リストラされてしまうと、急に給与の支払いがなくなってしまいます。そういったときは、失業保険の給付を受けましょう。リストラのような会社都合の退職だと、支給されるまでの日数が短いため、早めに申請することが大切です。
失業保険の受給をできるだけスムーズに進められるよう、申請の注意点や手続きをチェックしてください。
リストラで失業保険を受給するときの注意点
リストラで会社を退職したとき、失業保険を受給するために注意すべきことは次のふたつです。
- 受給資格
- 受給期間
それぞれの注意点について解説します。
受給資格
失業保険を受給するには、次のふたつの要件を満たす必要があります。
失業保険の受給資格
- 雇用保険に決められた期間以上加入している
- 積極的に就職する意思と能力がある
会社都合退職で失業保険を受給するには、退職前に雇用保険の加入期間が1年間で6カ月以上あることが求められます。雇用保険の加入期間を確認しておきましょう。
また、ハローワークに求職の申し込みをして、求職活動をはじめることで就職の意思と能力があるとみなされます。失業保険を受けるには、ハローワークへの求職の申し込みが必須です。
受給期間
失業保険の受給期間は、原則として退職の翌日から1年間です。受給期間を過ぎると給付日数が残っていても失業保険は受け取れません。
リストラによる退職の場合、給付日数が最大で330日分あります。受給の申請は早めにしておきましょう。
妊娠や出産、病気、けがなど、やむを得ない理由で30日以上働けない場合は、受給期間を最長で4年間延長できます。延長した受給期間には、給付日数が含まれます。給付日数がまだ残っていたとしても、受給期間を過ぎるとそれ以上の給付は受けられません。延長した受給期間内に、給付日数がすべて収まるよう注意しましょう。
そもそも失業保険とはなに?
失業保険とは正式名称を「雇用保険」といい、政府が保険者となって、従業員・会社から保険料を徴収し、被保険者である従業員が失業したときに給付を行う社会保険です。
失業したときに受ける給付は、正式名称を「基本手当」といい、受給資格は次のとおりです。
さらに会社の退職の仕方によって、次のように受給資格が変わります。
受給資格の違い
- 会社都合退職
- 離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が通算して6カ月以上
- 自己都合退職
- 離職前2年間に被保険者期間が12カ月以上必要
条件を満たし、失業状態であると認められると失業保険が給付されます。
また、雇用保険では失業のほかにも、教育訓練を受ける費用の一部や、育児休業者に休業手当を受給できるなど、雇用の継続にも寄与しています。
会社都合と自己都合の違い
会社を退職したときは、退職の仕方によって会社都合と自己都合の2種類があります。
会社都合退職
会社都合退職とは、企業の業績悪化など会社の都合で人員整理をする必要から、従業員に退職してもらうことです。会社都合退職の場合、ハローワークで失業保険の手続きをすると、7日間の待機期間のあと、すぐに失業保険を受給できます。
受給できる日数は90~330日です。ハローワークに失業保険の申請をすると、特定受給資格者※になります。
会社が倒産したり解雇されたりなど、再就職の準備をする余裕がないままに退職することになった人のこと
自己都合退職
自己都合退職とは、従業員は自身の意思で退職することです。自己都合退職の場合、待機期間7日間に加え、2カ月間の給付制限期間のあとに失業保険の支給がはじまります(条件によって給付制限期間が3カ月になることもある)。失業保険を受給できる日数は90~150日です。
自己都合退職でも正当な理由がある場合は、特定理由離職者※として会社都合退職をした人と同じように、7日の待機期間のあとすぐに失業保険を受給できます。
労働契約の更新がなく期間が満了した人や、病気やけが、親の介護などのために退職した人、企業の希望退職に応募した人のこと
リストラされたときの受給金額と受給期間
失業保険で受給できる金額は、計算式に当てはめることで、おおよその金額を計算できます。
基本手当日額=賃金日額×給付率(45%~80%)
基本日額の45~80%が基本手当日額となり、基本手当日額に受給期間の日数をかけた金額が、おおよその失業保険の受給金額です。給付率は年齢や給与などによって変動します。
特定受給資格者と特定理由離職者の受給期間は次のとおりです。
被保険者の期間 | |||||
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 |
120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上 45歳未満 |
150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上 60歳未満 |
180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上 65歳未満 |
150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
待機期間中のアルバイトは厳禁!
