リストラで住宅ローンを返済できないときの対処法

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リストラで住宅ローンを返済できないときの対処法

綿密に住宅ローンの返済計画を立てたにもかかわらず、急なリストラによって支払い困難に陥ってしまうことがあります。リストラをされたらまず何をするべきか、そして住宅ローンの返済にどう対応すればよいのかなどを解説します。

住宅ローン返済中にリストラされたらまずやるべきこと

住宅ローンを抱えているに関わらず、リストラされてしまったときにやるべきことを紹介します。住宅ローンの返済が滞ると、生活にさまざまな支障がでます。

会社を退職したら、できるだけ早く次のことを行いましょう。

  • 失業手当の受給資格の確認
  • 在籍していた会社から離職票を受け取る
  • ハローワークで失業手当の申請をする
  • 金融機関へ返済の相談をする

それぞれについて詳しく解説します。

失業手当の受給資格の確認

まずは失業手当を受給できるか確認しましょう。失業手当の受給資格は、原則として離職前の2年間で被保険者期間が12カ月以上必要です。加えて積極的に就職しようとする意思があること、健康状態や環境を含めいつでも就職できる能力があることなどが条件です。

失業手当は正式には雇用保険の基本手当といいますが、失業後に条件を満たしていると失業手当を受け取れます。また、失業手当は賃金日額の45〜80%ですのでそれほど多くはもらえません。

在籍していた会社から離職票を受け取る

離職票は失業手当を受け取る際に必要な書類で、退職から2週間ほどで会社から届きます。

会社が発行してくれない場合は、ハローワークに相談しましょう。会社に確認をしてくれたり、ハローワークが離職票を発行してくれたりします。

ハローワークで失業手当の申請をする

リストラは会社都合の退職となるため、失業手当の給付が早くなります。そのため、失業手当の申請は、早めに手続きをしましょう。

離職から受給までの大まかな流れは次のとおりです。

  1. 受給資格の確認
  2. 7日間の待機期間
  3. 説明会への参加
  4. 失業の認定
  5. 受給開始

それぞれについて詳しく解説します。

①受給資格の確認

離職してから2週間ほど経つと会社から離職票が届きますので、管轄のハローワークへ提出しましょう。そのときに、次のものが必要になりますので、忘れずに持っていきましょう。

  • 雇用保険被保険者離職票(1、2)
  • 個人番号を確認できる書類
  • 身元確認書類
  • 写真2枚
  • 預金通帳またはキャッシュカード
個人番号を確認できる書類
マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、個人番号の記載がある住民票など
身元確認書類
運転免許証、マイナンバーカード、公的医療保険の被保険証など

受給要件を満たしていることが確認されると、受給資格が認められます。

②7日間の待機期間

リストラのような会社都合の退職では、7日間の待機期間があります。待機期間とは、手続き後に失業状態であることを確認する期間です。待機期間中にアルバイトなどをしてしまうと、待機期間が延長されてしまうため注意しましょう。

③説明会への参加

ハローワークは失業手当の受給を希望する人を集め、説明会を行っています。受給資格が決定したときにハローワークから説明会の日時を指定されるため、指定された日時に出席し、制度の説明を聞きましょう。

説明会では失業認定申告書と雇用保険受給資格者証が配布され、初回の「失業認定日」が通知されます。

④失業の認定

指定された失業認定日にハローワークに行きましょう。ハローワークでは、原則として4週間に1度、失業した状態にあるかの確認をしています。

ハローワークへ行くと求職活動をしたかどうかの確認がありますが、失業の認定で訪れるときは説明会も求職活動に数えられるため、すでに条件を満たしています。

指定された日に説明会で受け取った、失業認定申告書と雇用保険受給資格者証をハローワークに提出しましょう。

⑤受給開始

受給は失業認定日から5営業日(年末年始を除く)で、指定した口座に振り込まれます。リストラで退職した場合、雇用保険の受給期間は最低で90日、最大で330日です。

失業手当の受給期間中に、再就職などの準備を進めましょう。


金融機関へ返済の相談をする

住宅ローンの融資を受けている金融機関に返済額の軽減、または返済期間の延長の申請をしましょう。どちらも金融機関に認められれば、一時的に返済額を軽減できます。

返済額の軽減申請

軽減申請は一時的に支出が重なるときなどに、ある期間のみの返済額を軽減してもらえるものです。しかしこの方法は、あとから高金利で返済する必要があるため、先に収入が見込める際に有効です。

