リースバックを基本からわかりやすく解説!安心して利用するには?

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リースバックを基本からわかりやすく解説!安心して利用するには?

老後資金や急な医療費、事業資金など、まとまったお金が必要になったとき、「家を売らずに現金化できないか」と考えたことはありませんか。そんなときに有効な資金調達の方法が「リースバック」です。リースバックであれば自宅を売却して現金を得ながら、そのまま住み続けることが可能です。

この記事では、リースバックの仕組みや利用条件、メリットとデメリット、注意点などをわかりやすく解説します。初めて検討する人でも安心して利用できるよう、失敗を防ぐポイントもあわせて紹介します。

リースバックの仕組みを基本から解説

リースバックを簡単に説明すると、自宅を売却したあとも賃貸として住み続けられるサービスです。ここでは、リースバックの基本的な仕組みや、利用条件を詳しく解説します。

リースバックの基本

リースバックとは、現在の家をリースバック会社(不動産会社や金融業者)に売却し、売却後は賃貸住宅として家賃を支払いながら、そのまま住み続けられるという仕組みのことです。一般的な不動産売却では、家を売却すると所有権が移転し、家を出ていかなくてはいけません。一方、リースバックでは、住み慣れた家を離れることなく、住宅を売却した資金を得られます。

そして、リースバックは不動産売買契約と賃貸借契約を同時に行う点も特徴です。売却によって家の所有者はリースバック会社に変わりますが、住む場所は変わらないため、引っ越しの手間や費用も不要です。家計が苦しく現金が必要な場合や、老後資金を準備したい場合などに有効な手段として注目されています。

リースバックを利用する条件

リースバックを利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、売却する家が所有者本人のものでなくてはなりません。住宅ローンが残っている場合は、リースバックの売却代金でローンを完済できることが条件です。もしも、売却代金だけでは完済できない場合は、不足分を自己資金で補う必要があります。リースバック後は家賃の支払いが発生するため、安定した支払い能力があるかどうかも審査されます。

また、すべての住宅がリースバックの対象になるわけではありません。物件の築年数や状態、立地などの査定が行われるため、物件によってはリースバックの対象外となったり、査定価格が著しく低くなったりするケースもあります。

名義人の状況によっても契約の可否が変わります。共有名義の場合はほかの名義人の同意が必要ですし、土地と建物の名義が異なる場合は手続きが複雑になることもあります。

なお、すべてのリースバック会社が同一の条件を設定しているとは限りません。複数のリースバック会社に相談し、自身の状況で利用が可能かどうかを事前に確認しましょう。

リースバックが適しているケース

リースバックは、まとまった資金が必要なときだけでなく、人生のさまざまな転機や特定の目的に合わせて活用できる柔軟なサービスです。ここでは、どのような状況でリースバックが役立つのか、具体的なケースをいくつか紹介します。

まとまった資金が必要なとき

老後の生活資金、急な医療費の支払い、新しい事業をはじめるための資金など、まとまった現金が必要になったとき、リースバックは有力な選択肢となります。特に高齢者の場合、年金収入だけでは突発的な出費に対応しきれないこともあります。さらに、高齢者は金融機関からの借り入れが難しいため、リースバックが役立つのです。

「家族が病気になり急に入院が必要になったものの、手元に十分な貯蓄がない」といった状況でも、リースバックを利用すればすぐに現金化が可能です。大切な家族のケアに必要な費用を確保できるため、資金繰りの悩みを解決できます。

「起業する資金が欲しい」というニーズにも、リースバックは柔軟に対応できます。新たな借り入れが難しい人や、資金調達のスピードを重視する人にとっても、リースバックは有効な選択肢となるでしょう。

高齢者施設の空きを待っているとき

高齢者施設の空きを待つのにも、リースバックは有効です。希望する高齢者施設にすぐ入居できるとは限りません。人気の施設は数カ月から数年待ちになり、その間の生活費や医療費をどう確保するかが課題になります。

リースバックを利用すれば、自宅を売却して入居費用や将来の生活資金を準備しながら、施設の空きが出るまで慣れ親しんだ家で暮らせます。これは身体的にも精神的にも大きな安心感につながります。

施設入居のタイミングで一度だけ引っ越せばよいので、複数回の引っ越しによる負担を避けられます。高齢者にとっては、頻繁な住環境の変化が健康や生活の質に影響を及ぼすことがあるため、このメリットは大きいといえるでしょう。

相続対策で不動産を手放したいとき

相続人が複数いる場合、不動産のままでは遺産を公平に分割することが難しく、相続トラブルに発展するケースが少なくありません。自宅などの不動産は現金のように分割できないため、誰がその不動産を相続するのか相続人同士での揉めごとが起こりがちなのです。

