住宅ローンを支払えず自宅が競売にかけられそう、かけられてしまった場合の対策として挙げられるのが、リースバックの利用です。利用することで住み続けられる可能性が高くなるため検討される方が増えていますが、競売回避のためにリースバックを利用する際には注意点もあります。
競売を理由にリースバックを利用するメリットとデメリット、注意点を解説します。
目次
競売回避のためにリースバックを利用する人は多い?
リースバックは毎年500件前後と少ないとは言えない件数、実施されています。この件数は国土交通省による「リースバックの現状について」に掲載されているデータです。
以下は、同調査の「利用者の主な利用動機(複数回答可)」で多いものから順にリストアップしたものです。
- 生活資金の確保(76.7%)
- 住宅ローン・その他債務の返済(63.3%)
- 高齢者施設への入居資金の確保(50%)
- ゆとり資金・余暇資金の確保(36.7%)
高齢者世帯がリースバック利用者の中心層ではあるものの、高齢者を含まない世帯でも利用実態が多く、上記の利用動機を踏まえると「競売回避を目的にリースバックする世帯も多い」ことがわかります。
リースバックでは定期建物賃貸借で契約されるケースが特に多い
同調査結果からリースバック時の契約内容は、定期建物賃貸借の形式で賃貸借契約を締結しているのが総数の80%、普通建物賃貸借では20%とされています。
定期建物賃貸借をリースバックで採用した場合の契約年数は、2~3年が相場です。
リースバックする目的が「住み続けること」にある場合、希望の叶うリースバック会社を選ぶ・住み替えを視野にいれた資金計画を立てるのが必須であることも理解しておきましょう。
競売回避のためにリースバックを利用するメリット
リースバックとは、「賃貸借契約付き売却」とも呼ばれる資金調達方法です。
自宅を売却して資金を作り、買主(リースバックを取り扱っている不動産会社・銀行)と賃貸借契約を結び、家を借りて住み続けられます。
- 自宅が競売にかけられるのを回避したい
- 借金返済は現状できないが、住むところを失いたくない
このような悩みを解決するため利用されるケースが多いものの、中には住み替えのための資金調達方法として利用されるケースもあります。
リースバックを競売回避のために活用するメリットを見ていきましょう。
売却を周囲に知られず家に住み続けられる
リースバックを活用することで資金難であることが周囲にばれることなく、住み続けられます。
リースバックに対する競売の流れは、次のとおりです。
- 裁判所職員による自宅訪問
- 裁判所への物件情報告知
- 競売物件としてインターネットに室内写真なども含め掲載
競売にかけられていることが近所に知られてしまうことは避けられません。競売がスタートする前に任意売却でリースバックを行うことで、周囲に知られるリスクを回避できます。
引っ越しなしで資金繰りが楽になる
リースバックを活用し資金調達できれば、引っ越し資金もかからず、滞っていた借入金の返済に充てられます。
賃料を支払う必要はあるものの、住宅ローン・固定資産税・都市計画税の納付義務がなくなるので、固定費を抑えられるメリットがあります。
リースバックは融資ではなく売却で資金を得るため、借入ができない状況であっても資金調達ができるのもメリットです。
自宅を安い価格で手放す必要がなくなる
リースバックを行い、競売を回避できれば自宅売却時の買取価格を競売よりも高く売却できます。
競売物件の落札価格は市場価格の50~60%ですから、リースバックを行えばより多くの資金調達が可能です。
競売回避のためにリースバックを利用するデメリット
競売回避を目的にリースバックする場合、知っておきたいデメリットもあります。
所有権の異動がある、契約期間終了後の引っ越しのリスク、場合によっては家賃で家計が厳しくなる危険性もあるのでチェックしてください。
自宅の所有権を失ってしまう
リースバックを利用すると、自宅の所有権はリースバック会社に異動します。
不動産担保ローンやリバースモーゲージで資金調達すると所有権は自分から異動しませんが、リースバックの場合は自分に所有権がなくなることも留意しておきましょう。
契約期間終了後に退去する必要がある場合も
「リースバックすれば終生住み続けられる」というのは早計です。
リースバックで賃貸借契約を結ぶ際、定期建物賃貸借を採用しているリースバック会社は国土交通省の調査で80%とお伝えしました。賃貸借期間はリースバック会社によるものの2~3年が相場ですから、その後引っ越さなくてはならないケースもあります。
契約条件が定期建物賃貸借の場合、賃貸期間を確認してください。「どうしても住み続けたい」という場合には、ほかのリースバック会社でリースバックを検討するのもおすすめです。
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家賃支払いの負担が大きくなるケースもある
リースバックしたら確実に生活が楽になる保証はありません。
リースバック会社は買取物件を利回りで判断し、市場価格よりも安く購入し、市場を踏まえ賃貸時の家賃を決定します。
そのため競売よりも高く買い取りはされるものの、買取価格が高いほど家賃が高くなりやすいのです。家賃や契約条件も踏まえて利用を検討しましょう。
競売にかけられたあとでは遅い?