返済期間の延長申請

延長申請は、ローンの返済期間を延ばしてもらうものです。月々の返済額は少なくなりますが、返済期間が延びるため金利の負担は大きくなります。

住宅ローンの返済を滞納するとどうなる?

リストラ ローン

住宅ローンを支払えなくなり、返済を滞納するとどういった事態になるのかを解説します。住宅ローンの返済を滞納すると、次の順で事態が進行します。

  1. 督促状が届く
  2. 信用情報機関に記載される
  3. 期限の利益喪失通知が届く
  4. 代位弁済通知が届く
  5. 不動産が差し押さえられる
  6. 競売にかけられる

それぞれの段階を詳しく解説します。

①督促状が届く

住宅ローンを1〜2カ月滞納すると、督促状が届きます。督促状には「支払いに応じない場合は法的処置をとります」といった内容が書かれています。

この段階で支払いを済ませれば、問題はこれ以上大きくなりません。しかし、それでも支払わないと次の段階へと進みます。

②信用情報機関に記載される

滞納から2〜3カ月ほど経つと、信用情報機関に滞納した情報が記載されます。一般的にブラックリストと呼ばれているものです。

ブラックリストに記載されてしまうと、住宅ローンを完済しても5〜7年はクレジットカードの作成やローンの利用ができなくなります。それまで使用していたクレジットカードも、更新できなくなるおそれがあります。

③期限の利益喪失通知が届く

滞納後3〜6カ月経つと期限の利益喪失通知が届きます。期限の利益とは、住宅ローンを分割で支払う権利のことです。

期限の利益は契約に基づいて成立していますが、滞納は契約に反するため分割で支払う権利を失い、一括での返済を余儀よぎなくされます。

④代位弁済通知が届く

期限の利益喪失通知のあとには、代位弁済通知が届きます。代位弁済とは、「保証会社が代わりに残りのローンを支払いました」という通知です。しかしこれで返済義務がなくなったわけではありません。今度は保証会社に、住宅ローンの残債を一括返済しなくてはなりません。

⑤不動産が差し押さえられる

保証会社に一括返済できない場合、担保として所有する不動産が差し押さえられ、裁判所で競売の手続きがはじまります。

差し押さえの段階では任意売却という方法で、不動産を売却することも可能です。しかし、競売が行われるまで時間の余裕がないため、任意売却する場合には早めの対応が必要となります。

任意売却
住宅ローンの返済を滞納した不動産を、金融機関の承諾を得て不動産会社の仲介で売却すること。売却代金は返済にあてられ、返済しきれなかったぶんは分割で支払う

⑥競売にかけられる

競売とは住宅ローンの滞納によって不動産を裁判所に差し押さえられ、売りに出されることです。競売の価格査定のため、裁判所の執行官と不動産鑑定士による調査が行われ、そのあとから期間入札の通知が届き、不動産の入札が可能となります。

競売は相場の7割ほどの価格で取引されてしまうため、不動産会社の仲介で売却できる任意売却のほうが住宅ローンを多く返済できます。入札がはじまってしまうと、任意売却はできなくなるため注意してください。