リースバックを利用して不動産を現金化しておくと、相続人が複数人でも、遺産を平等に分割しやすくなります。生前に自身の財産を整理しておけば、残された家族が直面する相続手続きの負担を減らせます。

リースバックで自宅を売却して得た資金を、遺言書で明確に分割方法を定めておくなど、スムーズな相続に向けた準備が可能です。結果として、家族間の相続トラブルが避けられ、家族間の信頼関係が守られます。

離婚で財産分与の必要があるとき

離婚時には、婚姻期間中に築いた財産を分け合う「財産分与」が必要になります。家が夫婦共有名義の場合、その扱いは複雑になりがちです。売却すれば公平な分配は可能ですが、一方が住み続けたいと希望するケースも少なくありません。

リースバックなら、家を売却して現金化しつつ、どちらかがそのまま住むこともできます。これにより、財産分与の公平性を確保しながら、生活基盤を維持できます。子どもがいる場合、住環境を継続できることは精神的な安定にもつながるでしょう。

子どもの学区を変更したくないとき

何らかの理由で家を手放さなければならなくなった際、転居すると子どもの通学先が変わってしまうことがあります。子どもが転校を渋った場合、引っ越し先を学区内で探さなければならず、新居探しの難航が予想されます。

リースバックを利用すれば、住む家が変わらないため、学区変更の必要がありません。子どもの交友関係や学校生活に影響を与えずに、安心して生活を続けられます。予期せぬ引っ越しのストレスから子どもを守れるのです。

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リースバックのメリット

リースバックは、通常の不動産売却では得られない独自のメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。

  • 家を売却しても近所の人に知られない
  • 仲介より早く売却できる
  • リースバック後に家を買い戻せる

ここでは、リースバックならではのメリットを詳しく見ていきましょう。

家を売却しても近所の人に知られない

通常の不動産売却では、販売活動の一環としてチラシや不動産ポータルサイトへの掲載、内覧会の開催などが行われます。こうした活動は売却成立のために必要ですが、近所の人や知人に「家を売るらしい」と知られるおそれがあります。

リースバックは、不動産会社や投資会社が直接物件を買い取るため、広告や内覧の手間が不要です。結果として、売却の事実を外部に知られるリスクがほとんどなく、プライバシーを重視する人にとっては大きな安心材料となります。たとえば、離婚や相続など私的な事情で売却する場合や、近隣に経済状況を知られたくない場合にも適しています。

仲介より早く売却できる

一般的な不動産仲介では、買主を探す期間や価格交渉、契約準備などに時間がかかります。戸建て住宅の場合はマンションと比べて、数カ月から1年以上要するケースもあり、スピード面では不安が残ります。リースバックは、不動産会社が買主となるため、これらのステップを省略でき、契約から資金受け取りまでが非常に早いのが特徴です。スムーズに進めば1~3週間で現金化が可能で、急な資金需要にも対応できます。

事業資金や医療費の準備など「借金するしかない」という状況では、このスピード感が大きな価値を持ちます。価格交渉や多数の内覧対応が不要なため、売主の心理的負担も軽減されます。

リースバック後に家を買い戻せる

多くのリースバック契約では、一定期間内に売却した家を再び自分の名義に戻せる「買い戻し特約」を設定できます。一時的に資金を確保するために手放した家でも、将来的に収入や資産状況が改善すれば、再び取得できる可能性があるというのは大きな安心につながります。

ただし、買い戻し価格は売却時より高く設定されることもあり、期間や条件にも制限があるため、契約前に詳細を確認しておくことが欠かせません。「将来必ず買い戻したい」と考えている場合は、契約時に価格の上限や期間を明確にしておくことが重要です。

リースバックのデメリット

リースバックは便利で柔軟性の高い制度ですが、当然ながらメリットだけではありません。十分な理解を持たないまま契約すると、「こんなはずじゃなかった」と後悔するリスクもあります。主なデメリットには、次のものが挙げられます。

  • 買取価格が市場相場よりも安い
  • 長く住むとコスパが悪い
  • 賃貸借契約は定期借家契約が多い

ここでは、代表的なデメリットと、それに対する注意点を解説します。

買取価格が市場相場よりも安い

リースバックの買取価格は、一般的に市場での相場価格の6~8割程度に設定されます。これは、事業者側が物件を買い取ったあとに抱えるさまざまなリスクやコスト(物件管理費、将来の修繕費、空室期間の家賃損失など)を織り込んでいるためです。高値での売却を最優先に考えている場合や、時間的に余裕がある場合は、仲介による売却と比較、検討することが重要です。

