リースバックは、不動産や金融の専門家でもない限り、多くの方にとって馴染みのない取引です。そのため、リースバックを利用した後で、それを知らなかったことが原因でトラブルになることもあります。
「事前に知っていればこんなことには…」と後悔しないためにも、トラブルを避けるために役立つ基本的なことを確認しましょう。
まずはリースバックについて理解しましょう!
目次
リースバックの契約によるトラブルが問題に!
2022年6月24日、国土交通省は「住宅のリースバックに関するガイドブック」 を公表しました。
リースバックによる不動産取引の増加にともない、サービス内容を十分に理解せずに契約したり、悪質なリースバック会社が強引に契約を迫ったりといったトラブルが発生しています。こういった状況を受けて国土交通省は、有識者や業界団体で構成される「消費者向けリースバックガイドブック策定に係る検討会」による検討を進めて、ガイドブックをとりまとめました。
参考:国土交通省「「住宅のリースバックに関するガイドブック」を公表しました」
リースバックはまだ新しいサービスで、内容がよく理解されていなかったり、会社によってサービス内容に違いがあったりするため、トラブルが起こりやすいのです。リースバックの利用を検討している人は、さまざまなトラブル事例を参考に、比較・検討を重ねたうえで契約するリースバック会社を選びましょう。
リースバックでよくあるトラブルの例
リースバックではさまざまなトラブルが起こりますが、契約内容の見落としが原因になっていることが少なくありません。どのようなトラブルが発生しているのか紹介します。
- リースバックで再契約するときに家賃が高くなった
- リースバック会社が物件を売却し、新しいオーナーに退去を迫られた
- リースバックで住んでいた家の契約更新を断られた
- リースバックで所有権が移転しているため相続できなかった
- 買い戻しの価格が売却したときより著しく高い
リースバックで再契約するときに家賃が高くなった
リースバック契約を行うと、月々の家賃が発生します。この家賃が原因で、トラブルが発生することがあります。
家賃が毎月払い続けられる水準であることを確認して契約したにもかかわらず、あとになって家賃の値上げを要求されてトラブルに発展するケースがあります。
リースバックでは定期借家契約を結ぶことが多く、一定期間(2〜3年が一般的)ごとに再契約を交わします。リースバック会社にもよりますが、契約期間が来たら再契約を交わすことで住み続けられます。しかし、再契約時の家賃について取り決めをしていなければ、周辺環境の変化などによって家賃が上昇することがあるのです。一般的な賃貸住宅に入居するときは普通借家契約を交わすため、一方的な値上げはできません。しかしリースバックは定期借家契約が中心のため、再契約のときに家賃の値上げが可能なのです。
リースバック契約書に家賃の値上げをしないことが明記されていたり、普通借家契約を交わせるリースバック会社と契約したりすれば、家賃値上げによるトラブルを避けられます。
リースバック会社が物件を売却し、新しいオーナーに退去を迫られた
リースバック契約では、所有権がリースバック会社へ移ります。そのため、リースバック会社が物件を第三者に売却してしまい、新たな持ち主の意向で再契約を拒否されて退去を迫られることがあります。定期借家契約の再契約は貸主と借主の双方の合意が必要なため、新しいオーナーの意向によって再契約できないことがあるのです。
一定の期間・条件のもと、勝手な売却を防ぐ条項などをリースバックの契約書に明記してもらえることがあります。しかし、リースバック会社が倒産してしまった場合、強制的に所有権が第三者に移ってしまうため、転売を確実に防ぐことはできません。
再契約をするつもりでリースバックを利用する場合は、倒産などのリスクが低い、大手リースバック会社との契約がおすすめです。
リースバックで住んでいた家の契約更新を断られた
リースバックでは自宅の売却後も、賃貸借契約を交わして住み続けられます。しかし、賃貸借契約に期限があり、そのまま住み続けたくてもリースバック会社に断られてしまうことがあります。リースバック会社によっては、賃貸借の期間を延長しない前提でリースバック契約を交わすため、もっと長く住みたいと思っても賃貸借契約の更新ができないのです。
こういったトラブルを回避する場合は、賃貸借契約を普通借家契約で交わせるリースバック会社を選びましょう。
リースバック契約でよく利用される定期借家契約と普通借家契約には、次のような違いがあります。