競売で住宅ローンを返済したあとは、返済しきれなかったぶんを一括で返済することになります。返済できない場合は、自己破産にいたるのが一般的です。

自己破産を選択すると本人の返済義務はなくなりますが、その義務はすべて連帯保証人に移行します。

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自宅を手放して生活を再建する方法

会社員の場合、住宅ローンは会社に勤め続けることを前提に、金融機関からお金を借りています。そのため、想定外のリストラに遭うと途端に返済計画が狂ってしまうでしょう。以前勤めていた会社と変わらない条件で再就職できるとよいのですが、そう簡単なことではありません。

住宅ローンの返済が困難になったときは、自宅を手放して生活の再建に注力するのもひとつの方法です。自宅を手放して生活を再建する方法について解説します。

住宅ローン返済中に自宅を売却する方法

住宅ローンを返済中の自宅を売却するには、アンダーローンとオーバーローンについて理解しておく必要があります。

アンダーローンとは、住宅ローンの残債より自宅の売却価格が上回っている状態のことをいいます。この状態であれば、特に問題なく自宅を売却できます。自宅を売却すると住宅ローンを完済できるうえに、余ったお金が手もとに残ります。

住宅ローンを返済できない状況になったとしても、住宅ローンの負担がなくなるうえに手もとに資金ができるため、生活の再建がしやすいでしょう。住宅ローン返済中の自宅を売却するには金融機関の承認が必要になりますが、アンダーローンであれば問題なく承認されます。

アンダーローンと違ってオーバーローンは、自宅の売却価格が住宅ローンの残債を下まわってしまう状態のことをいいます。この状態だと、自宅を売却しても住宅ローンが残るため、手持ちの資金で不足分を補わなくてはなりません。また、オーバーローンの状態だと金融機関から自宅売却の承認を得られないことが多いです。

すでに滞納している場合は任意売却をする

すでに住宅ローンを滞納している場合は、任意売却という方法で自宅を売却し、住宅ローンの負担を軽減することが可能です。

任意売却とは住宅ローンを滞納したときに金融機関の許可を得て自宅を売却して、住宅ローンを返済する方法です。もし住宅ローンが残ってしまっても、残債を分割して支払えます。任意売却では不動産会社の仲介で自宅を売却できるため、競売で自宅を手放すよりも高く売却できる可能性が高いです。つまり、それだけ住宅ローンを多く返済できるのです。

任意売却を行うことで生活を再建する方法を解説します。

任意売却とは?競売を回避する任売(にんばい)をわかりやすく解説!

金融機関から督促状が届く

住宅ローンの滞納が続き、督促状が届いても対応しないままでいると、期限の利益喪失通知が届きます。この通知が届くと住宅ローンを分割で支払う権利を喪失します。そのあとも対応せずに無視していると、自宅を強制的に競売へかけられてしまいます。

自宅を競売にかけられる前に、不動産会社に任意売却について相談しましょう。

不動産会社に相談する

不動産会社へ任意売却について相談すると、依頼者の不動産にどれほどの価値があるのか査定してもらえます。査定の結果に納得できるのであれば、任意売却に向けて不動産会社との契約を検討しましょう。

金融機関に相談する

売却の価格や時期が決まったら、金融機関に任意売却を承諾してもらう必要があります。これは、金融機関が抵当権を持っているためです。

抵当権
住宅ローンの返済が滞ったときに、金融機関がその不動産を売却して返済にあてられる権利のこと。不動産を売却するには、金融機関に抵当権を抹消してもらう必要がある

不動産の売買開始・契約

金融機関に任意売却の同意を得られたら、不動産会社と媒介契約を交わして自宅を売却します。ここで重要となるポイントは、競売にかけられる前に自宅を売却しなくてはならないことです。売却価格より早期売却を優先しましょう。

不動産の決済・所有権の移行

不動産の売買が成立したら、あとは決済と引き渡しです。売却の目処が立ったら、住宅ローンの残債を無理なく支払える賃料の新居を探して引っ越しましょう。決済と引き渡しを終えたら、その日のうちに司法書士が抵当権の抹消と所有権の移転登記申請をします。