長く住むとコスパが悪い

リースバックの家賃は、一般的な賃貸物件の相場と比較して割高になる傾向があります。短期間の利用であれば大きな問題になりませんが、長期的に住み続ける場合、支払う家賃総額が売却価格を上回ることがあります。

結果的に「家を売った意味がなかった」と感じることもあるため、必要に応じて引っ越しや買い戻しの計画を立てておくと安心です。

賃貸借契約は定期借家契約が多い

リースバックの賃貸借契約は、更新のない定期借家契約が主流です。契約期間は2~3年とされることが多く、期間終了時には退去が必要になります。住み続けるには再契約を行うことになりますが、再契約ができたとしても、家賃を値上げされることがあります。契約前に、更新の可否や更新後の条件、家賃の増額可能性などの確認が大切です。

リースバックはトラブルが多い!安心して利用するには

リースバックは便利なサービスですが、トラブルが起こるケースも報告されています。安心して利用するには、事前にトラブル事例と対策を知っておきましょう。

トラブルの多さから国土交通省が注意喚起

リースバックをめぐるトラブルの増加を受け、国土交通省が注意喚起を行っています。具体的なトラブル事例として国民生活センターが報告しているものをまとめると、次のようなケースが実際に起きていることがわかりました。

トラブル事例1:しつこい勧誘で不本意な契約をしてしまった

営業担当者が自宅に長時間居座り、断れずにリースバックの契約をしてしまった。あとで契約解除をしたら違約金を請求されてしまったそうです。勧誘時に違約金の説明がなかった例もあります。

トラブル事例2:リースバック契約後に家賃を値上げされ支払えない

当初の説明と実際の賃料の金額が異なり、家計が破綻して退去を求められたケースもあります。契約前に「将来の家賃変動」を確認していなかったことが原因です。

トラブル事例3:認知症の父が安く売却してリースバックの契約をした

認知症など判断能力が落ちている高齢者を狙い、相場より著しく低い価格で住まいを売却させられる事例が報告されています。家族同士の交流を深め、何でも話し合える環境づくりが大切です。

出典:国民生活センター 強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!

悪質なリースバック会社の存在

一部の悪質なリースバック会社は、「必ず買い戻せる」といった甘い言葉で契約を迫ったり、詳細な説明をせずに契約を急かしたりする手口を使います。最初に家賃を安く見せかけておいて、契約後に高額な手数料や修繕費を請求してくるケースもあります。

騙されないためには、会社の信頼性や実績を調べ、担当者が契約内容をていねいに説明してくれるか、複数の会社を比較して検討する必要があります。

サービスや契約内容は必ず確認する

契約後のトラブルを避けるためには、契約書の内容をよく確認することが大切です。次の項目は、特によく確認すべき項目です。

売買価格
適正な価格か、他社との比較が必要
家賃
相場と比べて高すぎないか、将来的な変動の可能性も含めて確認する
契約期間
賃貸借契約の種類、契約期間、契約の更新が可能かどうか
買い戻し条件
買い戻しは可能なのか、買い戻しの価格や期限はいつまでか
修繕費の負担
修繕費が発生した場合、どこまで借主の自己負担になるのか

疑問点があればその場で質問し、少しでも不明な点があれば契約しない勇気も必要です。

後悔しないためリースバック会社を比較する

リースバックで後悔しないためには、ひとつの会社だけで決めずに、必ず複数の会社から査定を受け、比較、検討することが欠かせません。複数社の査定価格や条件を比較すれば、提示された売却価格や家賃が適正かどうかを判断できます。

各社のサービス内容や買い戻し条件、契約期間など総合的な比較によって、自身の状況にもっとも適した条件を見つけられます。手間を惜しまず、複数の会社に相談することが、安心してリースバックを利用するための第一歩です。

リースバック以外の選択肢も検討する

リースバックは有効な手段ですが、唯一の解決策ではありません。リースバックが本当に最適かどうかを見極めるために、ほかの選択肢も検討してみましょう。

不動産を売却して転居

家を売却する目的が資金調達であるなら、不動産仲介という選択肢もあります。不動産会社に仲介してもらっての売却は、リースバックよりも高く売れる可能性が高く、より多くの資金を手元に残せます。自宅を売却するので新居探しの必要はありますが、住み続けることが絶対条件ではない場合は、こちらの方法も検討してみる価値があります。

リバースモーゲージで家を担保にお金を借りる

リバースモーゲージは家を担保にして、金融機関から融資を受けるサービスです。自宅の所有権は自分のままで、住み続けながら資金を調達できる点がリースバックとの違いです。毎月の返済は利息のみで、元金は契約終了時に一括返済となるため、まとまった返済資金がなくても利用しやすいという特徴があります。

