し合い、合意を取ることが重要です。

長期的な生活設計の見直しをする

長期的に生活設計を見直し、老後のライフプランに合致しているかを検討してみましょう。

現在の生活水準や将来への希望だけでなく、以下のようにあらゆる状況を想定して資金計画を立ててください

  • 健康状態
  • 家族構成の変化
  • 社会経済の動向
  • 長生きリスク
  • 不動産価格下落リスク
  • 金利上昇リスク

リバースモーゲージやリースバックを選択する前に、上記の要因を総合的に検討し、必要があれば専門家に相談するのがおすすめです。

リバースモーゲージやリースバックを含め、さまざまな選択肢を適切に活用することで、豊かで充実した老後生活につながるでしょう。

リバースモーゲージやリースバックを検討中の方は、リースバック提供会社への一括問い合わせで、条件を比較しましょう!

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