競売がスタートしてしまった状態では、任意売却をしてリースバックを活用することは現実的に難しくなります。
リースバックできない、という取り決めはないものの、「競売スタート後に任意売却の希望が承認されることは難しい」というのが理由のひとつです。
任意売却とは、借入先の金融機関から承認を得て売却することを指しますが、リースバック会社が金融機関を説得するには相応の経験・知識・実績が求められます。
金融機関が目的とする「債権額の回収が見込めるだけの売却価格を提示」することが必須ですが、それだけの金額を提示できなければ実現しないでしょう。
ただし、債権額がリースバックでの買取価格を下回る見込みが立っている場合は、リースバックできる可能性があります。
競売回避のためにリースバックを利用する際の注意点
競売を回避したい、その目的のためにリースバックを活用する場合には、トラブル回避のためにも注意しておきたいポイントがあります。
リースバック利用時の注意点を紹介しますので、確認してください。
安心して任せられる実績のあるリースバック会社を選ぶ
リースバックをしたことでトラブルになった事例もあるため、リースバック会社は慎重に選びましょう。
想定できるトラブル・後悔ポイントは以下があります。
- 買取価格が不当に安かった
- 家賃がリースバックを利用したにしても高すぎる
- 定期建物賃貸借の賃貸期間が短い
- 契約条件が不透明なまま、押し切られてしまった
- 更新できず引っ越せざるを得なくなった
- リースバック会社が倒産して引っ越しを余儀なくされた
リースバック契約を締結する際には、契約内容をしっかりと確認するようにしましょう。そのうえで、更新できず引っ越せざるを得なくなった、などのトラブルに見舞われないため、実績のあるリースバック会社か判断してください。
契約内容が不透明、しっかりとした説明が受けられない、ホームページなどでも実績が不透明、といったリースバック会社であれば契約すべきではありません。
リースバック会社は複数社に見積もりを取り、比較検討する
不当な内容で契約を迫るリースバック会社もあるため、複数社に見積もりを取り、比較検討するようにしてください。その際、契約条件、買取価格、家賃、契約更新が可能な場合の更新料などしっかり確認しましょう。
最低でも2、3社の見積もり・契約内容を比較検討すると、自宅がどの程度で買取されるかの相場感、住み続けた場合の家賃相場感が把握できます。
見積もりを複数依頼するのは面倒…という場合には信頼できるリースバック会社に一括問い合わせできるリースバック比較PROを活用するのもおすすめです。
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自身の収支計画を踏まえ、契約内容を確認する
「リースバックによる買取価格が高い=家賃が高騰しやすい」ということは先にお伝えしたとおりですので、リースバック後の収支計画を踏まえて契約内容を確認しましょう。
- 買取価格が不当に安いと感じる
- 契約内容の説明がされない・不十分と感じる
- 提示された家賃が相場を大幅に超えている
- 住み続けたいのに定期契約と押し切られそう
- 買取価格が安いのに家賃が高い
上記の条件に当てはまる場合には、ほかのリースバック会社の見積もり・契約条件と比較検討してみましょう。「他社と比較してもおかしい」と判断できる場合には、他社を検討することをおすすめします。
もし他社と比較し、それほど大きな違いがない場合、相場はこの程度と判断し、今後の収支計画の見直しも含め、生活を立て直していきましょう。
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