失業保険を受給する手続きから7日間は待機期間となり、期間中にアルバイトはできません。待機期間中にアルバイトをすると待機期間が延長され、失業保険の受給開始が遅れるため注意してください。
待機期間中は、完全に失業していることが求められています。
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リストラを自己都合にされてしまったときの対処法
リストラは会社都合退職のはずなのに、離職票を受け取ってみたら自己都合退職と記載されていることがあります。こんなときはハローワークに申し出ると、離職理由を変更できる場合があります。
離職票に事実と異なる理由が書いてある場合は、離職票の「離職者本人の判断」にある「事業主が○を付けた離職理由に異議」の「有り」を丸で囲み、「離職理由」の「離職者記入欄」で当てはまるものに印をつけましょう。
離職の事情を「具体的事情記載欄」に記入して、ハローワークに提出するとハローワークが事実調査を行います。このときにハローワークから証拠書類の提出を求められることもあるため、もしあるのなら事前に用意しておきましょう。
調査の結果、離職者の言い分が正しいと判断されると、自己都合退職から会社都合退職に変更されます。
自己都合だと失業保険の給付に時間がかかる
自己都合退職の場合、会社都合退職より失業保険の受給までに時間がかかります。
給付までの期間 | 受給できる期間 | |
---|---|---|
自己都合退職 | 待機の7日間+給付制限(2カ月) | 90~150日間 |
会社都合退職 | 待機の7日間のみ | 90~330日間 |
さらに受給できる日数も、会社都合退職であれば最大330日なのに対し、自己都合退職だと最大150日と大幅に短くなります。
会社都合に変更できる自己都合退職
会社都合に変更できる自己都合退職には、次のようなケースがあります。
残業が多い
退職前3カ月の残業が45時間以上ある場合、会社都合へ変更可能です。36協定※が定める、時間外労働の1カ月の限度時間(45時間)を超えているため、会社の違法行為とみなされます。申請の際にタイムカードなど残業した証拠が必要ですので、ご注意ください。
労働基準法が定める労働時間を超えて従業員に労働をさせるために、労働基準法第36条に基づいて締結した労使協定のこと。時間外労働には1カ月45時間、年間360時間の上限がある
給与の減額や未払いがあった
給与が85%以下に減額されたり、業務時間短縮により給与が85%以下になったりした場合、労働基準法違反となるため、会社都合退職に変更可能です。
また給与の3分の1以上の額が2カ月支払われなかった場合も、会社に原因があるものとして会社都合退職に変更できます。
勤務地や業務内容の変更
オフィスの移転によって通勤に2時間以上かかるなど通勤が困難になったり、本人の了解なく転勤といわれたりしたことを理由に退職した場合も、会社都合退職に変更できます。
また、数年従事した業務から外され、業務内容が極端に変わって適応できずに退職した場合も、会社都合退職に変更できます。
証拠書類を集める
離職の理由が、離職票に記載されている理由と違う場合、ハローワークに相談するとハローワークが事実の調査を行います。この調査を行ううえで重要になるのが証拠書類です。
労働契約や残業時間などを証明できるものには、次のものがあります。
労働契約や残業時間などを証明するもの
- 雇用契約書、就業規則
- 給与明細、源泉徴収票
- タイムカードや勤怠を記録したもの
- 業務日誌
- メールやFAXの送信履歴
- 建物の入退館記録
- 交通系ICカード
- タクシーの領収書
- パソコンのログ
退職後に集めることが難しいものもありますが、なるべく多く証拠書類を集めることをおすすめします。
リストラされたあとに行う手続きのまとめ
リストラされたあとに行う手続きは3つあります。
リストラ後に行う手続き
- 失業保険の申請
- 国民健康保険への切り替え
- 国民年金への切り替え
それぞれの手続きについて紹介します。
失業保険を申請する手続きの流れ