リバースモーゲージのメリットとデメリット

リバースモーゲージの最大のメリットは、自宅の所有権を失わないことです。住宅ローンの一種であり売却方法ではないので、家賃を支払う必要もありません。デメリットとしては、利用できる年齢や地域に制限があること、融資額が家の評価額の50~60%程度とリースバックより低い傾向がある点です。

また、リバースモーゲージは契約者が亡くなったあと、自宅を売却して相続人が一括返済しなければならないため、相続人の同意が必要です。

住宅ローンの整理なら任意売却も

住宅ローンの返済が困難な場合は、「任意売却」も選択肢のひとつです。任意売却は債権者(金融機関など)の合意を得て、市場相場に近い価格で不動産を売却する方法です。

住宅ローンの滞納を続けると、最終的に自宅を「競売」かけることになります。競売では市場価格より5~7割程度安く売却されてしまいますが、任意売却ならより高く売れる可能性があるため、住宅ローンの残債を減らすのに有利です。

リースバックを利用する流れ

実際にリースバックを利用するのであれば、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。ここでは相談から契約完了まで、リースバックを利用する具体的な流れを解説します。

リースバック会社へ相談・査定を依頼する

まずは、リースバックを扱う事業者(リースバック会社)に相談し、査定を依頼します。この段階で、希望価格や現在の状況を伝え、リースバックに適しているか、おおよその売却価格や家賃はどのくらいになるかなどを確認します。

安心して利用するには、複数のリースバック会社に査定を依頼します。「リースバック比較PRO」などのリースバック一括査定サイトを利用すれば、一度の入力で複数の会社にまとめて査定を依頼できるため、非常に便利です。

契約内容、サービス内容を確認、比較する

複数の会社から査定結果が出たら、提示された査定額、家賃、契約期間、買い戻しの条件などを比較検討します。売却価格だけでなく、家賃が適正か、将来的な家賃の値上げはないか、といった点も重要なチェックポイントです。

この段階で、不明な点や不安な点を解消するため、各社の担当者とていねいに話し合い、納得できるまで質問を繰り返しましょう。

契約内容のチェックポイント

契約書にサインする前に、売買価格、家賃、契約期間、修繕費の負担などの重要項目を必ず確認しましょう。内容を理解しないまま契約すると、後々トラブルの原因となりますので、注意が必要です。

自分だけで判断できないと感じたときは家族や友人、金融機関、不動産会社などに相談してみましょう。

リースバックの契約をする

比較検討した結果、依頼する会社を1社に決めたら、売買契約と賃貸借契約を同時に締結します。契約前には重要事項説明が宅地建物取引士から行われますので、疑問点があればこの時点で必ず確認し、納得したうえで契約手続きを進めます。契約内容を理解しないままサインするのは絶対にやめましょう。

リースバックの契約に必要な書類

リースバックの契約時に必要となる書類は以下の通りです。

リースバック契約の必要書類
書類名 概要
登記済権利証
(登記識別情報通知書)
不動産の所有権を証明する書類
印鑑証明書 実印が本人のものであることを証明する書類
※発行後3カ月以内のもの
実印 売買契約書などに押印
住民票 自分の居住関係(住んでいること)を証明する書類
※発行後3カ月以内のもの
本人確認書類 マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど
固定資産税評価証明書 家の資産価値を証明する書類
※最新のもの
住宅ローンの返済予定表 毎月の返済額や借入金額などが記載されている書類
※住宅ローンが残っている場合

契約する会社や物件によって、必要な書類が異なる場合があります。事前に確認して、不足がないように準備を進めましょう。

リースバックを開始する

契約手続きが完了し、売却代金の受け取りと所有権移転登記が完了したら、リースバックの開始となります。所有権はリースバック会社に移りますが、自身は賃借人として同じ家に住み続けられます。売却代金を受け取り、新しい生活のスタートです。

リースバック比較PROで一括査定ができる

リースバックで後悔しないためには、複数の会社から査定を受け、売却価格や家賃、契約条件などを総合的に比較検討することが不可欠です。しかし、複数の会社に個別に連絡して査定を依頼するのは手間がかかります。

そこでおすすめなのが、リースバック比較PROです。リースバック比較PROなら、一度の入力で複数の会社へまとめて査定を依頼できます。効率的に複数の査定額を比較して、最適な条件を見つけられます。ぜひ活用して、安心して任せられるリースバック会社を見つけてください。

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執筆・編集

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