不動産を担保に融資を受けることができるローン商品のことを、文字通り、「不動産担保ローン」と呼びます。さまざまな事業者から提供される商品ですが、無担保ローンなどそのほかのローン商品と比べて、不動産担保ローンにはどのような特徴があるのでしょうか。
借金ではない資金調達、リースバックって?
目次
不動産担保ローンって、どんなローン?
まずは、不動産担保ローンの一般的な特徴を紹介していきます。
不動産担保ローンの概要
不動産担保ローンは、土地やマンション、戸建てなどの不動産を担保して借り入れるローンです。住宅ローンも、物件を担保にする抵当権が付帯しているので、広義には不動産担保ローンの一つといえます。
不動産を担保にするため、その評価額に応じて借入上限が決まります。そのため、物件の価値が高ければそれだけ借入できる金額も高くなります。担保とする不動産は複数でも可能な場合があり、その場合はそれぞれの評価額の合計から、借入上限を算出できます。
担保とする不動産の名義は原則として本人である必要がありますが、場合によっては、家族など本人以外の不動産であっても、同意があれば担保とすることを可としてる金融機関などもあります。
不動産担保ローンのメリット・デメリット
不動産を担保にすることで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
不動産担保ローンのメリット
無担保ローンより金利が低い
不動産担保ローンの最大の利点は、金利が低いことです。
銀行が提供する使途が自由な不動産担保ローンの金利相場を調べてみると、0.4%~1.3%程度となっています。無担保のカードローンの金利相場は、4.5%~15%程度なので、その差は歴然です。
なお、住宅ローンは金利の低いローン商品として有名ですが、これは住宅取得資金に使途が限定されているため、今回の比較対象から外します。
金利相場(%) | |
---|---|
不動産担保ローン | 0.4~1.3 |
無担保ローン | 4.5~15 |
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長期間借りやすい
不動産を担保にすることで金融機関の審査で優遇され、20年や30年の長期間を返済期間として設定することが可能になります。
返済期間を長くすることで、月々の返済金額を抑えることができます。ローン返済では月々の収支を安定させることが重要なので、無理な返済負担を避けることができるケースもあるでしょう。
借入上限が高くなりやすい
無担保ローンの場合、1,000万円程度を融資上限としていることが多い傾向にあります。
しかし、不動産を担保にすることで、その不動産の評価額に応じて融資上限は上がります。金融機関によって評価基準は異なりますが、場合によっては無担保ローンで借りられる数倍もの金額で、融資を受けられるケースもあるでしょう。
不動産担保ローンのデメリット
審査に時間がかかることが多い
不動産担保ローンの場合、借入人の返済能力だけでなく、不動産評価も行います。そのため審査の項目が多くなり、審査期間も長くなります。無担保のカードローンのように“即日融資”が受けられるケースは多くないので、急いでいる場合はほかの手段も考えたほうがよいでしょう。
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不動産に関連する手数料が生じる
不動産を対象にするため、印紙代や登記費用などが発生することがあります。ローンを組む際の事務手数料や利息以外にも考慮すべきコストがあることを覚えておくとよいでしょう。
不動産を失うリスクがある
担保は、返済ができなくなった場合に換金され、債権者への返済にあてられます。つまり、自宅を担保に入れているなら住むところを失う可能性があるということです。
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個人向け不動産担保ローンでは、いくらまで借りられる?
ここで、個人向けの不動産担保ローンで借りられる金額について、もう少し詳しくみていきましょう。
各社の不動産担保ローン商品で借入可能額を比較
実際のローン商品を参考に、借入可能額を見比べてみましょう。
金融機関名 | 借入可能額 |
---|---|
スター不動産担保ローン|東京スター銀行 | 100万円 ~ 1億円 |
不動産担保ローン|SBIエステートファイナンス | 300万円 ~ 5億円 |
りそなフリーローン(有担保型)|りそな銀行 | 100万円 ~ 1億円 |
【不動産担保型】L&Fカードローン|三井住友トラスト・ローン&ファイナンス株式会社 | 300万円 ~ 1億円 |
不動産の評価額によるところが大きいという前提はありますが、個人であっても下は100万円から、上は5億円まで借入できることがわかります。
重要なのは不動産評価額?
先述したように、無担保ローンのように個人の信用力のみで借入をする場合は、1,000万円程度が上限となることが多いです。しかし、不動産を担保とすることで最大数億円もの融資を受けられます。このことから、不動産の担保評価がいかに重要かわかることでしょう。
もう少し掘り下げると、銀行で審査する場合、不動産評価額は毎年7月に発表される「路線価」と呼ばれる価格を参考にして決められることが一般的です。その上で、担保評価では路線価の約60%~80%までが融資上限となることが多いといわれています。
路線価は主に課税価格の算定に用いられる指標で、国税庁の財産評価基準書というページから調べることができます。見方には少し癖があるので、自身で調べるのが難しい場合には、金融機関などに問い合わせたタイミングで調べてもらうとよいでしょう。
不動産担保ローンの流れを把握しよう
不動産担保ローンでは、申し込みから融資が下りるまでにどのような手続きをふむのでしょうか。
融資までの手順
ある金融機関で申し込んだ場合の融資手順を一つの例として紹介します。
- 融資相談・仮審査
- 申し込み
- 審査
- 契約
- 融資実行
1.融資相談・仮審査
まずは不動産担保ローンを提供している金融機関に、電話やメールをしたり窓口に足を運んだりして、相談をすることから始まります。必要な情報を伝えることで簡単な説明を受けられるほか、ここで的外れな相談ではないかなどを確認してもらうことができます。
2.申し込み
条件に納得できれば、必要な書類を用意の上、申し込みを行います。金融機関や案件の規模によっては営業担当者が自宅に来てくれることもあります。
3.審査
金融機関やその関係会社などが担保不動産や本人の信用情報を調べて、融資可能な金額や利率などを判断します。
4.契約
審査結果の通知を受け、それを元に融資を受けるかどうか判断します。内容に納得すれば、金融機関との間で融資契約を交わします。契約前には最終確認が行われ、それに了承をすることで具体的な手続きへと進みます。
5.融資実行
契約で決められた内容で、融資が実行されます。不動産担保ローンの場合は抵当権をつける手続きも同時に行われるため、司法書士が金融機関と申し込み者の間に入って手続きを行うのが一般的です。
不動産担保ローンが利用できない場合はどうする?
審査に通らない場合など、不動産担保ローンが利用できないケースもあるでしょう。そのようなときは、リースバックも検討しましょう。
リースバックは、融資ではありません。手続き上は所有する不動産を売却し、その家について新たに賃貸借契約を交わす仕組みで、実際は不動産担保ローンと同様に同じ家に住み続けられるというものです。
不動産担保ローンとの違いは、個人の信用情報が資金調達に大きく関係しない点です。このことから、これまでに別の借金で延滞歴があり融資を受けるのが難しいという方に適しているといえます。また、融資とは違い売却によって得た資金の使途に制限がないため、特殊な事情でお金が必要になった方にも向いているサービスといえるでしょう。
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