失業手当は申請者の自宅住所を管轄するハローワークへ、次の書類を持参してなるべく早く申請します。
失業手当申請の必要書類
- 雇用保険被保険者離職票-1・2
- 雇用保険被保険者証
- 写真2枚(縦3cm・横2.5cm)
- 身分証明書(運転免許証など)
- 個人番号が確認できる証明書(マイナンバーカード、マイナンバー通知書など)
- 本人名義の普通預金通帳
雇用保険被保険者離職票-1・2と雇用保険被保険者証は、所属していた会社から受け取ります。退職するときに、いつごろ受け取れるのか、どのように受け取るのか(自宅へ郵送、会社で受け取り)を忘れず確認しましょう。
失業保険を申請して7日間の待機のあと、雇用保険受給者初回説明会に出席します。以降、4週間に一度、失業認定日にハローワークで失業の認定を受けると、失業保険を受給できます。
国民健康保険に切り替える手続きの流れ
退職後、会社で加入していた健康保険から、国民健康保険への切り替えが必要になります。国民健康保険への切り替え手続きは、退職後14日以内に行いましょう。手続きの窓口は、住んでいる市区町村の役場です。
手続きを行うときは、次の書類を持参してください。
国民健康保険の切り替えに必要な書類
- 健康保険資格喪失証明書など(健康保険の資格喪失日がわかる書類)
- 届出人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 世帯主の印鑑
- 雇用保険受給資格者証、または雇用保険受給資格通知
会社都合退職の場合、翌年度末まで国民健康保険の保険料が軽減されます。雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知を忘れずに持参しましょう。
国民年金に切り替える手続きの流れ
会社を退職すると、これまで加入していた厚生年金から国民年金への切り替えが必要です。手続きは退職から14日以内に行いましょう。
手続きは、居住する市区町村役場の国民年金窓口で行います。持参する書類は、次のとおりです。
国民年金の切り替えに必要な書類
- 年金手帳、基礎年金番号通知書など(基礎年金番号のわかる書類)
- 届出人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 雇用保険受給資格者証、または雇用保険受給資格通知
失業で国民年金の納付が困難なときは、保険料の免除や保険料の納付が猶予されます。雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知、雇用保険被保険者離職票のコピーなどを持参し、国民年金窓口で相談しましょう。
早く資金調達が必要ならリースバック
自宅を所有している人であれば、リースバックを利用して資金調達することが可能です。リースバックとは自宅を売却したあとも、家賃を払ってそのまま住み続けられる不動産サービスのことです。
不動産会社に自宅の売却を依頼した場合、売れるまで早くても3カ月、長いと1年以上もかかることがあります。また、自宅の引き渡しのために引っ越しも必要です。リースバックであれば、そういった時間を省き、自宅の売却代金を手にできます。
ただし、メリットばかりではありません。リースバックのデメリットとしては、次のものがあります。
リースバックのデメリット
- 売却価格が市場価格より安い
- 家賃が周辺の相場よりも高いことが多い
- 賃貸で住める期間が決まっていることがある
- 自由にリフォームできない
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リストラされたときの失業保険のよくある質問
- リストラされたら失業保険はすぐにもらえる?
- 会社都合退職なので申請をしたら、7日間の待機期間を経たのち支給されます。待機期間中にアルバイトなどを行うと、待機期間が延長されるので注意してください。
- リストラで失業保険を受給できる期間は?
- 失業保険の受給期間は90~330日で、被保険者の期間や年齢によって受給期間が変わります。自己都合退職の場合、90~150日です。