定期賃貸借契約 | 普通賃貸借契約 | |
---|---|---|
賃貸借の期間 | 2~3年が一般的。それ以上は再契約が必要。更新はできない | 2年が一般的。契約更新でさらに住み続けられる |
契約更新・再契約 | 再契約には貸主の合意が必要 | 借主の意思で更新が可能 |
賃料の変更 | 可能 | 貸主に正当な理由があれば可能 |
長く住み続けるつもりであれば、普通借家契約を利用できるリースバック会社がおすすめです。
リースバックで所有権が移転しているため相続できなかった
リースバック契約を締結した時点で、住宅の所有権はリースバック会社に移転します。しかし、本人が同じ住宅に住み続けていることから、親族が「まだ所有資産である」と誤認してしまい、トラブルになることがあるようです。
もし契約者が相続人にリースバックのことを伝えていなければ、親族は相続のときまで気がつかないかもしれません。ただでさえ手続きの多い相続の場面で迷惑をかけないためにも、事前に話をしておいたほうがよいでしょう。
買い戻しの価格が売却したときより著しく高い
リースバックは契約内容によっては、賃貸で自宅に住んだあとで「買い戻し」ができます。ところが、買い戻しの価格が著しく高く、トラブルになることがあります。
基本的に買い戻しの価格は、自宅を売却したときより高くなります。一般的なリースバック会社の買い戻し価格は、売却価格の1.1~1.3倍が目安です。しかし、悪質なリースバック会社だと買い戻しの価格を口約束で伝えて、実際に買い戻そうとしたときに約束より高い価格を提示することがあるのです。
買い戻しを想定してリースバックの契約をする場合は、買い戻しについて契約書に価格などの条件を明記しましょう。
【対策】複数のリースバック会社に問い合わせて比較する
トラブルを防ぐため、リースバックの契約をするときは、複数のリースバック会社に問い合わせてください。リースバックは会社によって提供するサービスが異なるため、各リースバック会社と相談して比較することがトラブル予防につながります。
複数のリースバック会社へ問い合わせるときは「リースバック比較PRO」が便利です。自宅の情報や連絡先を一度入力するだけで、複数のリースバック会社に問い合わせられます。
登録しているのは審査を通過したリースバック会社だけなので、悪質なリースバック会社に契約を迫られる心配もありません。
リースバックを検討している方は、ぜひリースバック比較PROからお申し込みください。
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リースバックのトラブルを回避するためにできる3つの工夫
リースバックのトラブル事例をふまえて、回避するための3つのポイントを紹介していきます。
リースバックにおける契約書をよく読み勘違いをなくしておく
トラブル発生原因の多くは、借主が契約内容を誤解していることにあります。
不動産売買の契約書は、専門的な用語が多く、つい読み飛ばしてしまいがちです。しかし、重要なことが記載されているからこそ難しいと考えることができます。認識との齟齬がないよう、一度はすべてに目を通しておくべきでしょう。
契約書で不明な点があれば、リースバック会社に直接確認しても良いでしょう。その場合は、口頭の説明が証拠にならないことに要注意です。トラブルが発生したタイミングで説明不備を指摘しても話が通ることはほとんどないため、メールなどで文書化してもらうことが重要です。
家族や遺産相続人などには存命中に相談しておく
もう一つ重要なことは、家族や重要な遺産相続人には事前に相談し、極力、了承を得ておくことです。
最終的に決める権利は住宅所有者にあるとはいえ、遺産総額に大きな誤認があるとトラブルの元になることは言うまでもありません。特に同居する家族が遺族となった時には、重大な影響を受ける可能性もあります。したがって、リースバック契約を行ったことは存命中に伝えておくことをおすすめします。
リースバック後、退去するか、別の住まいに移るかを考えておく
リースバックでは、契約の更新や再契約によって自宅を賃貸し続けることができます。しかし、ずっと住み続けるつもりなのか、一定期間が立てば引っ越したり高齢者向けの施設に入ったりするつもりなのか、ある程度決めておくことが大切です。
また、契約するリースバック会社によってはそもそも、一定期間で退去しなくてはならないこともあります。事前に条件を比較し、見極めておくことも重要でしょう。
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