任意売却後に生活を立て直す方法

任意売却をしたあとは、残った住宅ローンを分割して返済することになります。任意売却後に生活を再建する方法を紹介します。

個人再生

個人再生は裁判所に申し立てをすることで、抱えている債務を減らせる可能性のある手続きです。個人再生は債務の総額を減らし、場合によっては数百万円の免除が可能です。

ただし、信用情報機関に事故情報が記録されると、クレジットカードをつくったり、ローンを組んだりすることが難しくなります。

支払い額を調整する

任意売却をしたあとの住宅ローンの残債は、分割返済を行うのが一般的です。金融機関の同意を得られると、少しずつ支払っていけます。その際、支払い額について話し合い、無理なく返済できるように調整してもらいましょう。

残債の利息を交渉する

任意売却後の残債にかかる金利は決まっていません。そのため、交渉次第で金利は変わりますが、金利を下げてもらいやすい人には次の特徴があります。

  • 単独名義でローンを借りている
  • 計画がしっかりしていて返済できそうな人

大きな金額が関わることなので、粘り強く交渉することが大切です。

住宅ローンを返済できないときはスピードが重要

住宅ローンの返済が難しくなったときは、とにかく早く行動することが大切です。任意売却は住宅ローンの返済を軽減できますが、信用情報機関に事故情報が掲載されてしまうなどのデメリットがあります。

もしアンダーローンなのであれば、ぎりぎりまで住宅ローンの返済に取り組むようなことはせず、早めに自宅を売却する決断をするのもひとつの方法です。住宅ローンの返済が困難な状況で、少しでも高く売ろうと時間をかけることは避けたほうがよいでしょう。

おすすめなのが、不動産買取という方法です。不動産会社に直接買い取ってもらうことで、買主を探す時間を大幅に短縮できるのが特徴です。一方で、売却価格が仲介による売買よりも安くなってしまうデメリットがあります。しかし、不動産買取の売却価格でもアンダーローンになるのであれば、前向きに検討したいところです。

早く自宅を売却するならリースバックも有効

不動産買取に似たサービスには、リースバックがあります。リースバックは買い取ったあとの自宅に、家賃を払うことで住み続けられるサービスです。

売却した自宅に家賃を払って住むのは、無駄な出費のように思えるかもしれません。しかし、引き渡しまでの期間が必要ないため、アンダーローンであればよりスピーディに住宅ローンを完成できるのがメリットです。

住宅ローンの滞納にはさまざまなデメリットがあるため、スピード重視であれば検討してもよいでしょう。

ただし、リースバックには次のデメリットがあります。

  • 仲介よりも売却価格が安い
  • 家賃が相場よりも高い傾向がある

リースバックでの買取価格は、仲介と比べて8割程度になるのが一般的です。また、家賃は買取価格から算出し、年間家賃が買取価格の8~10%になるため、周辺相場より高くなることが多いので注意が必要です。

リースバックの利用にあたっては、こういったデメリットを踏まえたうえでよく検討してください。

また、リースバックを提供する会社によって、サービス内容に違いがあることにも注意が必要です。サービスの違いを理解しないまま契約すると、トラブルの原因となります。利用するときは、複数のリースバック会社へ相談して、サービス内容を比較してください。

リースバック会社を比較するときは、「リースバック比較PRO」を利用してください。フォームから自宅や連絡先などを入力するだけで、複数のリースバック会社へ一括して問い合わせられるサービスです。1社1社に問い合わせる必要がないため、早くリースバックの相談をしたい方には便利なサービスです。

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住宅ローンを返済できないときのよくある質問

住宅ローンの返済が難しくなったらどうすればよい?
金融機関に返済についての相談をしましょう。一定期間だけ返済額を軽減したり、返済期間の延長をしたりといった対応が可能です。
住宅ローンを返済できないとどうなる?
2~3カ月以上も返済を滞ると、ブラックリストへの情報掲載、一括返済の要求などを経て、家を差し押さえられて競売にかけられます。滞納する前に金融機関へ相談しましょう。
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