リースバック方式とは、売却したものをリースして使用するサービスのことです。不動産で行われることが多く、特に不動産リースバックということもあります。
不動産業界におけるリースバックの仕組みと、リースバックを利用する方法について解説します。
売却してからも使える「リースバック方式」の仕組み
リースバック方式は正確にはセール・アンド・リースバック(sale-and-leaseback)といい、所有していたものを売却したあともリースで使用を続けられるサービスのことです。
リースバック方式は本来、財務会計などに用いられる言葉で、一般的には固定資産を売却してリース契約を結ぶ取引のことを指します。ここでいう固定資産は、不動産だけでなく、飛行機なども対象になります。
一般的によく利用されているのが不動産のリースバックで、特に不動産リースバックまた単にリースバックといいます。
不動産リースバックの仕組み
個人向けに利用されている不動産リースバックは、自宅の売却後も引越しをせずに家賃を払ってそのまま住み続けるのが基本的な仕組みです。
まるで新しいサービスのように見えるかもしれませんが、実際には不動産売却と賃貸借契約のふたつの契約を同時にリースバック会社と行っているだけです。よくある不動産取引を、同時にふたつ行っていると考えていただければ大丈夫です。
不動産売却とリースバックの違い
リースバックは不動産売却と賃貸借契約を組み合わせたものですが、厳密にいうと一般的な不動産売却とリースバックでは、次のような違いがあります。
不動産売却 | リースバック | |
---|---|---|
買主 | 個人または不動産会社 | リースバック会社 |
取引の期間 | 長い | 不動産売却より短い |
代金の支払い | 時間がかかる | 早い |
不動産売却だと不動産会社は自宅の査定をしてから、自宅を購入する買主を探すことになるので、取引が終わるまで時間がかかります。それだけ売却代金の支払いまで時間がかかります。
対してリースバックの場合、自宅を購入するのはリースバック会社なので、取引を終えるまでかかる期間は不動産売却より短くなります。売却代金の支払いもそれだけ早くなります。また不動産売却のように、大々的に自宅の売却を告知しないので、近所の人たちに自宅の売却をしられずに済みます。
できるだけ早くまとまったお金が必要な人には、不動産売却よりリースバックが向いています。
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リースバックを利用する条件
リースバックは誰も利用できるのではなく、次の条件を満たす必要があります。
- 住宅ローンを完済できる
- 家賃の支払い能力がある
- すべての名義人が了承している
住宅ローンを完済できる
すでに住宅ローンの返済を終えている、または売却代金で住宅ローンを完済可能なときに、リースバックを利用できます。自宅を担保にして金融機関で住宅ローンを組んでいるため、売却することで完済できなければリースバックを利用できないのです。
例外として、金融機関の了承が得られている場合は、リースバックを利用することが可能です。その場合、家賃と住宅ローンの残債を支払うことになります。
家賃の支払い能力がある
賃貸住宅に住むときは、家賃の支払い能力があるかどうか審査があります。リースバックでも同じように、家賃の支払い能力について審査されます。ただし賃貸住宅に住むときほど審査は厳しくないため、高齢者でも住み続けられるのが一般的です。
すべての名義人が了承している
売却する自宅の名義人(所有権者)が複数いる場合、全員の了承を得られなければ売却はできません。特に住宅を相続した場合は、複数の名義人が登録されているおそれがあります。
すべての名義人から了承を得たうえで、リースバックの手続きを進めましょう。
リースバックのメリット・デメリット
リースバックを利用するときは、メリットとデメリットがあることに注意が必要です。自分にとって都合の悪い部分も確かめておくことで、後悔なくリースバックを利用できます。
リースバックのメリット
不動産リースバックを利用するメリットには、以下のものがあります。
- 同じ家に住み続けられる
- まとまったお金が手に入る
- 比較的早く資金調達ができる
- 税金など不動産を維持する負担がない
- 不動産を所有するリスクがない
これからの住宅ローンの支払いに不安がある、老後の資金としてまとまったお金が欲しい、離婚したものの子どもの通学区を変えたくないなど、利用する人の事情はさまざまです。人によっては、リースバックのメリットは大きく感じられるでしょう。
リースバックのデメリット
リースバックのデメリットには、次のものがあります。
- 売却価格が安い傾向がある
- 家賃は周辺相場より高い傾向がる
- 契約によっては自宅に住み続けられない
- 改築やリフォームなどが自由にできない
- 所有権がないため相続できない
リースバック会社が取引で利益を出す必要があるため、通常の不動産売却よりも売却額が低く、また家賃も相場より高くなる傾向があります。また所有権がなくなるため、自宅には住み続けられますが、これまでどおりというわけにはいきません。
こういったメリット、デメリットをよく考えて、リースバックをご利用ください。
リースバックの買い戻しと買戻し特約
リースバックでは、契約次第で将来的にリースバックした自宅を買い戻すことができます。ここで押さえておきたいのは、不動産に関してはいくつかの異なる買い戻しがあることです。
2つの買い戻しについて紹介します。
ひとつは民法第579条にある「買戻しの特約」です。
売買契約と同時に買戻し特約を交わしておき、買主はすでに支払った代金や費用を売主に返すことで売買を解除するというものです。
買い戻しのタイミングや金額、期間などが法律で厳格に決められている点が大きな特徴です。
もうひとつは民法第556条にある「売買の一方の予約」です。
将来に行う売買契約について事前に合意することを指します。原則としては、契約のどちらか一方が予約完結権(意思表示すれば相手の承諾なく契約を成立させられる権利)をもちます。
契約の形は多様なので、リースバックを申し込む事業者に確認をしておくといいでしょう。
リースバック会社とはどんな会社?
不動産リースバックを依頼するときは、リースバック会社に依頼することになります。リースバック会社と不動産会社にはどういった違いがあるのか解説していきます。
リースバック会社と不動産会社の違い
リースバック会社といっても、実際は不動産会社の事業のひとつとして運営されているケースが多いです。リースバックでは不動産に関する複雑な契約があるため、不動産売買の専門的なノウハウが必要なのです。また不動産を買い取る資金力も必要になるため、不動産会社がリースバックの事業を運営することが多いです。
ほかにもクレジットカード会社や任意売却業者が、会社の事業のひとつとしてリースバックを行っていることがあります。資金調達や資金繰りといった、それぞれの事業内容を生かしてリースバックを行っています。
リースバックを行う会社によって強みが異なりますので、相談は複数のリースバック会社にしましょう。
リースバック会社の比較が大切
リースバックは、まだ新しい不動産の取引サービスです。基本的にリースバックは資金調達の手段なので、場合によっては依頼する側が不利になってしまうことがあります。そのため、リースバックを依頼するときは、1社だけではなく複数の会社に査定を依頼して、複数の条件を比較することが大切です。
複数のリースバック会社へ査定を依頼するときは、一括問い合わせをご利用ください。1回の入力で複数のリースバック会社へ問い合わせられます。
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